Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

194 ~ 233日目(4月12日 土 ~ 5月21日 水) 最近の様子・出来事 その1

近況 その1

皆さんこんにちは。だいぶご無沙汰しております。イギリスからの帰国後は一週間ほど残った春休みをのんびり過ごし、その後、後期(夏学期:Sommer Semester)が無事に始まりました。
更新が面倒になってしまい、長らくブログを放置していましたが、先日後期のテストが終了して一区切り付きましたので、春休みからの二か月をダイジェストでお届けさせていただこうと思います。思い出せる範囲で。
また、すべてを一記事にまとめてしまうと長々と見苦しくなってしまうかと思いますので、数記事に分ける予定です。ゆえの「その1」ということです。

ちなみに私は元気です。最近花粉のような症状に悩まされていますが、日本の杉花粉の破壊力に比べれば大したことはありません。日本にいると、この時期までが花粉のピークでしたが、ドイツの花粉はやや遅れてやってくるようですね。

先週あたりからだいぶ暖かくなってきて、早くも夏が始まったようです。ドイツの中で最も雨が多い地域などといわれているWuppertalですが、最近は気持ちの良い晴れの日が多く、草っぱらに半裸で寝っころがって本を読んでいる学生や、バーベキューをしている集団があちこちで見受けられます。この「とりあえず外に出る文化」は中々衝撃的です。寮の周りに芝の生えたちょっとした庭のようなエリアがあるのですが、そこには常に誰かしら転がっています。大抵はパンツ一丁かあるいは水着姿で。最近はそれも見慣れてきました。

それよりも、帰国が近づいてきたことによる圧迫感の方が問題です。一年あれば今後の進路についても何か新たな展望を持ち得るのでは?と無責任なことを考えていましたが、そんなことはなく、結局日本出発前同様にどうしたものかと悩んでおります。他人事のようですが、これからどうなるのか見物です。

また、先月末に初めてベルリンへ行ってきました。その話も書き残しておきたいので、また数記事分更新することになるかと思います。。6月に入って写真のアップロードも改めて可能になったので、イギリス旅行関連の写真も追加しておきます。(おそらくこの週末中には)


ということで、以下、話題ごとにダイジェストでどうぞ。


Ölbergfest エールベルク祭り(5月3日 火)

この日は、Wuppertalの中でもÖlbergという地区でお祭りがありました。ちょうどこのころ、タンデムに新たなメンバーがやってきて、そこでできた新たな友人たちとこのお祭りを訪れました。
Wuppertalはやたら坂の多い起伏の激しい町なのですが、その中でも小高い丘の上に位置する地区がこのÖlbergで、今まで一度も訪れたことのないエリアでした。街並みも普段の生活圏内である大学周辺・中心街とはやや異なり、歩いているだけでも新鮮な雰囲気です。
お祭りは、日本の夏祭りや何かと似たようなもので、色々な団体が小さな屋台を出して食べ物やら飲み物やらを売っている...というスタイルです。ケバブ料理やソーセージ、ビールの出店がやたら多いのがドイツテイストでしたが、それ以外は大体日本のお祭りと似た雰囲気だったように思います。

不思議に思ったのは、政党のポスターを張った出店がいくつかあったことです。一緒に訪れた友人に尋ねてみたところ、選挙が近いと各政党がお祭りで宣伝活動をすることが一般的らしく、ドイツではそれほど変わった光景ではないとのことでした。日本だと地域の祭りに直接的に政治がかかわっていることはないような気がしますが、どうなんでしょう。そんなにあちこちのお祭りを巡ったことがあるわけではないので何ともいえません。


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▲こんな感じで。


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▲だが国家社会主義者よ、貴様らに居場所はない


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▲反ナチス!ドーン


と、いった具合に、窓や標識のポールといったちょっとしたところに面白いシールが貼ってあったりします。


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▲キレイな街並み


一通り見て回った後は、いつもタンデムでお世話になっているJさんも合流してカフェで休憩がてらお喋りタイムでした。

新たにタンデムに参加したメンバーは、一度大阪に留学していたことがあるそうで、日本文化にもやたら詳しい方でした。なぜか、こちらに来てから出会った日本語を学んでいる学生の大半がアニメやゲームに造詣が深い方々ばかりで、彼も例外ではありませんでした。「このアニメは見た?あのアニメは?このゲームは面白かったよね!」などとあれこれ質問されたのですが、ほとんど名前は聞いたことがあっても見たことがない作品ばかりで全く話について行けませんでした。

ゲームについても同様でした。ファイナルファンタジーシリーズを一つもプレイしたことがないと話したところ、「君は本当に日本から来たのか?」というような反応をされたのが面白かったです。ロールプレイングゲームゼノサーガというゲームが面白かったと話したところ、ドイツではゼノサーガはエピソード2しか市場に出回っていないらしいことが分かりました。エピソード2はちょっとアレな作品なので、まぁなんというかアレですね。「ゼノギアスがすごく面白かったからいつかゼノサーガもやってみたいんだよね」と目を輝かせて語るJさんに何とも言えないものを感じました。

そういえば、ドイツでは
ファミコン = ニンテンドー
スーパーファミコン = スーパーニンテンドー
と呼ばれているらしいですね。ドイツでは...というか国際商標がそうなっているのでしょうか。最初「スーパーニンテンドーが...」と言われた時、何の話をされているのか全く分かりませんでした。


アニメに話は戻りますが、「エルフェンリートという作品がものすごくブルータルだけどものすごくよかった。ぜひ見るべき。」と勧められたのが印象に残りました。

最近になってそれを思い出し、調べてみたところ、某有名動画アップロードサイトにてドイツ語吹き替え版の動画を見つけました。国際的には、大抵のアニメ作品が日本語音声に各国語字幕(ファンサブ:ファンが非公式につけた字幕)という形で楽しまれているらしいので、公式吹き替え版が存在するということはそれだけメジャーな作品ということなのではないでしょうか。
タイトルがドイツ語っぽいのでストーリーにドイツ的な何かがかかわっているのかと思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。が、彼の評通り「ものすごくブルータルでものすごくいい」作品でした。


レマゲン再訪(5月11日 日)

先月11日に、レマゲンを訪れました。昨年訪れた際に、目的地であった博物館が閉館期間中であったうえに、ノルトライン=ヴェストファーレン州の外に出ていることに気付かずに電車に乗っていて罰金を取られてしまったという話を書きましたが、今回ようやく目的を達成できました。
もちろん今回は事前にボン - レマゲン間の切符を購入しておきました。


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▲駅前の観光案内図


駅前から徒歩10~15分ほどで博物館までたどり着くことができます。ライン川沿いの遊歩道を歩くことになりますが、ここが何とも気持ちの良いところなので、もし訪れるのであればのんびり歩いていくことをお勧めします。

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▲平和博物館 レマゲンの橋

入場料は学生1ユーロという破格。一般入場券も3.5ユーロらしいので、それほど高くはありません。
この日は妙な天気で、ちょうどレマゲンに到着したころにザーッと雨が降ったかと思ったら、博物館の見学を終えて外に出るころには気持ちの良い晴れ空が広がっていました。


博物館一階は、かつての戦闘に関する本の紹介や、在りし日のルーデンドルフ鉄橋の写真が並んでいました。


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▲「この橋には、その重さ分の金と同等の価値がある」
アイゼンハワーが、米軍によって橋が確保されたという知らせを受けてコメントしたといわれています。


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▲一階展示の様子

先ほどの外観写真からなんとなく想像がつくかもしれませんが、博物館内はそれほど広くありません。塔はそれぞれ4階建てになっており、それぞれの階でテーマごとの展示がなされています。階と階の間に小部屋があり、小さな展示室が設けられている場所があり、また塔と塔をつなぐ通路も展示空間として使用されていました。
展示ルームは全11室でしょうか。内容は当時のメモをもとに以下に記載しておきます。

<塔A(出入口側)>
展示場所 展示内容
1階 概要、関連書籍、過去の写真など
2階 橋の守備隊について、ゲッベルスの日記(レマゲンについて言及した箇所の引用)、陥落後の破壊計画(V2など)
2.5階(小部屋) 市民の手記、空襲の記録、ポスターなど
3階 連合国側による橋奪取に関する報道のされ方、当時の雑誌の写真・記事
4階 レマゲンに存在した捕虜収容所に関して、またそれに関する記念碑の案内
<塔B>
1階 橋の建設、成り立ちについて(技術面多い?)
2階 映画『レマゲンの橋(Die Brücke von Remagen)』の撮影とプラハの春について
2.5階 爆弾模型
3階 平和について(未完)
4階 世界大戦における各国死者数、それ以降の各地の紛争・戦争について
塔をつなぐ通路 戦死した兵士等の遺品等々(死者を悼む場として)

(入口にてポストカード、関連書籍購入可能。無料パンフレットは受付の方に言えばもらえます)


以下、ハイライトを写真にてどうぞ。
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▲塔A2階、橋の破壊計画 V2の着弾場所など


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▲ゲッベルズの日記


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▲塔A3階、Stars&Stripesによる報道


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▲塔B3階、平和について 偉人の発言集のような展示
この階はまだ計画段階らしく、展示はこの大きな垂れ幕と可動式の前衛的な彫像しかありませんでした。


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▲塔をつなぐ通路「犠牲者の道」と名付けられており、通路沿いに犠牲者の名前と遺品などが展示されていました


見学後にガイドブックを購入しようと受付の方と少しお話ししたのですが、ものすごいフレンドリーな方で、ドイツ滞在を楽しんで行ってね!と最後に握手までしてくれました。改めて訪れてよかったです。


国際包装展示会(5月14日 水)

この日は国際包装展示会に行ってきました。なんじゃそりゃ?と思われるかもしれませんが、直訳するとそういうことになりますし、また実態もそういうものでした。
新しい授業で一緒になったイランの友人が、「今度デュッセルドルフで包装の展示があるんだけど行きたい?」と誘ってくれました。一体何の展示なのか全く理解できなかったのですが、それ故に興味が湧きました。ドイツではあちこちで展示会が行われており、以前行きそびれた「おもちゃ展示会」もその一つです。
大抵は観光目的ではなく、商業を目的としたもので、経営者や各種企業を対象に新商品・製品・技術を紹介する場となっているようです。
この包装展覧会もまさにそういった目的のもので、入場するには関連分野の学生であるか、あるいは企業に所属している必要があるようでした。

その友人が入場に必要となるチケットを発行するための番号を持っており、私は分野は違えど学生という身分なのである種の「学業目的の見学」として入場が許可されました。


開催地はデュッセルドルフのメッセ(展示会場)で、ここを訪れるのは初めてでした。やや郊外に位置しており、広々とした気持ちの良い場所でした。


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▲Messe外観

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▲駅の先はこんな感じになっていました


館内は撮影禁止の場所が多かったため写真はありませんが、包装のデザインや包装するための機械が多数展示されていました。それ以外には、そういった技術の説明会や、商談用のスペースなどがあちこちに設けられており、私にとっては未知の世界でした。

一緒に行った友人はあちこちのブースで係の方に話しかけて資料をもらっていました。将来働きたい分野に関する情報を集めていたようです。「せっかくの機会だから生かさないとね!」と忙しそうにしていましたが、こういうバイタリティは本当にすごいですね。私の感覚ですと、学生身分で話しかけるのは申し訳ないのでは?と余計なことを考えてしまったり、専門的な知識を持っているわけでもないのにあれこれ質問するのは恐れ多いと感じてしまったりしてモジモジして終わってしまいそうです。

こちらに来てから半年以上が既に経っているわけですが、友人たちの行動力には常に驚かされています。自分が内気なのかもしれませんが、周りの皆は考えが行動に直結しているように見えます。私はあれこれ考えることはあっても、それを行動に移すのが極端に遅い、あるいは考えるだけで行動しない・決断できないことが多いため、彼らのことを尊敬します。ただ、尊敬していたところで、そう簡単に20年で培われた性格が変化するわけもなく、相変わらず選択・決断するのは苦手なままです。自分は慎重な性格だからこれで良いのさ!と以前は開き直って考えることもできていたのですが、こちらにきてからは いや、慎重すぎるのも考え物かもしれないぞ と考えさせられています。

人付き合いには慣れてきて、大してよく知らない相手と一緒に出掛けたりするのも気にならなくなってきたのですが、この内気さといいますか、臆病さといいますか、こればっかりは変わりそうにありません。


では、その1はこの辺で。


次回予告:近況 その2 「デュッセルドルフ 日本デー」
近日公開!

193日目(4月11日 金) ドイツへ帰国

ドイツへ帰国

イギリス旅行もこれでおしまい、帰国です。
この日はヒースロー空港近くのややお高いホテルに泊まっていたのですが、おかげさまで朝食バイキングが豪華でした。久々にドカ食いしてしまいました。

飛行機に乗り慣れていないこともあって、どれくらいのタイミングでチェックインしなければならないのかよく分からずにいたのですが、予定していた時間よりちょっと出遅れてしまいました。それでも遅れることはなかったわけですが、若干不安になりました。

チェックインは機械式だったため問題なくできたのですが、その後の手続きで手間取りました。荷物が検査対象になってしまい、係のおばさまにカバンの中身を改められてしまったのです。
今回はリュックサック一つで旅行をしていたため、すべての荷物がそこに入っており、しまうのが大変だったのですが一つ一つ取り出して確認されることに。

おばさまが陽気な方で、お土産として購入していたお茶やらミュージカルのパンフレットやらを見るたびにコメントをしてくれるのが面白かったのですが、私の後ろにも順番を待っている方がおり、その方が時間がないようで焦っているオーラが後ろからひしひしと伝わってきてなんとも申し訳ない気持ちになりました。

結局すべての手続きが終わってみたら、30分ほど余裕があり、お土産屋などをうろつく時間も十分に確保できました。


長いようで短い滞在でした。アナログな旅というコンセプトも一応は貫くことができ、電子端末による情報を利用することなく旅を終えることができました。
見たかった博物館も押さえられましたし、若干見切れなかった部分はあったにしても、色々と盛り沢山の旅になりました。

当初予定していなかったこと(観劇など)も予定に組み込んだため、意外な発見や新しい文化との出会いもありました。こうやって一人であちこち行くのもいいものですね。ドイツでは寮の部屋という落ち着く場所が確保されているため、生活が容易になったのと同時にアウェイな環境にいるという緊張感がやや失われてしまったように思います。

落ち着きがあるのは良いことかもしれませんが、ダラダラした生活をする原因にもなります。実際、ドイツで部屋にこもりがちだった期間もありますし、ドイツでの生活を日常化して退屈なものに変えてしまっているような気がしていました。

とにかく外へ出てみた方が良いのかもしれませんね。といっても一生あちこちをフラフラしているわけにもいかないでしょうし、そのような生活をし始めたら今度は落ち着きたくなったりするのかもしれません。



ところで、日本にいる間に某教授に訓練していただいていたため、英語にはある程度自信があったのですが、英国に行って咄嗟に「Bitte!」とか「Danke!」などと言ってしまうことが何度もあり、自分の状態に驚きました。とにかくPleaseが出てきませんでした。

ドイツ到着当初はその程度の独単語すら口をついて出てこなかったように思いますが、今度は英語が出てきづらくなっているのかもしれません。全くコミュニケーションが取れないというほどではありませんが、以前にも増してかなりいびつな英語になっていたような気がします。それでも相手をしてくださった英国紳士淑女の皆様には本当に助けられました。

一週間英語生活をしていたらドイツに帰ってからドイツ語が出てきづらくなったりするのだろうか、と心配していましたが、帰国後は案外すんなりドイツ語生活に戻ってくることができました。一週間では脳内のスイッチは切り変わらないようです。日本に帰った時はどうなってしまうのでしょう。例の留学のW字曲線の話もありますし、恐ろしくもあり、少し楽しみでもあります。


あ、そういえばオイスターカードの件を書いたかしら...?

192日目(4月10日 木) イギリス旅行 その7 ~London滞在2~

ロンドン観光 ~Notting hill → Abbeyroad → RAF博物館~

写真のアップロード容量が尽きたので、写真は来月以降に貼り直します。
(7月1日追記:貼りました)

この日の最初の目的地はアビーロードでした。ここを訪れる目的なんて一つしかありません。ビートルズのアノ写真の場所を見てみたかったのです。
ただ、私が持っているアビーロードのアルバムは廉価版で、アノ写真ではなく黒い背景にユニオンジャックというさびしいものだったため、特に思い出深いわけでもなんでもないのですが、まぁでもせっかくロンドンに来たのなら見ておきたいじゃありませんか。

宿泊地がまたしてもハイドパーク北西端だったため、そこから最寄りの大型駅であるパディントン駅へ向かうのが最初の課題となりました。

が、すぐにそこへ行ってしまうのも面白くなかったのでおまけとしてノッティングヒルに寄っていくことにしました。ホテルからは地下鉄で一駅先がノッティングヒルゲートだったため、十分歩ける距離でした。英国へ行く前に、「ノッティングヒルの恋人」という映画を友人から勧められて見ていたので、そこで見た風景をチラッと見ていこうという算段です。

ところが、このノッティングヒルの街並みが想像以上にかわいらしく、あちこち見て回るのが面白くなってしまいチラ見どころではなく"観光"になってしまいました。もっと時間を取っておけばよかった。名残惜しい気持ちでパディントンへ向かいました。


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▲ノッティングヒルの風景


パディントン駅もとんでもなく巨大な駅で、まるで空港のようです。ここに荷物を預け、アビーロードへ向かおうと思ったのですが、どの電車に乗るべきかよく分かりませんでした。

案内所で尋ねたところ、「ああ、ビートルズのアレね。」と一発で目的を理解していただくことができ、乗るべき地下鉄を教えていただくことができました。

写真メモによると、「Maida Vale」という駅だったらしいです。この駅から徒歩10分ほどで例の場所にたどり着けるのですが、私は勘違いしてアビーロードにたどり着いてから反対側へ向かってしまったために時間がかかりました。


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▲例の場所


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▲例のアングルを反対側から見た図


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アビーロードスタジオ


反対側から見るとどうなっているのかというのは初めて写真を見たときから気になっていたので新鮮でした。
横断歩道が名所となっていて、かつ渡っている最中の写真が有名となると再現した写真を撮りたくなるのが人情というものらしく、ここでは昔から写真を撮ろうとした観光客と自動車の接触事故が絶えないそうです。

ここに来てみて分かりましたが、アビーロードスタジオ前は閑静ながらも、案外車通りが多いです。観光客が隙を見て渡ろうとし、かつ横断歩道の真ん中で写真を撮ろうとしているのですが、10秒や20秒でサッと作業を終えられるはずもなく、かなりの交通妨害力でした。

グループで観光に来たと思しき人々が、何度も粘って写真を撮り続けていたのですが、その都度交通は妨害されるし、また他の観光客の迷惑にもなるしで中々大変そうでした。名所とはいえ、これはひどい状況だなと思いましたが、私もグループで訪れていたら調子づいて写真を撮ろうとしていたかもしれませんので一概に批判もできません。


さて、アビーロードはやや郊外に位置していたのですが、ここからさらに郊外へ移動します。今度の目標はRAF博物館。
RAF=Royal Air Forceですので、要はいつも通りのミリタリー博物館です。

RAF博物館はロンドンからずっと北の方に位置しており、ややアクセスが悪いです。が、そのおかげか敷地はだだっ広く、収蔵品の数もトンデモないです。また、驚くべきことに入場無料!



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▲RAF博物館、外観



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▲駐車場中央にはスピットファイアとハリケーンが



展示ホールは数か所に分かれているのですが、いくつかは通路でつながっており、そのまま見学することができます。私はこのあたりの構造をよく理解していなかったために非常にもったいないことをしてしまいました。...あとで書きますね。

ホールに入るとまずは小ぢんまりしたホールに英国の歴代航空機が勢ぞろい。複葉機から現代機まで一同に会しています。


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▲展示ホールの様子



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ハリアー偏向ノズル



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▲Me262ともミュンヘンのドイツ博物館以来の再会


ここもさることながら、続いての爆撃機ホールではさらに驚かされました。その名の通り、巨大な爆撃機が展示されています。

入って右手にB24、少し進むとランカスター、さらに奥にはB17、そしてB25と、大戦期の爆撃機が勢ぞろい。とにかく圧倒されます。とんでもないですよ。


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▲ランカスター


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▲B-17


ついでに、メッサーシュミットやフォッケウルフ、スピットファイヤなどが添え物のように隙間に並べられています。こちらに来てからこういったものをあちこちで見て感覚が麻痺してきているのですが、貴重なものに囲まれ過ぎて感動が追い付かないといいましょうか、一周して無心になりました。

一通りあれこれ見て、写真を撮ってミュージアムショップも見てきたのですが、ここのショップもかなり大きかったです。

ボービントンもRAFも英国の博物館は観光コンテンツとして機能させる意欲に満ち溢れているように感じます。これに比べるとドイツはちょっと控えめですね。

展示の内容も印象が違います。英国のものはカラッとした明るいものなのですが、ドイツは極めて淡々としています。
例えば、展示パネル一つとっても、子供向けの解説がなされていたり、ポップな色調でかわいく図解されていたりするのが英国のミリタリー博物館です。もちろん、後ろめたい部分がない分、胸を張って展示できるのは当然と言えば当然なのですが、ここまで雰囲気が変わるものなのかと思いました。

お土産も、兵器がデザインされたTシャツやら何やらを販売し放題です。いいね!
ドイツではちょっとそれは厳しそうです。世界のミリタリー趣味者は喜んで購入していくことでしょうが、販売する方はモヤモヤしそう。


で、そんなこんなで爆撃機をじっくり見過ぎてほぼ開館時間を使い果たしてしまった上に、疲れもあって別のホールを見てくるのを忘れてしまったのです。別のホールとはすなわちバトル・オブ・ブリテンホールのことで、これは爆撃機とならんでメインコンテンツと呼ぶべき展示だったはずなのです。

爆撃機ホールにもドイツ機が併せて並んでいたため、プチ・バトル・オブ・ブリテンホールと化していたのですが、別館にはJu87、Ju88やハインケルが並んでいたというではありませんか。おお、これを見逃すとはなんと愚かな!ドイツに戻ってからパンフレットを見返して悶絶しました。時すでに遅しですが。

もう一度英国に行こう!それでついでにレ・ミゼラブルももう一回見てこよう!と思いましたが、また訪れる時間的余裕があるのかどうか...。


この日の夜も観劇できたらいいなと思っていたのですが、ロンドン市街に戻るころには既に19時頃で、大半の公演が始まっている時間だったため諦めました。


翌日に帰国を控えていたため、この日はヒースロー空港近くのホテルに宿泊しました。長いような短いようなロンドン観光でした。

191日目(4月9日 水) イギリス旅行 その6 ~London滞在1~

ロンドン観光 ~衛兵交代 → 市内一周 → 観劇~


いつまでイギリス旅行をしとるんだ私は。
今週中には日記を片付けます。いつも写真を見て思い出しながら書いていましたが、すでに帰国後ひと月以上経過していることもあって記憶の鮮度が失われつつあります。

鮮度が失われ、思い出補正がかかっている可能性の高い記事を偉そうに自分の体験談としてブログなんぞにまとめて公開するのは、有益どころかむしろ害悪なのでは。そもそも、海外生活の体験談をまとめたとは言っても、結局のところ主観に基づく判断が随所に含まれているのは致し方ないことで、それを今後留学する方のため云々...といって書き残しているのはいかにも傲慢な気がしてきました。すでに開始してからしばらく経ってしまったので、惰性で帰国まで続けようとは思いますが、なんだかなぁ。

アレですよ。全く同じ体験をしたとしても感じ方は当然ながら人それぞれです。「○○は□□だった」などという書き方をしていてもあくまで「私の眼にはこう映った」というだけの話ですから、あまり真に受けないでください。

帰国後もきっとあれこれ友人知人に話をする機会があると思いますが、自分のフィルターを介して濁りきった体験談しかお話しできません。見たまんま純度100%の情報を残すことなど不可能です。
ですから、興味があるのであれば自分でそこへ行って、自分のフィルターを通して物事を見て、自分なりの感想を抱くべきなのだと思います。

帰国後あれこれ尋ねられ、それにこたえる形で自分なりの感想を話して他人にまで妙な偏見を抱かせてしまっては不本意の極みです。かくなる上は、「興味があるのなら自分で見に行きたまえ」と答えるだけのbotと化す予定ですのでどうぞよろしく。(挨拶)




さて、この日は先日見逃してしまった衛兵交代見学のリベンジからスタートしました。前回時間を確認できたうえに地下鉄も一度経験して慣れたこともあり、スムーズにホテルからバッキンガムまでたどり着くことができました。

ところが、もう言葉では表現できないほどに人!人!人!という有様で、大英帝国のメインコンテンツの集客力を思い知らされました。

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▲ご覧の通りです。


今月の写真アップロード容量が既に限界値スレスレなので、節約ということで衛兵の写真は貼りません。つきましては、各自でググっていただきますよう。

バッキンガムの門の付近までモゾモゾと辿りついたのですが、人垣の隙間から覗き込む形での見学になりました。それでも衛兵交代は眺めることができたのでよかったのですが、最前列で見たい!とかこだわりがある方は開始20~30分前にはバッキンガム周辺で身構えていた方が良いかもしれません。


おお!と思ったのは、警官の客捌きのうまさです。

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▲"警官"といっても整理のために派遣されてきた哀れな交通課職員...といった雰囲気ではなく、白馬に乗った凛々しい方々で、衛兵交代というイベントの一部として溶け込んでいます。


そして、写真のようにビシッ!と大きく分かりやすい身振り手振りを交えて、ハキハキとした発音、かつ単純で分かりやすい単語を使ってお客さんたちに指示を出すのです。

「そこ(指を指しつつ)の方々、少し下がって!」

とサッと指示を出し、お客さんが指示に従って動くと「それでよし!ありがとう!」と颯爽と去っていきます。ハッキリと指示を出すため、やや威圧的に感じたのですが、去り際のケアといいますか、一言添えてくださるおかげで気持ちよく見学できます。

衛兵交代ももちろん印象的なのですが、なんだかこの警官の姿の方が印象に残りました。ゆえに、少ない容量を削って写真を貼らせていただきました。



ところで、私は英国に対してある種のステレオタイプを持っていました。

欧州圏内とはいえ島国である点、プロムスのような愛国的イベントが大々的に継続して行われている点、また現代の言語界の支配者である英語を母語としている点から、排他的な風土を持ち合わせているのではないかと考えていたのです。が、邪推でした。

何よりまず非常に多国籍で、ロンドンを歩いていると英語の他にもフランス語、中国語、そしてドイツ語など、様々な言語があちこちから聞こえてきました。同じ島国であっても、日本とはだいぶ様子が異なっています。

また、宿やお店、駅などで正確とはいえない英語で質問をしたりしても、嫌な顔をされるどころか懇切丁寧に説明していただくことができました。英語圏に留学した友人たちが「空港や駅で問い合わせをすると「君の英語は分かりにくいから英語が話せる人間を連れてきてくれ」と突っぱねられることがある」と話していたのでおびえていたのですが、少なくとも今回の旅行中にそのようなことはありませんでした。英語圏の国すべてがそのような風土を持ち合わせているというわけではなさそうです。たった一週間の滞在では何も断言できませんが、それでも当初のステレオタイプは薄まりました。

衛兵交代にも、ナショナリスティックな雰囲気はほとんど見てとることができませんでした。訪れたのが春休み時期だったためか、とんでもない数の観光客がバッキンガム周辺にあふれており、荘厳さや厳格さの代わりに、観光客のざわめきと無秩序さが目立ってしまっていました。もう少しピリピリした雰囲気を想像していたため拍子抜けでした。

近くにいたフランス語を話す集団は、衛兵が目の前までやってきても延々お喋りしていましたし、女王陛下の威信はどこへやらという感じです。むしろ、こうした親しみやすい雰囲気が強みなのかもしれませんが、とにかく色々思うところはありました。


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▲宮殿上にはためくユニオンジャック


また、英国の象徴であるユニオンジャックも、バッキンガム宮殿を始めとしてあちこちで見かけることができましたが、こちらからもナショナリスティックな香りは感じませんでした。どちらかというと、観光資源としてあちこちでデザインが利用されているように見受けられました。

ロンドンには「Cool Britannia」というお土産ショップがあちこちに存在しているのですが、そこを訪れてあれこれ見ていると、ユニオンジャックも衛兵も完全に観光資源としてコンテンツ化されてしまっているかのような印象を受けました。

日本で日章旗をデザインしたお土産を扱っているのは今まで靖国神社遊就館くらいしか見たことがないような気がします。日本では日章旗がはためいていると、どこかナショナリスティックな雰囲気を感じますが、それは街宣車等々の影響なのでしょうか。戦勝国であるイギリスこそ、国家や王室を正々堂々国家の象徴として扱うことができる文脈と権利を持っていると思うのですが、かえってポップな存在に見えてしまうのが不思議なところです。

ちなみに、Cool Britanniaという店舗名は愛国歌「Rule Britannia」のパロディかと思ったのですが、90年代以降の新たなスタイルのロンドン文化を表す造語として一世を風靡した言葉だったようです。知りませんでした。


衛兵交代見学後は、ロンドンの街並みを見てみてかったため、中心地に向かってうろうろしてみました。


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▲レスタースクエア


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▲有名なピカデリー


It's a long way to Tipperaryという、アイルランドから出てきた若者がロンドンの豪華絢爛さに度肝を抜かれるという歌のサビ部分でここがでてくるのですが、それをいつか見てみたいと思っていました。


いつかはります
▲夜の風景


レスタースクエアからピカデリーまでは徒歩5分もかからないくらいなのですが、ここら一帯の賑やかさは凄まじいです。ロンドンの街並みはここだけでなく、どこもかしこもきらびやかなのですが、建物の外観もドイツとはまた異なっていたため、散歩をしているだけでも見飽きることはありませんでした。

やたら目についたのは劇場です。ドイツには一つの街に一つ劇場があるといったふうに、劇場が不可欠な施設となっていますが、ロンドンの中心街には2ブロック毎に一つというくらいの割合で、劇場と映画館が乱立しています。ドイツの状況にも驚きだったのですが、ロンドンには圧倒されました。劇場に併せてチケット売り場もあちこちに存在しており、観劇文化が街の中心に存在しているようでした。

レスタースクエアには大きなチケットショップがあり、ここでロンドン市内すべての劇場のチケットを購入することができます。

そこら中にチケットショップが存在してはいるのですが、おそらくここが一番信頼できるのではないでしょうか。別のチケット屋より若干安かったですし、しっかりしています。

ガイドブックにて、ミュージカルが有名との情報を得ていたので、せっかくなら何か見ていこうと思い、「レ・ミゼラブル」を見てきました。一時期前にミュージカル映画が公開されて話題になっていましたが、その際に見逃していたため今回が初観劇でした。すべてを聞き取ることはできませんでしたが、半分は聞き取りから、残りの半分は演者の動きから内容を理解する形で楽しむことができました。

劇場には仕事帰り風の人からしっかり着飾った人まで色々なタイプの人がおり、観劇が特定の階層の特権的趣味ではないことがうかがえます。

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▲クイーンズシアター

オペラは何度か見たことがありましたが、ミュージカルはもしかしたらこれが初めてだったかもしれません。ミュージカルにはセリフパートがあるものと思っていたのですが、ミゼラブルは常に音楽にのせてストーリーが進行するんですね。

最初の銀の燭台のエピソードで「ああ、これが」と思って以降は、やや盛り上がりがなく退屈に感じ始めていたのですが、決起集会?のシーンからの盛り上がりは凄まじかったです。「フランス革命関連のお話」という程度の事前知識しか持ち合わせていない初見でも楽しむことができました。

帰国後にYoutubeやら何やらで調べて見返しているうちに、全編通して気に入ってしまい、もう一度見に行きたい気持ちに駆られています。

それにしても、午前中はバッキンガム宮殿で国家的イベントを見て、午後は劇場で革命劇を見ることができるというのは面白い文化です。ステキ。

190日目(4月8日 火) イギリス旅行 その5 ~Londonへ~

リヴァプール観光 ~LiverpoolからLondonへ~

この日は朝から半日リヴァプールを観光し、夕方にはロンドンへ帰る予定です。例によってホテルは押さえてありますので、この日はどう転んでもロンドンまで行かなければなりませんでしたが、具体的な時間等は定めていませんでした。

朝はホテルのチェックアウトを済ませたら、ライムストリート駅に向かい、荷物を預けて帰りの電車を確認するところから始めました。大体19時前後の電車に乗ることができれば、22時前にはロンドンに帰ることができるようです。18時過ぎまでは遊んでいても大丈夫なようです。


最初の目的地は「ビートルズストーリー」という施設でした。その名が示すように、ビートルズ結成から解散までの流れを、様々な資料で解説してくれている博物館のようなものです。これは海沿いの埠頭エリアに位置していたため、街並みを見ながら歩いて市街地を抜けることにしました。


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▲朝のマシューストリート


昨日散々迷った挙句にたどり着いたマシューストリートでしたが、最短ルートで駅から徒歩五分でした。なんと。

ところで、マシューストリートには「キャバーン」という有名なパブがあります。


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▲キャバーン!ポイント倍点!


夜間はライブハウスパブとして営業しているのですが、日中は観光客向けに開放されています。


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▲このようにあれこれ展示されていたり、お土産グッズがあれこれ販売されていたり。


昼間であれば入場料等も必要ないのでふらっと立ち寄ることができて良いです。


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▲キャバーンを通り過ぎて、マシューストリートを抜ける角には大きなお土産屋が。


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▲天を指差すレノン像
「じゃ、先行ってるよ」とでも言っていそうな不敵な笑み


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▲埠頭エリア パノラマ


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ビートルズストーリー入口
館内では音声案内を手渡されるのですが、対応言語が10か国語ほど用意されており、日本語も含まれていたので驚きました。せっかくなので今回は日本語音声を利用させていただくことに。


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▲そういえば、ビートルズはドイツのハンブルクに修行に出たことがあるそうです。
NHKドイツ語講座でもそんな話をしていたような。


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▲ドイツ語のビラ


ハンブルクビートルズを成長させたということらしく、このエリアはドイツ関連の話やらグッズにあふれていました。


一通り順路を回り終えると、休憩所としてスターバックスコーヒーに繋がっていました。ホントにどこにでもあるんですねスターバックス。レジで「どこからきたの?」と尋ねられたので、日本から来た旨を伝えたところ日本語でお返事が返ってきました。日本に興味があって勉強しているそうで、今年日本へ行く予定があるのだそうです。案外日本ってメジャーな国なのでしょうか。こちらへ来てから、やたら日本語で話しかけられたり、日本に興味があるという学生に会ったりしています。


スターバックスに続いて、順路はお土産屋に続いていました。このあたりは日本の観光地同様、商魂たくましいというかなんというか。

ドイツの博物館はお土産ショップが質素だったり、出口と離れた別の建物に入っていたりすることが多いのですが、イギリスは戦車博物館もここも、この後に訪れたいくつかの施設も全てお土産屋を通らなければ出口にたどり着けない構造になっていました。

あれこれグッズを眺めているのも楽しいのでありがたい話なのですが、なんとも露骨な配置ですね。


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▲海沿い


この日は素晴らしく良い天気でした。博物館の中にいるのがもったいないくらいです。海沿いは風が強いので、外にいるのが一概に心地良いとも言えませんが、のんびり景色を見ているのも楽しかったです。


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▲街並み


リヴァプールは港の田舎町だとばかり思っていたのですが、こんな感じで近代的で発展しています。

続いては、ちょっと中心地から離れて郊外へ。


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▲ペニーレーン
中心街からバスで30分ほどの位置です。


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▲床屋


辺りにはあちこちに床屋があるため、どれが歌に出てきた店なのか分かりませんでしたが、ちょうど付近で出会った日本人観光客の方が「これらしい」ということを教えてくださいました。ありがたや。

おかげさまで今日の任務達成。
この後は、中心街に帰り夕食でした。


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▲ナントカパイ
左のパンみたいなものの中にシチューのようなものが入っており、食べごたえがありました。イギリスは料理がおいしくないという噂をあちこちで耳にしていましたが、今回食べたものはこれも含めておいしいものばかりでした。ちょうど当たりだったのか、それとも噂が独り歩きしていただけなのか。


この日は、ビートルズストーリーとペニーレーンの二か所が主な目的地でした。本当はストロベリーフィールズなど、他にも行ってみたいところがありましたが時間切れです。それはまた次回(次があるかどうかは定かではありませんが)ということにして、ロンドンへ帰らなければなりませんでした。


この日のホテルは、先日同様ハイドパークの端っこの方に位置していたのですが、今回は地下鉄を有効利用できたためさほど苦労もなくたどり着くことができました。

189日目(4月7日 月) イギリス旅行 その4 ~Liverpoolへ~

リヴァプール到着 ~LondonからLiverpoolへ~

さて、イギリス旅行3日目であった前日夜にロンドンに到着したのですが、この日再度ロンドンを離れました。ロンドンも、もちろん観光したかったのですが、この日は早めに切り上げて第二の目的地であるLiverpoolへ向かわねばなりませんでした。昨晩からこの日にかけてのロンドンはただの中継地点です。

アナログの旅、といってもホテルだけは押さえていたので、それに合わせて移動するのが今回の旅の唯一の制約条件でした。実は昨晩ロンドンについた時点でロンドンをウロウロしたい欲に駆られていたのですが、そんなわけでお預けです。

リヴァプールは、ロンドンから北へ電車で二時間ほど行ったところに位置する港町です。リヴァプールといえば、サッカーも有名らしいのですが、なんといってもビートルズですよ皆さん。ビートルズという世界を巻き込んだセンセーション発祥の地がここリヴァプールであることはあまりにも有名です。

イギリスにやってきたからにはここを訪れずにおくわけにはいきません。ということで、ビートルズ関連の施設・史跡巡りをする目的で第二の目的地に設定しました。今回は留学の目的で挙げた戦争関連の施設はナシです。そもそも留学の目的は"ドイツと日本の比較"を前提にしたものですので、イギリスにいる時点で関係ないといえばそれまでですが、ともかく今回は完全に遊ぶためにリヴァプールにやってきました。いや、今までもほとんどが趣味に基づいた旅行でしたので、"今回は"というよりも"今回も"という表現の方が適切かもしれません。


私は中学生の頃、父からCDを借りたことがきっかけで大いにビートルズにハマってしまい、借りたCDだけでは物足りなくなって、あれこれアルバムを集めては同じ趣味を持った友人とお気に入りの曲について話したりしていました。
当時は現在にも増して英語の勉強は大嫌いで、宿題も数えきれないほどサボっていましたが、ビートルズの曲を友人と訳したりして遊んでいたのはぼんやり記憶に残っています。思い出補正がかかっている可能性もありますけれども。

なんにせよ、学校の授業とは違う経路で英語というコンテンツにアクセスする機会を与えてくれたのがビートルズでもありました。そんな思い出深きビートルズゆかりの地、リヴァプールにはいつか行ってみたいなぁと思っていたのです。今回その小さな夢が叶いました。
てっきり程よい歳のオジサンになってから訪れるものと思っていましたが、まさかドイツ留学中に訪問する機会に恵まれるとは当時は思ってもみませんでした。人生分からないものですね。


はい、前置き終わり。


昨晩遅くにホテルにたどり着き、食事もそこそこにシャワーだけ浴びてさっさと寝てしまったのですが、朝は若干寝坊してしまいました。さらに、昨晩夕食をまともに食べていなかったせいでひどくお腹が空いており、英国式朝食(ベーコン、スクランブルエッグ、焼きトマト・マッシュルーム、パン、シリアル、血なまぐさいソーセージから選択式というのが典型的)のバイキングで終了時間まで粘ってあれこれ食べていたため、出発が遅れました。

本当は、リヴァプールへ向かう前にバッキンガム宮殿に寄って衛兵交代を見ていくつもりだったのですが、既に怪しい時間になっています。
慌てて準備をして向かったものの、地下鉄の経路をよく把握しておらず、またチケット購入にもまごついていたため、結局衛兵交代がちょうど終了したころにバッキンガムにたどり着きました。


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▲もう終わりましたよ

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▲それでもこれだけの人が宮殿前にたむろするカオスっぷり


まあいいさ、これでバッキンガムまでの経路は把握した!後日しっかり見学しよう!と気を取り直して、ロンドンを後にすることに。
ただ、ロンドンから出るまでが案外長いのです。リヴァプール行の電車は、ロンドンのEuston(ユーストン)という駅から出ているのですが、このEuston駅がロンドン中心地から若干遠いためです。

バッキンガム最寄の大型駅は、Victoria(ビクトリア)駅で、ここからユーストンまで電車も出ているようなのですがその電車を見つけることができず、結局バスで向かうことにしました。ロンドンバスって本当に二階建てなんですね。都市伝説だとばかり思っていました。物珍しさから迷いなく二階席に座りました。眺めが面白かったです。


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▲道中見つけて咄嗟に写真を撮ったお店「わさび」
後になってあちこちに存在していることが分かりました。

道が混んでいましたが、およそ20~30分ほどでユーストンにたどり着いたような気がします。


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ユーストン駅の様子


ユーストンに限らず、ロンドンの大型駅は大体こんな感じで、大きな電光掲示板にこれから発車予定の列車の旅程が時間順に一覧表示されていました。空港のようなイメージ。すさまじく分かりやすかったです。
ドイツでは各プラットフォームの電光掲示板と、プラットフォームに貼られた大きな一覧表を眺めて探すのが正道とされており、スマートフォンのアプリ等を利用しない限りはちょっと分かりづらいです。

また、プラットフォームも一列に並んで配置されており、単純明快。東京駅で迷子になるような私でも難なく目的の列車に乗ることができました。
ドイツも終点駅である大型駅(ミュンヘンとかフランクフルトとか)は似たような構造なのですが、ロンドンの方が圧倒的に分かりやすいです。

ここの自動券売機でリヴァプールまでの往復券を購入しました。帰りの日程が購入日から数日間まで許容されるということだったので、まとめて買ってしまった方がお得かなと思いました。

そういえば、ロンドンの列車関連の自動券売機では、クレジットカード利用が前提とされているのか、小銭・紙幣投入口が一切ついていないものが多かったです。カードを持っていなかったら面倒だったかもしれません。


ロンドン市内の交通は、オイスターカードというロンドン版Suicaを購入することで一気に使いやすくなりますが、これについてはまた数日後の記事で記述します。


リヴァプールまではありがたいことに乗り換えの必要はありません。あとはのんびり座っていればいいだけです。


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▲道中の車窓から
レンガ造りと思しき赤っぽい家が並んでいます。日本的風景とは明らかに違いますが、ドイツの街並みとも違っていて新鮮でした。
飛行機の窓から街並みが見えたときに、同じ形の建物が並んでいるのが目に入りましたが、これがイギリス式なのでしょうか。ドイツは同じようなデザインでも形はバラバラで、雰囲気は統一されていても個性があるような気がします。

そして到着。

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▲Virgin Train(バージントレイン)
おそらくリヴァプールまで来る方は皆これに乗ることになるのでは?


到着駅は、Liverpool Lime Street(リヴァプール ライムストリート)駅になります。リヴァプール中央駅、などといった分かりやすい名前ではないので「おや?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これがリヴァプール最大の駅です。ロンドンからリヴァプールへ向かうのであれば必ずこの駅にやってくることになります。


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▲ライムストリート駅外観


この日のホテルは駅から徒歩3分、ロードネルソンホテルでした。


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▲ロードネルソンホテル


立地の良さと名前の物々しさから、お高いホテルかと思いきや、今回の旅行中に滞在したホテルの中で最も安かったので驚きです。一泊20数ポンドだったでしょうか。ロンドンのホテルは安くても30ポンド前後でした。


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▲こんなでっかいテレビもついていて設備も良いのでさらに驚き。


日本でも人気の「Top Gear」ですが、本国では毎日のように放送されていました。朝テレビをつけるとやっていて、一日観光してホテルに帰ってくるとまた放送されている...といった具合です。BBCだけでなく、他のチャンネルでも放送されていたので、日本で放送されているのと同様のスタイルで再放送をあちこちで流しているのでしょう。

また、「風雲!たけし城」も英国で放送されていました。
ドイツ人の友人が以前、「日本の番組といえば"タケシズキャッスル"が有名だよ。あれ、クリアした人はいるの?」なんて話をしていたので、ドイツで再放送されていることは知っていました。まさかイギリスでも放送されているとは。
ちなみに私は現在大学生でまだ20代前半ですので、「たけし城」をリアルタイムで見たことはありません。これが初たけし城試聴でした。変な話ですね。


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▲駅の真横には劇場があるという観光客フレンドリーな都市設計

ってあれ?

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▲これはまさかのビートルズ公演?


白々しく聞こえるかもしれませんが、運よくここを訪れた日に「LET IT BE」(リンクは公式サイトへ)の公演がありました。曲は当然知っていますが、この「LET IT BE」が一体いかなる代物なのか全く知りません。しかし、ビートルズ関連の何らかの公演であることは明らか。
ビートルズを題材にしたミュージカルかな?うぅ、行ってみたい。行ってみたいけれども、観劇できるような服装ではないし、この後の予定を何も考えていなかったしどうしよう...とりあえず様子見ということにしておくか。という葛藤を経て、頭の片隅に置いておきつつ市街をお散歩することに。


ビートルズにまつわるものを見たければ、とりあえずマシューストリートへ向かうべし!という定説に基づき、まずは何も考えずマシューストリートを探すことにしました。市街マップも購入し、準備万端だったのですが、結局迷子になりました。

実は駅から、そう遠くない場所だったのですが、目的地が細い路地だっただけに中々見つけられませんでした。私の方向音痴が主な原因でしょうけれども。


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▲ご親切にも横断幕がありました


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▲ストリートの様子


既に時刻は18時を回っており、お土産屋の類はほとんど閉まっていました。ここから街は夜モードで、パブなどが賑わい始めている様子でした。
一方私は地図を片手に観光客丸出しで歩いていたところ、おばちゃんに呼び止められ、3ポンド恵んでくれとせがまれていたのでした。

ドイツにもこの手の人はいましたし、今まで積極的に声をかけられた場合はいくらか渡すようにしていました。というのも、私がもしその日を生きる小銭すらなくなってしまったときに、同じように見ず知らずの人にお金をせがむことができるのだろうかと考えると、どうも自分にはそのようなことはできないように思われるからです。

それは、他人に迷惑がかかるから、とかそういう理由もありますが、それよりもきっとプライドや矜恃が邪魔をすると思うのです。

そもそも、お金を恵んでくれというだけであればそれほど迷惑でもありません。金を出せ!と脅しているわけではないのですし、人に尋ねることで他人をトラブルに巻き込むということもありません。むしろ、積極的に助けを求めることができるというのは一つのスキルといえます。変にプライドや体裁にこだわって必要なときに他人に助けを求められないよりは、はるかにマシです。

ドイツにいて驚かされるのは、そんな彼らのさわやかさです。「やあ、ちょっと失礼。もしよかったらいくらか恵んでくれないかな?」とさも友人のように話しかけてきて、断っても「そうか、悪かったね」といった具合でさわやかに去っていくのです。
お金を渡したら渡したで、「ありがとう!」とにこやかに去っていきます。

何ですかこのポジティブなコミュニケーションは。お互い見ず知らずなのに、ここまでフレンドリーにものを頼むことができるというのは、無礼というよりはむしろ美点だと思います。
もしかしたら、そのようにさわやかに振舞うことがある種の作戦なのかもしれませんが、それでも一向に構いません。
「ここまで積極的に他人に何らかの形で働きかけることができるあなたたちを私は尊敬する!どうぞ50セント持って行ってください!」というくらいの気持ちで、小銭を持っている場合は渡すようにしていました。

が、今回はちょっと様子が違います。「バーミンガムまで行かなければならないのだけれども電車代が足りない。全部で15ポンド必要だが、3ポンドでいい。恵んでくれない?」というような具体的な要求です。しかも、譲歩してくれているのでしょうが、3ポンドって結構な金額です。現在円が弱いこともあり、およそ500円相当です。

それはちょっとなぁ...と思い、50ペンスくらい渡して「これで勘弁してくれませんか」と言って立ち去ろうとしたのですが、「これじゃあ足りないんです。お願いします。」と妙に食い下がります。まいったなぁ...と思っていると、そこに地元の方と思しきおじさんが通りかかり「君、彼らを相手にしちゃいかん。いいからこっちへ来るんだ。」と救いの手を差し伸べてくれました。

おじさんとはその後しばらく一緒に街の中心地まで歩いたのですが、こんなことを話してくれました。

「彼らがどんな理由を述べたかは知らんが、お金の使い道はただ一つ。ドラッグだよ。ドラッグ常習者は目を見れば分かる。目がうつろだったり、とにかく特徴があるんだよ。彼らはああやって観光客相手にお金をせがんではドラッグ代に充てているのさ。観光地には特にそういう輩が多いから、君も観光で来たのであれば気を付けた方がいい。」
というのです。

なんと!ドラッグ!?「ダメ、絶対」のアレですか?身近なようで遠い世界の出来事と思っていたドラッグの影がこんなところに?考えもしませんでした。
しかも、彼らにお金を渡していたということは私もドラッグ市場に婉曲的に貢献してしまったということではありませんか!無意識に犯罪に加担していたとは世も末です。もはやどうしようもありません。

いや、今回だけでなくドイツのさわやかな彼らも常習者だったのか?私は目を見ただけでは判断がつかないので何とも言えません。しかし、潜在的犯罪幇助の危険性から得体のしれない人にお金を渡すのは今後はやめた方がよさそうです。仮に生活に困窮しているかのような体をしていても、それがドラッグによるものであればどのみち救いようがありませんし。

ビートルズ目的でやってきたマシューストリートで最初に学んだのがこのドラッグの話でした。こんなところからビートルズは育っていったのか。いやはや。あ、ただマシューストリートが特別治安が悪いというわけではありませんよ。観光地には多かれ少なかれこういった話は付き物ですし、むしろ強盗やスリにあったわけではないので治安は良い方と言えると思います。
ですので、これから観光に訪れる方はご心配なく。(日中ならば観光客であふれているので、さらに安心感があります。)

ちなみに、アドバイスをくれたおじさんはタクシーの運転手だったようで、そんなこともあって地元のことに詳しかったらしいです。「晩御飯を食べるならそこの角に良いお店があるから行ってごらん。」と別れ際まで助言をしていただきました。その角にあったのはイタリアンとフレンチレストランだったので結局入らなかったのですが、とにかくお世話になりました。ありがとうおじさん。


そんな小さなインシデントに巻き込まれている間にすっかり日も暮れ始めていました。どうせならイギリス料理を食べたいなぁと思いあたりを探していたところ、フィッシュ&チップスのお店を見つけました。どうもドイツで言うDönerケバブのような立ち位置のようで、サッと購入して持ち帰ることができるようです。
この日の晩御飯はこれにしました。


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▲イギリスのフィッシュ&チップスは、魚のフライがでっかい塊だと聞いてはいましたが、まさかこれほどとは。見た目のインパクトがすごいですが、味はおいしかったです。


駅のベンチでこれをつまんでいたのですが、ちょうどそのころ隣のシアター前がやや賑やかになっていました。そろそろ公演が始まる時間のようです。結局この時までLET IT BEのことは忘れていました。

シアターを除いてみると、案外フランクな服装の方が多いことに気が付きました。オペラのあの雰囲気を想像していたのですが、身構える必要はなさそうです。それに、劇場の賑わいを見ていたらいよいよ自分も観劇したくなり、係の方に質問してみたところ、ちょうどこれから公演が始まるところとのことでした。

慌てて当日券を買いに向かうと、まだチケットは余っていたようで、しかも開演直前ということで安くなっていたらしく、10ポンドほどで席を確保できました。
扉を開けてホールに入ると、ちょうど一曲目の「I Saw Her Standing There」が始まったところでした。入ってオロオロしていたら、係のお兄さんが席まで案内してくださいました。

それにしても、いかなるものか分からずに飛び込んでしまいましたが、これはスゴイです。ステージで演奏している4人は見た目も声も、まさにビートルズといった感じなのです。なんというか、もし自分が当時生きていてビートルズのライブに参加したらきっとこんな感じだったんだろうなぁと思わされてしまいました。

お客さんは若い人たちもいたようですが、自分の周りにいたのはどちらかというと中年~初老といった年代の方たちが多かったです。もしかしたら当時を知っている年齢層だったのかもしれません。

ミュージカルかな?と思っていたのですが、違いました。完全にライブです。本気のコピーバンドによるビートルズの再現ライブ、と考えていただければおおよそ間違いはありません。

途中MCも挟むのですが、喋り方や声まで真似ているのです。私のような世代にとっては、ドキュメンタリーや記録映像の中でしか見たことのないメンバーの会話が、目の前で繰り広げられている様は、感動的であると同時に何とも奇妙な感覚でした。現実感がないというか、夢の中にいるような気分というべきか。

本物を知らない私がこんなことを言うのはおかしな話かもしれませんが、あれはビートルズなのです。会場の雰囲気も相まって、ビートルズが目の前にいるかのような気分に浸ることができるのです。

お客さんたちは多少高齢とはいえ、実にノリノリで、立ち上がって歌ったり踊ったりしていました。後ろを振り返れば、先ほど案内してくれた係の方たちもノリノリで踊っているではありませんか。

それから一つ気になったのは、写真を撮っている方が結構いたことです。ライブ中に写真を撮るというのはご法度だと思っていたのですが、イギリスではOKなのでしょうか。もちろん、シャッター撮影はさすがにありませんでしたが、スマートフォンをかざして撮影している人の姿があちこちに。
係の方がそれを止めに行くということもないようなので、これはそういうものなのかと思い、私も写真を撮ってしまいました。


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▲サージェントペパー中


ただ、後になって地球の歩き方をじっくり読んでみたところ、「写真撮影は無論マナー違反とされているが、案外守られていないことも多い」ということらしく、ただ黙認されているだけだったようです。つまり悪習に倣ってしまった形になります。

マナー違反の産物と分かっていながら写真をアップロードする理由は、Youtubeで「LET IT BE」と検索したところ、公演の様子を個人撮影した動画がたくさん出てきたからです。
それでも削除されていないので、そこまで含めて容認されているのなら、いっそ...と開き直ることにしました。もう撮ってしまったものは仕方ない。もちろん、二度と撮影はしません。
ここで恥をさらすことで、マナー違反をした過去との決別を図るのです。そんなさよならの一枚とお考えください。


さて、公演は基本的に時代に沿ってビートルズの曲をひたすら演奏し続けるというもので、ビートルズファンならば間違いなく満足できる内容だと思います。雰囲気を味わうとはこういうことかと思いました。


見どころ、というか面白かったのは「When I'm Sixty-Four」です。
曲調はゆったりしており、盛り上がる曲というわけでもないと思うのですが、客煽りとそれに合わせて皆で合唱していたのが印象的でした。
これは当時のファンが今ではそれくらいの年齢になっているであろうことを考慮したファンサービス?なのかしら。きっと当時熱狂した方たちからしたら、また違った感慨深さがあるのでしょう。


公演が終わるころには22時を回っていました。あちこち歩き回ったこともあり、程よく疲れていたためホテルについてすぐに寝付くことができました。この日も盛り沢山でした。

188日目(4月6日 日) イギリス旅行 その3 ~Bovington Tank Museum~

ボービントン戦車博物館 一般展示の話など

前回更新からだいぶ間が空いてしまいました。ボービントンの続きからです。

Tigerdayはイベント終了後も多少館内見学をする時間的余裕があったものの、土・日は電車が運行しておらず、臨時バスに乗るしかなかった上にその臨時バスの運行スケジュールを把握していなかったため、早めに帰ることにしました。

戦車博物館の最寄駅Woolから博物館までは、歩くにはちょっと遠い距離です。往路はタクシーを利用しましたが、帰りもタクシーに頼ることにしました。といっても、戦車博物館に大きな駅や空港のようなタクシーの停留所があるわけではありません。

往路でいただいていた名刺を博物館の受付で見せ、タクシーを呼んでもらうことにしました。なお、この手法は海外から戦車博物館へやってくる大半の観光客が利用しているものらしいので、遠慮する必要はありません。受付の方も慣れた様子でした。

ただ、イベント後ということもあってタクシーが出払っていたらしく、「先ほどあなたの他にもタクシーを呼んだ方がいるので、その方と相乗りでお願いできますか?」ということになりました。駐車場へ行ってみると、ちょうどタクシーが一台やってきており、5~6人がタクシーの周りに集まっていました。どうやら私と同じ状況の方々らしいです。

タクシーは小型バンといったようなタイプのもので、8人ほど相乗り可能なものでした。結局その場に集まっていた方々は、私を含めて全員相乗りできました。料金も人数で割ったのでラッキーでした。

その後はスムーズにドーチェスターまで帰り着くことができました。バスも少なくとも一時間に一本はあるようです。案外事前に何も調べてなくても何とかなるものですね。

そういえば、ここで逃すとドーチェスターのことを書く機会がなさそうなので今のうちに少しだけ。
ドーチェスターはWoolよりさらに西に位置する小さな町です。こぢんまりした街並みは、ロンドンのような豪華絢爛さこそないものの、欧州の田舎町を楽しむにはもってこいです。
現在ショッピングモールを開発中らしく、駅前の一帯は工事中でした。2~3年後には少し風景が変わってしまっているかもしれませんが、駅から若干離れたところにメインストリートが位置していますので、その街並みが失われることはないと思います。

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▲Dorchesterの街並み

戦車博物館の存在するWoolは、ここドーチェスターよりもさらに田舎の町で、駅の周りには文字通り何もありません。宿泊施設も存在しているかもしれませんが、私は見つけられませんでした。

ボービントンを2~3日かけて見尽くしたいという方の宿泊場所としてDorchesterはおススメです。Woolまで、土日はバスで20~30分かかりますが、平日ならば電車で10分。街には宿泊施設も複数ありましたし、またパブやレストランもそれなりに存在しています。

今回私が宿泊したのはCasterbridge Hotelというホテルです。ドーチェスターの駅から徒歩5~10分ほどのところに位置しており、お値段は個室のホテルとしては安かったと思います。朝食で典型的なEnglish Breakfastを味わうこともできます。何より、オーナーのおじさまがとても優しい方で非常に居心地が良かったのでお勧めです。

予約にはBooking.comというwebサイトを利用しました。欧州のホテルのラインナップが豊富で、田舎町の宿もしっかり網羅しているところが助かります。予約までの流れはすべて日本語でできるところもナイスです。ムンスター戦車博物館を訪れる際もこのwebサイトから宿を探しました。欧州の宿探しをするには使いやすいサイトではないでしょうか。

webサイトの方はともかく、宿は本当に良かったです。戦車博物館を泊がけで観光する方は是非。



さて、ということで、ようやくこの日の話になるわけですが、この日も前述の通りバスしか運航しておらず、朝から駅でバスの運行時間を尋ねるところから始まりました。
Dorchesterの駅もかなり小さいのですが、臨時バスの運行に伴って係の方が案内をしてくれていました。昨日も同じ方だったので、「あ、また会いましたね。」というような妙な雰囲気になりました。

行先を告げると「え、またWoolですか?Woolに一体何が?」というような反応をされました。
ムンスターへ訪れた際は、近場の駅で「ムンスターへ行きたいのですが」と尋ねた途端に「ああ、戦車博物館ね」という反応が返ってきて驚いたのですが、ボービントンは知名度が低いのでしょうか。博物館の規模ならばボービントンの方が圧倒的に大きいのですが...

それはさておき、この日も無事午前中に博物館までたどり着くことができました。往路のタクシーで、「君、帰りもタクシー使う?もし使うんだったら今のうちに時間と場所を決めておいてくれれば迎えに行くよ。」とありがたい申し出をしていただいたので、お言葉に甘えて予約を入れておきました。

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▲「じゃあこの銅像の前に16時で」ということに。

昨日来ていた武器触り放題屋はおらず、またお客さんもちらほら...という程度しか見られず、何とも閑散としておりました。昨日は大いににぎわっていたので、てっきり毎日そんななのかと思っていました。

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アラビアのロレンスゆかりの地を巡ろうぜ!という看板。このあたりに点在しているようです。Moretonというところにお墓があるそうですが、ここからは遠いのでまたいつか。


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▲敷地内見取り図
ディスカバリーセンターもタンクストーリーも、どちらも戦車と解説パネルによる展示がなされているホールです。ディスカバリーセンターの方が、ゴチャゴチャ戦車が並べられており、タンクストーリーはその名の通り、WW1から時代に沿って戦車の発展と歴史が展示されています。


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▲「英国王室に忠を尽くした英国騎兵・機甲部隊員の記念碑」ということらしいです


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▲アリーナ外観


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▲装甲車に乗ってみようイベント
ここに書かれている時間までは終日運行しているらしいです。時間がなくて乗れませんでした。


以下戦車たちを中心に。
展示車両の写真は、昨日(Tigerday)に撮影したものも含みます。お客さんが映り込んでいるのは大体Tigerdayの写真だと思っていただければ。
それから、昨日開催していた兵器画展やティーガー画展はすべてなくなっていました。常設展示ではなかったようです。こんなことならもっとしっかり見ておけば...と思いましたが時すでに遅し。

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ディスカバリーセンターの入口を抜けると...
ケーニヒスティーガー(ポルシェ砲塔)がお出迎え。


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▲砲塔前面の曲線美がポルシェ砲塔の特徴ですね。


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▲うん、かわいい。ムンスターでヘンシェル型を見たときは恐ろしさを覚えましたが、ポルシェ型はかわいげがあっていい。


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▲徒歩30秒の位置にヘンシェル型も展示されていますので、ここで見比べることも可能です。
側にいたお父様が小学生にも満たないであろう子供たちに「ほら、これ触ってごらん。表面が凸凹してるでしょ?これによって吸着地雷を取り付けることができないというわけだね。」と一生懸命ツィメリットの解説をしていたのを見て和みました。なんという英才教育。


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▲いつもの。
このショーケースの中に、ドイツ軍の装備が一通りまとめて展示されていました。パンツァーファウストやMGからご覧のような腕章に至るまで。英国軍装備でさえここまできれいに展示されていなかったような気がしますが...



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▲I号指揮戦車



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II号戦車
後ろのパネルは電撃戦の解説をしたものでした。



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▲ルクス


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▲Ⅲ号近影



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▲Ⅲ突



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▲Ⅳ号
砲塔にシュルツェンを装備した、D型をH型水準まで強化したものらしいです。



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▲パンター
デカい


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▲前日アリーナを走行した131号車



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▲転輪・履帯周りの乾いた泥が生々しい



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▲履帯その2


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▲見たかったヤークトティーガー
この案内板配置の妙よ。反対側には先ほどの第三帝国ショーケースがあり、ベストアングルはすべて封じられていました。鉄壁の防御。存在感が凄まじかったです。



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▲もはや壁と言った雰囲気。



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▲マチルダ2



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▲M3 グラント



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チャーチル



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ルノーB1



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▲ソミュアS35



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▲KV-1



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▲95式軽戦車
「へへっ、僕ぁダメなやつさ」とか卑屈なことを言っていそうな表情。




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▲館内にはこの写真のようなミニゲームコーナーが点在しています。1Play 1ポンド
エンフィールド以外にも3~4種類ありましたが、エンフィールドとPIATが面白かったです。


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▲展示がポップでかわいらしく、家族連れを客層として想定しているようです。



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▲レシートにはSoldier Lunchとか書かれていますが、Tigerdayナントカーという名前のメニューでした。
ボービントンは、この写真の食事コーナーのほかにカフェがあり、休憩スペースが充実しています。またお土産ショップの品ぞろえもかなりのもので、観光客に優しい博物館です。


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▲お土産ショップではTigerfibelの英語版も売られていました。5000円くらいしたのでスルーしましたが。



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▲また、戦車に目が行きがちですが、写真の塹壕コーナーも見ものです。



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塹壕コーナーの一角



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▲ギャー!!



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▲なんだこれはー!!
と、WW1ドイツ兵の気分で戦車との遭遇を体験できたり

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▲馬が戦車に対する驚きを語ってくれたりします。
この馬の骨のようなものがあちこちにいて、あれこれ音声解説してくれます。
この写真の馬は
「うわぁー!やめろ!来るなー!」みたいな取り乱したことを叫んでいました。



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▲黎明期のマークホニャララが一通り展示されています。


とにかく見どころが多すぎて、二日あっても足りないくらいでした。
途中で細かく見学するのに疲れてしまい、所蔵品の多さにうんざりしたくらいです。


お土産ショップも大きく、ここも見ていて楽しいのでやたら時間がかかってしまいましたが、タクシーのおじさんと約束した16時にはWool駅に戻りました。

この日の夜はロンドンに宿泊することになっていたのですが、ロンドンまでの経路は不明です。臨時バスが電車と同じ経路まで出ているはずとのことでしたので、とりあえずバス停で待っていたら難なくロンドン行のバスを発見できました。

バスはサウザンプトンまでで、そこからは電車が運行しているとのことでしたので、電車に乗り換えることになりました。バスを挟むと移動に結構な時間がかかってしまいます。
電車でロンドンウォータールー駅に到着したころには20時過ぎになっていました。

ホテルはハイドパークの北西あたりに予約していたのですが、初めて訪れたロンドンの地理など分かるはずもありません。地下鉄が張り巡らされているのは知っていましたが、日本でも地下鉄をうまく利用できたことのない私はとりあえず分かるところまで歩いてみることにしました。



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▲劇場


ロンドンは当然ながらとんでもない都会で、東京を彷彿とさせるビル街の他に、写真のような欧州的な建物が並んだ小ぢんまりした路地があちこちにあったりと、見ていて飽きません。キョロキョロしながら歩いていたら、結局ハイドパークまでたどり着いてしまいました。こうなったらホテルまで歩くか、と思ったのですが、ハイドパークが思いのほか広く、地獄を見ることになりました。


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▲夜のハイドパーク
ここまで来たらもうすぐ!と思ったらそんなことはなかった


ホテルに着いたらもうへとへとでした。まだ夕食を食べていなかったのですが、レストランを探して外出する気力がなかったため、持っていたカロリーメイトでしのいですぐに寝てしまいました。
それにしてもロンドンは凄まじい街です。