Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

194 ~ 233日目(4月12日 土 ~ 5月21日 水) 最近の様子・出来事 その1

近況 その1

皆さんこんにちは。だいぶご無沙汰しております。イギリスからの帰国後は一週間ほど残った春休みをのんびり過ごし、その後、後期(夏学期:Sommer Semester)が無事に始まりました。
更新が面倒になってしまい、長らくブログを放置していましたが、先日後期のテストが終了して一区切り付きましたので、春休みからの二か月をダイジェストでお届けさせていただこうと思います。思い出せる範囲で。
また、すべてを一記事にまとめてしまうと長々と見苦しくなってしまうかと思いますので、数記事に分ける予定です。ゆえの「その1」ということです。

ちなみに私は元気です。最近花粉のような症状に悩まされていますが、日本の杉花粉の破壊力に比べれば大したことはありません。日本にいると、この時期までが花粉のピークでしたが、ドイツの花粉はやや遅れてやってくるようですね。

先週あたりからだいぶ暖かくなってきて、早くも夏が始まったようです。ドイツの中で最も雨が多い地域などといわれているWuppertalですが、最近は気持ちの良い晴れの日が多く、草っぱらに半裸で寝っころがって本を読んでいる学生や、バーベキューをしている集団があちこちで見受けられます。この「とりあえず外に出る文化」は中々衝撃的です。寮の周りに芝の生えたちょっとした庭のようなエリアがあるのですが、そこには常に誰かしら転がっています。大抵はパンツ一丁かあるいは水着姿で。最近はそれも見慣れてきました。

それよりも、帰国が近づいてきたことによる圧迫感の方が問題です。一年あれば今後の進路についても何か新たな展望を持ち得るのでは?と無責任なことを考えていましたが、そんなことはなく、結局日本出発前同様にどうしたものかと悩んでおります。他人事のようですが、これからどうなるのか見物です。

また、先月末に初めてベルリンへ行ってきました。その話も書き残しておきたいので、また数記事分更新することになるかと思います。。6月に入って写真のアップロードも改めて可能になったので、イギリス旅行関連の写真も追加しておきます。(おそらくこの週末中には)


ということで、以下、話題ごとにダイジェストでどうぞ。


Ölbergfest エールベルク祭り(5月3日 火)

この日は、Wuppertalの中でもÖlbergという地区でお祭りがありました。ちょうどこのころ、タンデムに新たなメンバーがやってきて、そこでできた新たな友人たちとこのお祭りを訪れました。
Wuppertalはやたら坂の多い起伏の激しい町なのですが、その中でも小高い丘の上に位置する地区がこのÖlbergで、今まで一度も訪れたことのないエリアでした。街並みも普段の生活圏内である大学周辺・中心街とはやや異なり、歩いているだけでも新鮮な雰囲気です。
お祭りは、日本の夏祭りや何かと似たようなもので、色々な団体が小さな屋台を出して食べ物やら飲み物やらを売っている...というスタイルです。ケバブ料理やソーセージ、ビールの出店がやたら多いのがドイツテイストでしたが、それ以外は大体日本のお祭りと似た雰囲気だったように思います。

不思議に思ったのは、政党のポスターを張った出店がいくつかあったことです。一緒に訪れた友人に尋ねてみたところ、選挙が近いと各政党がお祭りで宣伝活動をすることが一般的らしく、ドイツではそれほど変わった光景ではないとのことでした。日本だと地域の祭りに直接的に政治がかかわっていることはないような気がしますが、どうなんでしょう。そんなにあちこちのお祭りを巡ったことがあるわけではないので何ともいえません。


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▲こんな感じで。


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▲だが国家社会主義者よ、貴様らに居場所はない


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▲反ナチス!ドーン


と、いった具合に、窓や標識のポールといったちょっとしたところに面白いシールが貼ってあったりします。


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▲キレイな街並み


一通り見て回った後は、いつもタンデムでお世話になっているJさんも合流してカフェで休憩がてらお喋りタイムでした。

新たにタンデムに参加したメンバーは、一度大阪に留学していたことがあるそうで、日本文化にもやたら詳しい方でした。なぜか、こちらに来てから出会った日本語を学んでいる学生の大半がアニメやゲームに造詣が深い方々ばかりで、彼も例外ではありませんでした。「このアニメは見た?あのアニメは?このゲームは面白かったよね!」などとあれこれ質問されたのですが、ほとんど名前は聞いたことがあっても見たことがない作品ばかりで全く話について行けませんでした。

ゲームについても同様でした。ファイナルファンタジーシリーズを一つもプレイしたことがないと話したところ、「君は本当に日本から来たのか?」というような反応をされたのが面白かったです。ロールプレイングゲームゼノサーガというゲームが面白かったと話したところ、ドイツではゼノサーガはエピソード2しか市場に出回っていないらしいことが分かりました。エピソード2はちょっとアレな作品なので、まぁなんというかアレですね。「ゼノギアスがすごく面白かったからいつかゼノサーガもやってみたいんだよね」と目を輝かせて語るJさんに何とも言えないものを感じました。

そういえば、ドイツでは
ファミコン = ニンテンドー
スーパーファミコン = スーパーニンテンドー
と呼ばれているらしいですね。ドイツでは...というか国際商標がそうなっているのでしょうか。最初「スーパーニンテンドーが...」と言われた時、何の話をされているのか全く分かりませんでした。


アニメに話は戻りますが、「エルフェンリートという作品がものすごくブルータルだけどものすごくよかった。ぜひ見るべき。」と勧められたのが印象に残りました。

最近になってそれを思い出し、調べてみたところ、某有名動画アップロードサイトにてドイツ語吹き替え版の動画を見つけました。国際的には、大抵のアニメ作品が日本語音声に各国語字幕(ファンサブ:ファンが非公式につけた字幕)という形で楽しまれているらしいので、公式吹き替え版が存在するということはそれだけメジャーな作品ということなのではないでしょうか。
タイトルがドイツ語っぽいのでストーリーにドイツ的な何かがかかわっているのかと思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。が、彼の評通り「ものすごくブルータルでものすごくいい」作品でした。


レマゲン再訪(5月11日 日)

先月11日に、レマゲンを訪れました。昨年訪れた際に、目的地であった博物館が閉館期間中であったうえに、ノルトライン=ヴェストファーレン州の外に出ていることに気付かずに電車に乗っていて罰金を取られてしまったという話を書きましたが、今回ようやく目的を達成できました。
もちろん今回は事前にボン - レマゲン間の切符を購入しておきました。


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▲駅前の観光案内図


駅前から徒歩10~15分ほどで博物館までたどり着くことができます。ライン川沿いの遊歩道を歩くことになりますが、ここが何とも気持ちの良いところなので、もし訪れるのであればのんびり歩いていくことをお勧めします。

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▲平和博物館 レマゲンの橋

入場料は学生1ユーロという破格。一般入場券も3.5ユーロらしいので、それほど高くはありません。
この日は妙な天気で、ちょうどレマゲンに到着したころにザーッと雨が降ったかと思ったら、博物館の見学を終えて外に出るころには気持ちの良い晴れ空が広がっていました。


博物館一階は、かつての戦闘に関する本の紹介や、在りし日のルーデンドルフ鉄橋の写真が並んでいました。


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▲「この橋には、その重さ分の金と同等の価値がある」
アイゼンハワーが、米軍によって橋が確保されたという知らせを受けてコメントしたといわれています。


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▲一階展示の様子

先ほどの外観写真からなんとなく想像がつくかもしれませんが、博物館内はそれほど広くありません。塔はそれぞれ4階建てになっており、それぞれの階でテーマごとの展示がなされています。階と階の間に小部屋があり、小さな展示室が設けられている場所があり、また塔と塔をつなぐ通路も展示空間として使用されていました。
展示ルームは全11室でしょうか。内容は当時のメモをもとに以下に記載しておきます。

<塔A(出入口側)>
展示場所 展示内容
1階 概要、関連書籍、過去の写真など
2階 橋の守備隊について、ゲッベルスの日記(レマゲンについて言及した箇所の引用)、陥落後の破壊計画(V2など)
2.5階(小部屋) 市民の手記、空襲の記録、ポスターなど
3階 連合国側による橋奪取に関する報道のされ方、当時の雑誌の写真・記事
4階 レマゲンに存在した捕虜収容所に関して、またそれに関する記念碑の案内
<塔B>
1階 橋の建設、成り立ちについて(技術面多い?)
2階 映画『レマゲンの橋(Die Brücke von Remagen)』の撮影とプラハの春について
2.5階 爆弾模型
3階 平和について(未完)
4階 世界大戦における各国死者数、それ以降の各地の紛争・戦争について
塔をつなぐ通路 戦死した兵士等の遺品等々(死者を悼む場として)

(入口にてポストカード、関連書籍購入可能。無料パンフレットは受付の方に言えばもらえます)


以下、ハイライトを写真にてどうぞ。
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▲塔A2階、橋の破壊計画 V2の着弾場所など


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▲ゲッベルズの日記


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▲塔A3階、Stars&Stripesによる報道


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▲塔B3階、平和について 偉人の発言集のような展示
この階はまだ計画段階らしく、展示はこの大きな垂れ幕と可動式の前衛的な彫像しかありませんでした。


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▲塔をつなぐ通路「犠牲者の道」と名付けられており、通路沿いに犠牲者の名前と遺品などが展示されていました


見学後にガイドブックを購入しようと受付の方と少しお話ししたのですが、ものすごいフレンドリーな方で、ドイツ滞在を楽しんで行ってね!と最後に握手までしてくれました。改めて訪れてよかったです。


国際包装展示会(5月14日 水)

この日は国際包装展示会に行ってきました。なんじゃそりゃ?と思われるかもしれませんが、直訳するとそういうことになりますし、また実態もそういうものでした。
新しい授業で一緒になったイランの友人が、「今度デュッセルドルフで包装の展示があるんだけど行きたい?」と誘ってくれました。一体何の展示なのか全く理解できなかったのですが、それ故に興味が湧きました。ドイツではあちこちで展示会が行われており、以前行きそびれた「おもちゃ展示会」もその一つです。
大抵は観光目的ではなく、商業を目的としたもので、経営者や各種企業を対象に新商品・製品・技術を紹介する場となっているようです。
この包装展覧会もまさにそういった目的のもので、入場するには関連分野の学生であるか、あるいは企業に所属している必要があるようでした。

その友人が入場に必要となるチケットを発行するための番号を持っており、私は分野は違えど学生という身分なのである種の「学業目的の見学」として入場が許可されました。


開催地はデュッセルドルフのメッセ(展示会場)で、ここを訪れるのは初めてでした。やや郊外に位置しており、広々とした気持ちの良い場所でした。


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▲Messe外観

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▲駅の先はこんな感じになっていました


館内は撮影禁止の場所が多かったため写真はありませんが、包装のデザインや包装するための機械が多数展示されていました。それ以外には、そういった技術の説明会や、商談用のスペースなどがあちこちに設けられており、私にとっては未知の世界でした。

一緒に行った友人はあちこちのブースで係の方に話しかけて資料をもらっていました。将来働きたい分野に関する情報を集めていたようです。「せっかくの機会だから生かさないとね!」と忙しそうにしていましたが、こういうバイタリティは本当にすごいですね。私の感覚ですと、学生身分で話しかけるのは申し訳ないのでは?と余計なことを考えてしまったり、専門的な知識を持っているわけでもないのにあれこれ質問するのは恐れ多いと感じてしまったりしてモジモジして終わってしまいそうです。

こちらに来てから半年以上が既に経っているわけですが、友人たちの行動力には常に驚かされています。自分が内気なのかもしれませんが、周りの皆は考えが行動に直結しているように見えます。私はあれこれ考えることはあっても、それを行動に移すのが極端に遅い、あるいは考えるだけで行動しない・決断できないことが多いため、彼らのことを尊敬します。ただ、尊敬していたところで、そう簡単に20年で培われた性格が変化するわけもなく、相変わらず選択・決断するのは苦手なままです。自分は慎重な性格だからこれで良いのさ!と以前は開き直って考えることもできていたのですが、こちらにきてからは いや、慎重すぎるのも考え物かもしれないぞ と考えさせられています。

人付き合いには慣れてきて、大してよく知らない相手と一緒に出掛けたりするのも気にならなくなってきたのですが、この内気さといいますか、臆病さといいますか、こればっかりは変わりそうにありません。


では、その1はこの辺で。


次回予告:近況 その2 「デュッセルドルフ 日本デー」
近日公開!