Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

194 ~ 233日目(4月12日 土 ~ 5月21日 水) 最近の様子・出来事 その2

近況 その2


さて、前回に続いて時間差近況報告の続きです。
既に毎日更新するという約束を破ってしまい、ややむなしくなりつつあるタイトル表記(○○日目)は、かえって見づらいかもしれませんがここまで来てしまったのでこのままいきます。
そのタイトルにて、前回から4月12日~5月21日までの内容をまとめるかのような書き方をしていますが、今回分の記事はその出来事が起きた日を失念したものも含みます。たぶんこの期間だったはず...という曖昧な記憶に基づく記述ですのでご勘弁を。特別なイベント等があった日は正確な日付を記述するように気を付けますが、それ以外の個人的経験については「この間こんなことがあったんだよね」という程度の思い出話と考えていただければと思います。


洗濯機壊れる(失念)

私が住まわせていただいている寮は団地のようになっており、5~6の建物が密集して建っています。その中に一つだけランドリールームが設けられており、そこには洗濯機が4つ・乾燥機が3つ備え付けられています。私は一週間ほど洗濯物をためて、週末に洗濯・乾燥をまとめて終わらせる派です。この日もたまった洗濯物をゴミ袋に詰め込んでランドリールームへ持ち込んだのですが、表題の通り洗濯機に問題があったわけです。

洗濯機が故障していると、大抵の場合「Kaputt」とか「Defekt」(いずれも故障の意)と書かれた紙が貼られていることが多いため、何も貼っていない場合は特に何も気にする必要はありません。基本的には。

この日私が使おうとした洗濯機には張り紙もなく、特に問題もないように見えたため洗濯物を放り込み、洗濯機の扉を閉めてスイッチを入れたのですが、電源がつきません。あれ?と思い、あちこち確認してみましたが自分で確認できる範囲には問題は見当たりませんでした。既に一回の使用に必要な2ユーロも支払ってしまっていたため、かなり損をしてしまった気がしますが、こうなれば仕方ありません。別の洗濯機を使うか...と思い扉を開けようとしたのですが今度は扉が開きません。

この洗濯機はドラム型なのですが、洗濯中に扉が開いて大惨事になることを防ぐために、扉のロックも電気系統で制御されていたようです。閉めることは閉められるのに...。こうなれば管理人さんに問い合わせるしかない、と思ったのですが休日であったため管理人さんは不在です。

どうしたものか...と途方に暮れていたところ、洗濯機の下の方に「緊急用扉開閉スイッチ」なるものがあるらしいことを発見しました。が、その「スイッチがここにありますよ」とシールにて示されている場所にもフタがついており、このフタには取っ手もなければボタンもなく、一切開けることができません。しかし、ここを開ければスイッチがあることは間違いないので、何とかならにものかと力づくで開けてみようとしたのですがどうにもなりません。

そうして不様な試行錯誤を繰り返していたところ、ちょうど別の利用者の方がやってきました。なんだか恥ずかしかったのですが、このフタを開けない限りはどうにもならないので引き続き作業していたのですが、あまりに哀れに見えたのかその方が「何か問題があったの?」と声をかけてくださいました。

ことのいきさつを話すと、フタを開けるべく手を貸してくれたのですがどうにもなりません。するとその方は「入口に業者の電話番号が貼ってあるから、そこに電話してみたら助けてくれるかもしれない」との助言をしてくださいました。電話は日本語でさえ苦手ですが、この際仕方なさそうです。

早速お礼を言い、その電話番号に電話をかけようとしていたところ、ちょうど作業を終えたのか、その方がやってきて「もしよかったら僕が電話しようか?」と改めて声をかけてくれました。おそらく、会話していた際のドイツ語がタドタドしかったために心配してくれたのでしょうか?

私も自身のドイツ語力に自信がなく、やや緊張していたために、ここはお言葉に甘えることにしました。ただ、どうもその電話対応窓口も休日は運営していなかったらしく、「話しかけたら機械音声だったわ」とのことでした。
それでも、そこまでしてくださったご厚意があまりにもありがたいです。とにかくありがとうございましたと伝えたのですが、「いやいや、僕は何にもしてないよ」といって颯爽と去っていきました。

優しすぎる!なんかピアスをたくさんつけたお兄さんだったため、怖そうとか思ってしまった自分が情けなくなりました。ありがとうお兄さん。

とはいえ、結局どうすることもできなかったので自室に戻り、管理人さんにメールを書いてお返事を待つことにしました。

翌日にはお返事をいただいたのですが、曰く「洗濯機の故障に関しては寮の方では保障できません。したがって、入寮者自身で業者と掛け合っていただきたいと思います。」ということでした。結局自分で業者に電話するしかないのか...。しかも月曜まで待たなければならないとは。着替えのストックはまだ少しあったため何とかなりましたが、面倒なことになってしまいました。


そういえば前回トラブルで電話をせざるを得なくなったのは、日本からの荷物受取に関してでした。その際は英語で対応していただけたため、そこそこスムーズに問題は解決したのですが、今回はどうでしょう。もう半年以上ドイツに住んでいるんだからドイツ語で行けるところまで会話してみよう、と覚悟を決め、月曜の授業終了後、真っ先に業者に電話を掛けました。

なんとか要件を伝えることはできたのですが、業者さんから指示されたのは「洗濯機下部の緊急用扉開閉スイッチを押してください」というものでした。「いや、それが開けられなくて困っているんですよ」と伝えたところ、何やら別の指示をしてくださったのですが、そこで出された指示を聞き取ることができませんでした。
何度か聞き返していたところ「え~っと、英語の方がいいですか?」と向こうから言われてしまいました。あぁ、これが今の私のドイツ語力の限界なんだな、と、この時点での実力を噛み締めながら降参することにして「はい。すみません。英語でお願いします。それで先ほどお話ししていたのはどういうことなんですか?」と改めて英語で尋ね直したところ「あ、その、ごめんなさい。私もそんなに英語ができるわけではないのでちょっと説明できないです」というお返事が。


それなら何故英語が話せるか尋ねてきたのか?という疑問はさて置き、これは私の未熟な語学力が招いた問題です。「お手数おかけしてごめんなさい。もう一度管理人さんに頼んでみます。」ということにして、一度電話を切りました。

メールでは"自分で対処せよ"とのことでしたが、自分で対処しようとしてうまく行かなかったのだから仕方ありません。管理人さんのところへ行って状況を説明することにしました。すると、「緊急用扉開閉スイッチのフタなら開けられるよ」というではありませんか!これは僥倖と、早速開けてもらうようお願いしました。管理人さんは、ちょうどその時手に持っていたドライバーを持ってランドリールームまで行き、それでベコッと力ずくでフタを開けました。なんのことはない、ちょっと道具さえあれば力づくで開けることができたようです。
そうして何とか洗濯物たちを救出することには成功したのですが、業者への故障連絡は結局管理人さんにお願いすることにしました。まだまだ自分のドイツ語力は不十分であることを実感した出来事でした。

書いていてふと思いましたが、よく考えたら私が壊したわけではないですね。壊れているのを知らずに使おうとしてしまったのは間違いありませんけれども。前の利用者が使い終わった時点で壊れていたことに気が付かなかったのでしょうか。謎です。


新クラスの様子

4月...といっても実際に授業が開始されたのはほぼ5月からでしたが、ともかく新学期に再編されたクラスでは以前より国際色に富んだ学生たちと出会うことができました。日本人は今回から私一人になったため、かえって気楽になりました。中途半端に日本語が通じる相手が身近にいるよりも、一人の方がかえって思い切れるというものです。
私以外には、中国・イラン・チュニジア・フランス・ロシア・イタリア・トルコ・ギリシャ・ブラジル出身の学生が同じクラスにおり、あれこれ話を聞いているだけでも面白いです。

授業中も、「君の国ではどうなの?」と各国の状況を説明したりすることがあるのですが、よく考えると、こういう質問が成り立つのもあちこちからの学生が集まっているからこそですね。

また、冬学期は特にクラスの友人とどこかへ出かけたりということはなかったのですが、今期は一緒に学食に行ったり、小旅行をしたりと、一緒に行動をすることも出てきました。一緒に行動する友人がいる利点は、常にドイツ語を話す機会に身を置くことができるということでしょう。学食で食事をするほんの30分ほどの時間も、友人とあれこれ話しながら過ごすだけで会話練習になります。

授業の中で、先生が「ぜひ、友人たちと学習グループを作って一緒に学んでください。その方が一人で学ぶよりも間違いなく上達します。」と頻繁に仰っていたのですが、その意味がようやく分かりました。

冬学期(特に授業開始当初)は、会話能力を筆頭にドイツ語力があまりにも不十分であったため、友人と一緒にいてもまともに意思の疎通が図れないのではないかという不安から一人で勉強することの方が多かったように思います。もちろん今でも十分な語学力が身についているわけではありませんが、それは友人たちも同じことで、お互いに手探りでドイツ語でコミュニケーションを取っているような状態です。
もしかすると、間違った文法や単語を使いながら理解しあっている可能性もありますが、会話練習はそれでよいのではないかと思います。相手が何を言おうとしているのかを理解し、自分が言いたいことをリアクションとして返すという一連の流れの中では、正確な文法・作法よりも伝わるか否かという点が重要になるのではないでしょうか。リアクションに時間がかかり過ぎるのも考え物ですし、多少適当に単語をくっつけてみたりしても言いたいことが伝わったりします。(なんていって、苦手な文法から逃げることを正当化したいだけだったりするのですが...)

最近は手探りで会話するのも楽しくなってきましたし、たどたどしいドイツ語を用いてではあっても他国の文化について話を聞いたりできるのは貴重な体験なのではないでしょうか。

先日はアーヘンとボンに友人たちと出かけたのですが、一人旅が多かった私にとってはこれも新鮮な体験でした。一人でじっくり博物館やらを見学するのも楽しいのですが、ワイワイ街を歩くというのもまた楽しいものですね。自分一人では気づくことがなかったようなことを発見できたり、また自分が知らない文化について教えてもらうことができたりと色々勉強になります。

特に、教会を見に行くと私にとっては"きれいな建物"で終わってしまいがちなのですが、キリスト教文化圏出身の学生から「この石棺にはこういう意味がある」とか「天井に描かれている絵画はこういうことだ」といったレクチャーを受けられるので面白いです。また、中にはラテン語を学んでいたという学生もあり、教会内の壁や天井に絵とともに描かれているラテン語が何を意味しているのか教えてくれたりします。大抵は聖書の一節であったり、私には馴染みのないものであることが多いため、それも含めて教えてもらえることは非常にありがたい話です。

今回のクラスのメンバーは皆フレンドリーで、気楽に話ができますし、非常に居心地がいいです。B1に留まっているのは本来好ましいことではないのかもしれませんが、このクラスに所属できてよかったです。


デュッセルドルフ 日本デー[Düsseldorf Japantag] (5月17日)

公式webサイト:http://www.japantag-duesseldorf-nrw.de/

5月17日、デュッセルドルフにて「日本デー(Japantag)」なるお祭りが開催されました。デュッセルドルフといえば、ここノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW)の州都であるとともに、ドイツ国内で最も多くの日本人が住んでいる町として知られています。中でも目抜き通りの「Immermann Straße(インメルマン通り)」沿いには、ラーメン屋・寿司屋などの日本料理店のほか、日本の書籍を扱った本屋などがあちこちに立っています。また、日本企業も数多くここに拠点を置いているとのことです。

というわけで、普段から"日本人街"とでもいえるような性格を持ったこの街で、年に一回行われる文化交流祭がタイトルにある日本デー(Japantag)なのだそうです。
事前に見せていただいたパンフレットによると、柔道・剣道・書道といったような堅実な"道"がつく文化から、特設ステージ上での和太鼓・日本のヴィジュアル系バンドの演奏、あるいはコスプレ大会やカラオケ大会にいたるまで、日本的な文化であればハイカルチャーからサブカルチャーまで幅広く扱い、みんなで楽しみましょう!という趣旨のイベントのようです。

タンデムでお世話になっているJさんを始めとして、日本文化に興味があるという方が自分の周りにも何人かいたため、せっかくの機会なので一緒に行ってみることにしました。タンデムメンバー、授業の友人など複数のグループの友人がごちゃ混ぜになって行動するというのもなんだか楽しそうと思うことができたのは初めてかもしれません。日本にいる時であれば、部活のメンバー / 学部の友人 / 地元の旧友...といった具合にグループ分けをし、そのうえで常に特定のグループを選んで一緒に行動していたような気がします。


当日は、午前中からデュッセルドルフに乗り込む予定でWuppertalの駅に集合したのですが、駅のホームには既にちらほらコスプレイヤーの姿があり、尋常ではない雰囲気を演出していました。電車に乗り込むとそれはさらに顕著で、カーニバルを思い出すほどにコスプレイヤーだらけでした。
ただ、今回はコスプレといってもゲーム・アニメ・漫画のキャラクターをモチーフにしたものばかりなので、カーニバルの時よりもさらに異様な雰囲気です。

デュッセルドルフの駅に到着してからは、地下鉄で[Heinrich-Heine-Allee(ハインリッヒ・ハイネ・アレー)]駅まで移動します。ここから少し歩いたライン川沿いの一帯がお祭りの中心地です。

地下鉄の駅から外へ出ると、もう辺りはコスプレイヤーだらけでカルチャーショックを受けました。日本でそういう類のイベントに行ったことはなかったため、私にとってはとんでもなく衝撃的な光景でした。日本を出発するまでは、こういったサブカル色の強いものに対しては若干警戒した態度を取っていたのですが、こちらに来てからJさんその他の影響で、急激に興味が湧いてしまいました。サブカルの逆輸入です。そのうえでこんな光景を目にしてしまったものですから、変にウキウキしてしまいました。

とはいえ、私はそこまで各種漫画・アニメに詳しくなかったので、コスプレを見てもそれが何を模したものなのか見分けられないことの方が多かったです。一緒にいた友人は、「あ、アレは○○の誰々だ!一緒に写真撮りたいからついてきて!」といった勢いで、私以上にウキウキしていたようでした。
彼は妙なこだわりがあるようで「ワンピースのナミのコスプレイヤーと写真を撮りたいんだけど、大切なのはセクシーかどうかだ。セクシーなコスプレイヤーを見つけたら僕に報告するように。いいね?」と念を押されました。こういうところでまで行動的なのは良いことなのやら何なのやら...。

そんなコスプレイヤーたちを眺めながら、まずは中央ステージにて行われる和太鼓の演奏を見るべく、人混みをかき分けて移動しました。

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▲和太鼓演奏

和太鼓のパフォーマンスを見て感動したドイツの方が日本で勉強してこのグループを結成したとか。「和太鼓演奏には力強さと根性が必要だから男性には務まらないのよ」との理由からこのグループのメンバーは全員女性だとか。どこまで冗談なのか分からなくなるほどに本当に力強い演奏でした。

その後はコスプレ大会なるものを見に行こうと、別の小さなステージを目指して移動することにしたのですが、もう人混みがトンデモないことになっており、全く前に進めませんでした。移動の道すがら、川沿いの通りにテントが経っていて、そこで文化交流会が行われていたり、あるいはコスプレグッズ・アニメグッズ等々が販売されている風景を目にしました。


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▲真面目な文化交流 書道

このほかに、折り紙や着物の着付けをしていたり、生け花の展示をしたブースもありました。その一方で...

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▲サブカル交流

こういった具合に、アニメ・漫画グッズを取り扱ったお店もまた大人気でした。写真には写っていませんが、この裏側では何ともキワドイ絵柄の抱き枕カバーなるものが販売されていました。これを見たときはサブカルの暗黒面を見たような気がしてしまいましたが、昼に見たときには壁に飾られていたものが夕方にはなくなっていたので、きっとそれなりに人気があったのではないでしょうか。

そんなものをチラチラ見ながら、何とかコスプレ大会会場にたどり着きましたが、結局人混みがすごくてまともに見れませんでした。「いやぁまいったね。疲れたし、ちょっと休憩しようか」という話になり、ステージの裏手にあった広場へ向かったところ、そこに大会出場者が待機しており、ステージ表にいるよりも楽しげな雰囲気が広がっていました。(肝心のコスプレの写真ですが、勝手にアップするのははばかられるので帰国後捕まえてくださったら個人的にお見せします。)

コスプレは大会出場者に限らず、皆非常に気合が入っており驚かされます。おそらく自前で衣装を作っているのでしょうが、そこまで入れ込むことができる情熱は凄まじいものです。それに、皆一様に楽しそうで、なんだか自分もコスプレをしてみたいとさえ思ってしまいました。こわいこわい。

コスプレの対象として特に人気があったのは、「ナルト」「進撃の巨人」「ソードアートオンライン」だったような気がします。やたらそれ関連のコスプレイヤーを見かけました。ですが、印象に残ったのはヘルシングアーカードのコスプレでした。ものすごい人のよさそうなおじさんがアーカードのコスプレをしていたため、作品内のキャラクターとのギャップから妙な魅力を感じました。

あれこれ写真を撮ったりしていたらあっという間にお昼になってしまい、ご飯を食べに行こうということになったのですが、あたり一帯は人混みで移動するだけでも一苦労です。そこで、一旦中心地を離れ、Immermann通りの日本料理屋に行ってみようということになりました。

ところで、先ほど話題にでてきた友人はワンピースの他にナルトも大好きなジャンプ趣味者なのですが、彼はナルトのアニメの中で「ラーメン」なる麺類を食べているシーンを見て、一度それを食べてみたいと常々思っていたそうです。そんな話を聞いたので、ぜひラーメン屋に行こうということになったのですが、ラーメン屋はどこも行列でとても入れそうにありませんでした。ひとしきりウロウロしたのち、日本カフェ?といった雰囲気の小さなお店で妥協しようじゃないかということになりました。

これはラーメンは諦めてもらうしかないかな...と思っていたのですが、何とメニューにはラーメンの文字が!喫茶店めいたお店でラーメンが注文できるとは思いませんでした。それ以外にも照り焼き丼や日本式カレーなど、おいしそうなジャパニーズテイストの料理が注文できました。

今まで何度かデュッセルドルフを訪れたことがありましたが、こうしてお店に入ったのは初めてだったかもしれません。以前寿司屋に招待してもらったことはありましたが、あの時は最初からお店が決まっていましたし、こうして自分たちであれこれ見ながらお店に入ったのは初めてのような気がします。

店員さんはアジア系の方たちだったのですが、以前他のお店で日本人だと思って日本語で話しかけたら日本語が通じなかったということがあったため、ドイツ語で話しかけていたところ、店員さん同士で日本語を話しているのを聞いてしまい、なんだか恥ずかしくなりました。

その後は日本語で注文したりしたのですが、お店で日本語を使うのは久しぶりだったため新鮮に感じました。今まで気にしていなかったのですが、「すみません」という言葉をやたら使っていたことにも気が付きました。ドイツ語を話している時は「すみません」にあたる単語を連発してしまうことはないのですが、日本語を使おうと思ったとたんに「すみません」という単語が出てきました。「すみません」...汎用的で素敵な言葉ですよね。謝罪のニュアンスからネガティブな印象与えてしまうこともあるかもしれませんが、私は結構この言葉を気に入っています。すみません。


話がずれてしまいましたが、ともあれ、こうして彼は念願のラーメンを食べることができたわけです。お箸も使ってみようとして一緒に練習していましたが、結局フォークとスプーンで食べていました。いきなりは使うのは難しいですよね。食べ終わった後は、「ナルトがいつもやっている、お椀を持ってスープを飲み干すやつをやりたいから写真撮って!」と楽しそうにスープまで飲み干していました。ラーメン一つでこんなに幸せそうな顔をする人がいるとは面白いですね。

我々にとってはラーメンが身近過ぎてイマイチ想像できませんが、きっと「ローマの休日でオードリーヘップバーンが食べていたジェラートっていうやつを食べてみたい」とかそういう感覚なのではないでしょうか。


他にも、たこ焼きや抹茶ラテなどを注文して、久々に日本テイストのものを味わうことができたため、楽しかったですが、和食が恋しくなってしまいました。いやはや。

食後は改めて祭り会場に戻り、コスプレやコンサートを楽しんでいました。
中でもカラオケ大会は凄まじかったです。とてもきれいな日本語発音で「残酷な天使のテーゼ...」と歌声が聞こえてきたため、友人とそこへ行ってみたのですが歌っていたのはドイツ人でした。すごい。かと思えば、ドイツ語翻訳されたアニメソングを歌っていたり、とにかく盛り上がっていました。


Digimon Adventure - Leb deinen Traum - YouTube
▲最後に歌われていた曲 
案外ドイツ語歌詞もしっくりくるような気がします。ドイツ語発音だとデギモンになっちゃうのが可愛い。

ステージイベントの最後は、「Crow×Class」という和楽器を用いたヴィジュアル系バンドのコンサートでした。こういうタイプの音楽はほとんど聞いたことがなく、コンサートにも行ったことがなかったため、これまたカルチャーショックでした。が、会場の熱気や独特の雰囲気を楽しむことができました。何より和楽器でロック系の音楽をやってしまうというアイデアがすごいですよね。

その後は花火が上がってイベント終了です。この花火も日本の職人さんによって作られたものらしく、最後まで日本デーです。友人の話によると、新年の花火より派手だった気がするとのことでした。直接比べてみたわけではないので何とも言えませんが、どうなんでしょう。
帰りはこういったイベントでは恒例の帰宅ラッシュがトンデモなかったため、まぁビールでも飲んで時間をつぶそうということにしたのですが、多少待ったところで状況はさほど好転せず、結局人混みの中駅へ向かうことにしました。

デュッセルドルフからWuppertalまでの列車は、すし詰め状態で、都会の出勤ラッシュの電車などを体験したことがない私にとっては恐ろしいものでした。衝撃だったのは、網棚(といってもドイツの場合網ではないのですが)の上に寝転がってビールを飲んでいた若者がいたことでしょうか。ここまでやられると「マナー違反」とかそういうことではなく、もうただただアッパレという感じですね。

結局2時過ぎに家について疲れ果ててすぐに寝てしまいました。おしまい。



以下、まとめ。

ドイツに来て日本語に興味がある・勉強しているという学生が案外多いのに驚いています。しかも、その大半が漫画やアニメをきっかけに日本に興味を持ったそうで、やたらそういう話題を振られます。ドイツ人だけでなく、チュニジアブルガリア・フランスなど、あちこちの学生からそんな話を聞きました。
この「日本デー」も、文化交流という大枠の中でコスプレ大会が行われていたりと、逆カルチャーショックを受けました。
アニメといえばサブカルの王様で、主要消費者は"大きなお友達"というようなやや歪んだイメージを持っていたのですが、海外から見ると日本文化の主力兵器とみなされているのかもしれません。
法的にはグレー...あるいは完全に黒なのかもしれませんが、webを通じてアニメや漫画が幅広く、ファンによる各国語翻訳字幕付きで消費されているらしく、かなりの影響力があるようです。

そんなことから、もしかすると日本は文化先進国なのかもしれないと感じました。サブカルではあれど、そのコンテンツを通じて日本語学習者を増やしているのは確かなようです。オペラならイタリア語、医学ならドイツ語(ちょっと古い?)と言った風に、特定の分野と併せて言語を学ぶ必要性・意欲が生まれるのであれば、漫画・アニメというコンテンツを消費するために日本語を学びたいと考えている若者がいるのも納得です。

それほどの影響力を持ったコンテンツを当の日本人が"サブ"カルチャーとみなして軽視するのは危険なのかもしれません。
主に興味を持っているのは若い世代ですが、後10~20年もすればその世代が主力になるわけで、もし今後国際的に働いたりすることがあるのであれば、アニメや漫画に関する知識も一つの教養とみなされる日がくるのかもしれません。

などと、やや傲慢ともいえる感想をいだきました。ちゃんちゃん。



(2014/07/22 追記)
思い出したのでちょっと追加。
そういえば、このお祭りの最中に「Free Hug!」とかいう札を首から下げた若者たちが大量にウロウロしており、驚かされました。実際にそのシステムが機能しているところも見たのですが、挨拶のように見知らぬ人たちとハグしていて何とも不思議。
ただ、どことなく退廃的なイメージもありますよね。危険なような気もしますし。

そんなイメージからちょっと避けるような視線を向けてしまっていたのですが、私はと言えば、酔っぱらったおじさんと目があってしまい、無言でハイタッチを要求されたうえにハグされていました。うん。



次回予告:ベルリン紀行 ILA見学
乞うご期待!