Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

238日目(5月26日 月) ベルリン市内観光

ベルリン市内観光

ILAの三日間はあっという間に過ぎ去ってしまいました。主目標はこれで果たすことが出来たのですが、ベルリンを訪れるのはこれが初めてでしたので、せっかくの機会ということでもう少し観光していくつもりで、この日もベルリンに滞在することにしていました。

ベルリンは記念碑、博物館、史跡等々の見どころにあふれています。見てみたい施設は山ほどあったのですが、今回市内観光に自由に使うことができるのはこの一日だけですので、あまり欲張らず下見程度のつもりでざっくり観光するつもりでした。

まずは昨晩訪れたソ連軍の顕彰碑を再訪。そこからブランデンブルク門を抜けて、さらにウンターデンリンデンを歩き抜ける予定です。


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▲立派な施設です


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▲裏側から見た図
記念碑に刻まれた文字はすべてロシア語なので内容はさっぱり理解できませんが、ここには"カピタン ヴォロンコフ"とか"ロイテナント イヴァノフ"とか書いてあるっぽいので、おそらく兵士の階級と名前ではないかと思います。
上の戦車のマークは部隊章の類でしょうか。


ちなみに施設の裏側にドイツ語も併記された解説パネルがありました。先を急いでいたため、写真だけとって読まずに出てきてしまいました。


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T-34と雀
なんかこういうのいいですよね


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▲続いてブランデンブルク門から徒歩3分の「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」(パンフレットにもとづく正式名称)

夕方訪れたときとは異なった光景に驚かされました。
この石はすべてが記念碑の一部なのですが、その上に座って談笑している人たち、石の隙間を利用して鬼ごっこ、かくれんぼをしている子供たち、さらには石の上を飛び跳ねて遊んでいる若者までおり、まるで公園のような雰囲気です。

「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」の名が示す通り、これはいわば死を象徴した施設なわけですが、どうにもそういった負のオーラや重苦しさを感じません。

もしこれが日本であれば、施設内は"聖域"のように扱われているのではないでしょうか。
私語厳禁はもちろんのこと、死を象徴する記念碑に対する敬意を示す意からこの石に対しても安易に触れてはならなかったりしてもよさそうなものです。ところが、ここにはそういった厳粛さは一切存在せず、それどころかある種の居心地の良い休憩所のように利用されているではありませんか。神聖不可侵といった印象とは無縁の存在のように感じました。

この石は本当にただの石で、そこに犠牲者の名前が刻まれているわけでもなく、また虐殺されたユダヤ人に関する情報が示されたパネル等が設置されているわけでもありません。本当にただ石が並んでいるだけなのです。

また、周囲には飲食店やディスコのような店も並んでおり、夜になればそういった騒音も聞こえてきてしまいます。これには衝撃でした。これでいいのか!?と思うと同時に、むしろこれくらい特殊性が排除された、人々に近しい存在であった方が記念碑としては有効なのかもしれないとも思いました。

扱っているテーマは深刻なものですが、その深刻さが前面に出てしまいすぎると、そもそも誰も近寄りたがらないのではないかと思います。それでは過去を記憶するための装置としての記念碑の役割を果たさないどころか、むしろ過去を忘却することを助長しかねません。

あえて公園のようなオープンな場として人々にとって開かれた場所であることによって、過去の記憶との共生関係を築くことができるのかもしれません。そこにいる人々は、その並んだ石が虐殺されたユダヤ人の記念碑であることを知らないわけではないのです。知っているけれども、必要以上の畏敬の念やや恐怖に囚われていないだけなのではないかと思います。

また、扱われているテーマに関する詳細な情報提供が軽視されているわけではありません。それに関しては、この記念碑の地下に位置する情報センターにて、パネル展示・情報端末によるデータ開示・関連書籍の販売が行われています。

つまり、人目につきやすい部分とつきにくい部分とである程度の住み分けがなされているのです。
開かれた場には象徴としての石碑が、そして地下にはより詳細な情報センターが置かれ、それら双方が連携して"記念施設"としての一つの役割を果たしているということです。

(ちなみに、地下の情報センターは月曜休館で、この日は訪れることができませんでした。後日訪れることになるのですが、それはまた別のお話し。)

以上、私の勝手な想像でした。
ちなみに、後になって施設の利用規則?のようなものが書かれたプレートを発見しました。


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▲曰く...

1.記念碑エリアへの立ち入りは自己判断にて行うこと。
2.記念碑エリア内では、走らずゆっくり見学すること。車椅子等の利用者に関しては、専用通路が用意されている。
3.以下のことは禁止されている。
 ・あらゆる類の騒音行為
 ・石碑を飛び渡る行為
 ・犬、その他のペットの連れ込み
 ・自転車やそれに類するものの持ち込み、駐車
 ・喫煙、飲酒行為


石の上を飛び跳ねて遊んでいた若者は完全にアウトでした。
近所のディスコ?から流れる騒音は記念碑内で発生させているわけではないからセーフ?
子供の鬼ごっこやかくれんぼはアウト?
記念碑の上に座っての歓談はセーフっぽいですが、どうなんでしょうか。
騒音、喫煙、飲酒が禁止されているのは、死者への敬意を払うという目的からの規則でしょうか。その他はマナーに類するもののようです。

公園ほど自由な場所ではないようですが、それでも私の感覚ではかなり自由な施設に感じられました。


ちなみに...
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▲石碑は背が高いものも多く、その隙間に立つと身長175前後の私の目線からでもこんな感じです。
もし私が小学生の時分に訪れていたら、間違いなくかくれんぼをしていました。これについては確信を持って言えます。


さて、長くなりましたが今日の観光はまだ始まったばかり。
ここから再度ブランデンブルク門方面へ向かい、ウンターデンリンデンを東進します。

フンボルト大学を横目に見ながら、続いてたどり着いたのは「ノイエ・ヴァッヘ」。


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▲左手に見える建物がそれ


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▲建物内部にはぽつんと"死んだ息子を抱く母"の像が立っています
像の前には「戦争と暴力支配の犠牲者に」と碑文が刻まれています


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▲外には各国語による解説パネルが設置されており、日本語もありました


上記パネルにて説明されているように、この施設は「ドイツ連邦中央慰霊館」という性格を持っています。先ほどは被害者がユダヤ人に限定されていましたが、こちらは戦争と暴力支配の犠牲者すべてが追悼の対象とされています。
東西統一後、正式な中央追悼施設を持たなかったドイツが、東ドイツ時代には当時の政府によってファシズムとの戦いを強調した慰霊館として利用されていたこの施設を生まれ変わらせました。

日本でいえば千鳥ヶ淵のようなものでしょうか。どうなんでしょう。

戦争と暴力支配の犠牲者という言葉は、被害者だけでなく、加害者という側面をもった兵士たちをも指します。この辺りのことでかなり論争が起きたようですが、最終的に中央慰霊施設をここノイエ・ヴァッヘとし、それ以外の戦争被害者たちには個別に慰霊碑・記念碑を建てることで決着したようです。

その一つが先ほどのユダヤ人の記念碑で、それ以外にもシンティ・ロマを対象としたもの、同性愛者を対象としたものなどが、ブランデンブルク門付近にそれぞれ設置されています。
戦争責任や加害・被害の問題は日本でもドイツでも一筋縄にはいかない問題のようです。


ノイエ・ヴァッヘから更に少し東へ進むと、博物館島と呼ばれる、博物館が乱立した中州に出ます。そこを横切って対岸へ渡ってすぐのところに「DDR(東ドイツ)博物館」があります。続いてこちらを訪れました。

ちなみに、博物館島は観光客であふれかえっており、またそれと同時に観光客を狙った「お金くださいおばさん」にもあふれていました。

まず「英語分かりますか?」と話しかけられます。「少しなら」と答えてしまうと、いきなり紙片を渡されます。そこには、哀れな母親がドイツに渡ってきたものの仕事も見つからず、二人の子供に食べさせるものにも困っているという何とも悲しいお話しが手書きの文字でつづられています。本当かどうかは定かではないのですが、だから小銭をくださいというわけです。

断れる雰囲気ではなかったので、ポケットに入っていた小銭を渡すことにし、ちょうど手元にあった2ユーロを差し出したところ「あぁ、これでは足りません」と値上げされました。えぇ!?と思いつつも、今さらどうするわけにもいかず、値上げに応じてさらに1ユーロ渡してしまいました。

そのおば様と別れてしばらくすると、今度は別のおば様が走ってくるではありませんか。ほとんど同じやり口で3ユーロ払うことになってしまいました。

絶対あんたたち結託してただろっ!
「あっちにチョロイ観光客がおるで!」とか情報共有しとったんだろ!と思いましたが、しつこく言い寄られて払ってしまいました。6ユーロあればそこそこな昼食が取れたのに...。地元では30~50セント単位の話だったのに、首都にきた途端これです。しかも、「恵んでください」からの「これでは足りない!」という値上げ要求をしてくる食い下がりっぷりには驚かされました。これが観光地クオリティか...!!皆さんも気を付けましょう。日本語しかわからないという体を貫き、適当に日本語で対応することをお勧めします。


さて、話がそれましたが、DDR博物館に話を戻しましょう。

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DDR国章の説明

この博物館は、DDR時代の人々の生活に焦点を当てた博物館で、他の博物館と比較するとやや小さめの見やすい博物館です。かなりじっくり見ても2時間くらいあれば一通り見られるのではないでしょうか。
当時の生活用品、学校教育、政治状況などが、それぞれ実物・パネル展示により解説されています。


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▲シュタージによる尋問体験コーナー


この椅子に座ると証明に直に照らされ、何ともいえない居心地の悪さを味わうことができます。

また、この博物館の隣にはDDR時代の料理を提供するという面白いコンセプトのレストランが併設されており、博物館の入場券を持っていると若干の割引料金で料理を提供してもらうことができます。


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▲何か典型的な料理が食べたい とお勧めしてもらった料理たち
ビールはおいしく、写真上のパイもまたおいしかったのですが、問題は右手に見えるピクルスです。
グッバイ、レーニン!』でもこのピクルスの瓶を探しているシーンがあり、非常に有名な品らしいのですが、これがもう何とも酸味が強いのです。味を中和するためか甘い味のソースが添えられているのですが、そんなものではごまかしきれない酸っぱさ。歯にしみるほどの酸味でした。これが...東の味だというのか...!?


ところで、DDR博物館を訪れた裏の理由は、東独時代のCDを探すためでした。私はロシア民謡・軍歌がドイツのそれにも増して大好きなのですが、東独時代にはロシアの民謡・軍歌がドイツ語翻訳されてあれこれ歌われていたらしいのです。


例えばこんな感じで。
「В путь」
ドイツ語歌唱版↓


"Let's go" - V put' (в путь) in german - Nationale ...


元ネタ(ロシア語歌唱版)はこちら↓。

В ПУТЬ(In the march) - YouTube


ロシアの曲調にドイツ語歌唱なんてもう無敵じゃあありませんか!
いや、ロシア語の響きもとても美しいのですが、この曲はドイツ語版の歌唱もマッチしています。

もしそんな類のCDが売られていたらぜひとも手に入れたかったのですが、見越しがはずれました。当時のポップス音楽関連のCDなどは売られていたのですが...。


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▲教科書(地球の歩き方)に載っていた東ドイツグッズ専門店「Ost Paket」も訪れてみましたが、やはりミリタリッシュな音楽CDは扱われていませんでした。

一体web上にアップロードしている方たちはどこからドイツ語歌唱版の音源を仕入れているのでしょう。何か良い市場を知っている方がいらっしゃいましたら是非とも教えてください。

仕方なくFDJ(Freie Deutsche Jugend)のCDを購入しました。これはこれで収穫ですが、なんだか不完全燃焼でした。

(後日、ボンのHaus der Geschichteにて、よりCDのラインナップが充実していることを発見。軍歌は少ないですが、東独関連音源も充実していました。灯台下暗し!)


と、気が付いたらウンターデンリンデンを歩き通していました。ついでに時間も程よく過ぎ去り、Wuppertalへ帰る時間になってしまいました。長いようで短かった初ベルリン4日間はこうして終わったのでした。ちゃんちゃん。

237日目(5月25日 日) Berlin ILA 3日目

Berlin ILA 3日目

ILAは計6日間のイベントですが、前半3日間は業者向けとなっているため、一般客である私はフル参加しても3日で終了です。すなわち、この日が最終日となりました。


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▲最終日も実に良い天気


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▲屋内ブース外観

屋内ブースはミリタリー関連や宇宙産業部門など、分野ごとに分かれています。興味のある分野のブースに目星をつけて覗いてみると面白いかもしれません。


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▲今日のユーロファイター


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▲この日に目にした最初の展示飛行はMi-17でした。所属はチェコ空軍だそうです。
東側の装備はとにかく新鮮に感じます。


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▲ミリタリー系の写真ばかりでしたが、民間機もいます。エミレーツ航空エアバスA-380。
内部も見学可能らしかったのですが、常に長蛇の列だったため断念。


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▲ユーロファイターブース


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▲トルコのミサイルブースの看板
こういうあたりを見ると、ただのエアショーではないことがうかがえますね。


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▲と、会場内を徘徊していたところ、アントノフが飛んでいるではありませんか!
プログラムに掲載されていなかったため危うく見落とすところでした。どうやら所属航空基地へ帰るところだったらしく、そういった類の飛行はそもそも展示飛行に分類されていないためか、プログラムには記載されていないようです。


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▲離陸位置へ向かうF-16


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▲今さら会場の写真など。このラインがいわゆる"かぶりつき"になります。この柵の前に身構えておけば、会場放送用スピーカーを除いて一切の障害物なしに離着陸を見ることができます。


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▲今日の神秘的一枚


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▲こんな展示もありました。このスモークはどうやって焚いているんだろうか。


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▲昨日に引き続きトルコ空軍の展示飛行
これで二度目ですが、全く飽きません


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▲3日目に発見しましたが、このILAのロゴが刻まれた機体はなんだったのかしら...。


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▲Me-262もこれで見納め。
改めてみると美しい航空機です。最近の戦闘機はもう少しとんがったフォルムをしていることもあり、その無骨さがかっこよく見えますが、一方でこの曲線美といいましょうか、Me-262の独特のフォルムはまた違った良さを持っています。


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▲「フォッケウルフが飛ぶ!」との案内を聞いて「まさかあのFw190が!?」と思い、慌てて空を見上げたところ複葉機でした。2012年のILAではBF109が飛んだらしいので、ちょっとそのあたりも期待していましたが、今回はありませんでした。残念なような気もしますが、既に貴重なものを山ほど見せていただきましたので欲張り過ぎかもしれません。


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▲レシプロ機とユーロファイターの編隊飛行
連邦軍の演習展示飛行Will fireは毎日行われていました


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▲飛行中の機体上で立ち上がるというとんでもない女性パフォーマー


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▲ひょえ~
度胸も凄まじいですが、飛行中の航空機の上で移動したりポーズを取ったりするのは体力もかなり必要なのではないでしょうか。呼吸も辛そうですし。いやはやすさまじい。引退が近いとかなんとかいう話が放送されていましたが、こういうショービジネスを仕事としている方ってかなり貴重なのではないかと思います。


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▲引退するすると言いながら中々引退しない(できない)F4は日本のエアショーでもおなじみ


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▲3日目は隙を見て所属基地に帰っていく航空機が多かったのですが、こちらの航空機もその一つ

おじさんが一人集団から離れて展示飛行を見に出てきたと思ったら、「今だ!」とばかりに他のメンバーが慌てて飛行機に乗り込み「じゃあまたな!」とか叫んでいたのを見て和みました。おじさんが慌てて走っていく姿は何とも平和なものではありませんか。


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▲後半の見どころ Mi-24 ハインド
こんなにデカいヘリコプターなのだから騒音地獄となるかと思いきや、とても静かでした。そのうえ高機動という、見た目からは想像できない性質を持ったヘリでした。


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▲閉めのイベントは今日もスイス空軍


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▲レインフォールのような演目にフレアを織り交ぜた演目
フレア演出はやっぱりキレイです。地元のエアショーでもやってくれないものかしら。



と、3日目ではありながら特に落ち着くこともできず、見切れていないコンテンツを味わい尽くそうと空を見上げつつ慌ただしく会場内を歩き回っていたらあっという間に17時になっていまいした。これでほとんど主要な飛行展示は終了です。さて、カメラのバッテリーもほぼ使い果たしたし帰るか!と出口へ向かっていたところでMig-29が離陸しました。
本来はこの日の午前中に展示飛行の予定が組まれていたのですが、何らかの予定で入れ替えになっていたようです。不覚!どうせならもう一度かぶりつきポジションで見たかったのですが、仕方ありません。



3日間丸々参加して分かったこと。
・3日あっても全てを見切ることは不可能。
・欧州各国の航空機が集結しており、お得感を味わうことができるエアショーだった。
・日差し対策が不十分過ぎた。日焼けは痛いし頭はクラクラするし、日焼け止め・帽子等を用意すべきだった。
レッドブルの個人コレクションの質は異常。
真夏日に外で飲むビールはおいしい。
ソニーコンデジは優秀。


といったところでしょうか。
ミリタリー趣味者はもちろんのこと、単純に飛行機が好き!という方も間違いなく楽しむことができるであろうイベントです。Me-262の飛行が見られるのはここだけでしょうし、それ以外にも貴重な航空機が目白押しです。航空機ファンの皆様は、2年後の「ILA 2016」に参加してみてはいかがでしょう?



おまけ

ホテルに帰ってからは夜のベルリン散歩に出かけました。
まずはS-バーンでティーアガルテンへ。

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▲Siegessäule

とりあえずこれを見てみたかった。あとは何も計画していませんでしたが、せっかくなのでそのままブランデンブルク門に向かい、ティーアガルテンを横切る形で歩きました。
すると突然T-34が!


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▲ティーアガルテンの木々の間に映えるT-34


ソ連軍の顕彰碑でした。物珍しさにあたりを散策していたところ、アジア人のおじさんと出会いました。相変わらずアジア人はアジア人でしかなく、日本人なのか中国人なのかといった区別はつきません。そのため、とりあえず英語かドイツ語でいつも挨拶しているのですが、今回は相手の方が「こんばんは」と言ったように聞こえました。

そこで日本語で話しかけてみたところ、相手は中国語で話しかけてきました。どうやら私の聞き間違いだったようです。その方は中国からの旅行者だったようなのですが、日本語もかなり堪能らしく、「あぁ、日本人の方でしたか」などと日本語で返事をされたために驚きました。

「この記念碑すごいね」「ベルリンは記念碑だらけだよね」などといった話に加え、「日中関係は政治的にはややこしいことになっているけど、お互い平和が一番だね。」といった言葉をかけてくれました。日本を出る前はニュースで半日暴動の話がやたら取り上げられていたこともあり、個人的感情としても日本人は嫌われているものかと思い込んでいましたが、そんなことはないようです。この方の言葉には温かみを感じました。

個人対個人で話をする際には、お互いの国家間の政治的立場などはそれほど問題にならないのかもしれません。もちろん、気にする人もいるのでしょうが、そこに囚われ過ぎる必要もなさそうです。日本人同士で話をする際も、出身地や家柄が問題になることなど冗談を除けばほぼ一切ないのに、国家規模の話になるとついついそういった部分を気にしてしまいます。よくないですね。


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▲夜のブランデンブルク
ライトアップされるため、夜の散歩もまた違った趣を楽しむのに最適です。


ティーアガルテン駅からブランデンブルク門までは3kmほどの距離があり、歩くにはやや長めの距離ではあるのですが、木々が生い茂った中を歩くのは気持ちがよく、また夕暮れ時は程よく涼しいこともあって快適でした。
疲れ果ててはいましたが、こういう無計画・無目的な散歩も楽しいものです。

236日目(5月24日 土) Berlin ILA 2 日目

Berlin ILA 2日目

前日分記事で書き忘れましたが、Berlin ILAは「ベルリン アイエルエー」ではなく、「イーエルアー」でもなく「イラ」と読むらしいです。


「アイエルエーを見に行きたいのですが、どの電車に乗ればよいですか?」
「え?なんですか?」
「アイエルエーです」
「えっ???」
「あの、国際航空...」
「ああ!"イラ"ですね!」
「アッハイ」

...ベルリン中央駅にて。



さて、というわけで、また間が空いてしまいましたが二日目のお話です。


ILAの一般開放日は全3日ありますが、3日間とも少しずつ異なった飛行展示プログラムが組まれています。

例えば、初日はMig29の飛行がありましたが、この日はなく、その代わりにトルコ空軍のアクロバット飛行展示がありました。
また、3日間共通の展示飛行もあります。Me262とF4U・B-25はこちらに分類されるイベントですので、毎日見ることができました。

もし日を選んで訪れるという方がいるようでしたら、事前に目当てのイベントの開催日をチェックしておくことをお勧めします。といっても、事前にwebサイトに掲載されていた情報と当日のプログラムが若干違っていたりする可能性もありますし、またそもそも2年後どういったプログラムが組まれるのかは全く分かりませんので断言はできません...。

では、以下写真にて様子をお届けします。


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▲Tante Ju[タンテ ユー](ユーおばさん)ことJu-52
ミュンヘンのドイツ博物館以来かな


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▲この日はこんな感じのミニ音楽イベントもありました


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グリペンはこの日も飛びました


ちなみに、初日よりはやや曇っており、暑さに苦しめられることはありませんでした。午前中の間は...。


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▲この日の目玉イベントの一つ "Solo-Turk"
トルコ空軍のF-16の展示飛行です。


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▲その名の通りソロフライトですが、なかなかの迫力です

音楽に合わせて飛行展示が行われたのですが、使われていた音楽も絶妙でした。
最初はロック系の音楽だったのですが、途中でトルコ軍楽隊といえばこの曲、「Ceddin Deden」が流されました。


CEDDİN DEDEN - YouTube
▲Ceddin Deden

このようなトルコの軍楽のことを"メフテル"と呼ぶそうですが、F-16を乗り回す現代のトルコ軍でもこの曲は健在なのでしょうか。F-16はアメリカの戦闘機ですから、どうしても欧米的なイメージが強いのですが、この曲が流れてきて「あぁ、これはトルコ軍の飛行展示だったのか!」と改めて思い知らされました。

Wuppertalに帰ってきてから、交流会にてILAの写真を見せながらお土産話をしたのですが、その際にトルコ出身の友人が妙に食いついてきました。「トルコ空軍の展示飛行が良かった」という話をすると、「F-16のエンジンはほぼすべてがトルコで作られている」と教えてくれました。え?アメリカじゃないの?と思ったのですが、米軍機用のエンジンも含めて、どうやらトルコの工場で生産されているということらしいです。

何故彼がそのような情報に詳しかったのかというと、かつて軍人を目指していたことがあったらしく、ミリタリー系の学校に通っていたことがあったのだそうです。現在は音楽の勉強をしているという話を聞いていたため、てっきりずっとその道で来ているのかと思っていたため驚きました。

その後も「ドイツは自国のために兵器を生産することはできない」など、色々な話を聞かせてくれました。え?ドイツ製の兵器なんてMP-5を始めとして世界中で使われているし、連邦軍だってG-36とか使っているんじゃないの?と思われるかもしれませんが、それに関しては"NATO軍の装備として調達している"という扱いになっているのだとか。むむむ。

こちらは片言のドイツ語、相手は片言の日本語という不安定なコミュニケーションツールを用いた会話でしたので、この情報がどこまで正しいのか定かではありませんけれども、面白い話を聞くことができました。


Solo-Turkの話に戻りましょうか。
3曲目にはモーツァルトトルコ行進曲のロックアレンジ版が使われており、ドイツで飛ぶトルコ軍を演出してくれました。面白い選曲です。


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▲スモーク、フレアもふんだんに使って演出してくれます



地元の航空祭ではフレアを使った飛行展示は見たことがありませんでした。日本でもそういう飛行展示ってあるのでしょうか?

それから、ILAでは展示飛行の際に航空機が観客席(エプロン)上空を飛ぶことは絶対にありません。したがって、ステージ上で行われている演技を見るように、常に滑走路側の空を見上げることになります。これも一般的なことなのでしょうか?私の中には、比較対象が地元の小さな航空祭しかないため、よく分かりません。


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▲今日のF4U なんだか神秘的な写真が撮れたのでアップ


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▲AH-1と何かによるアクロバット飛行
ヘリでスモークを焚いている飛行展示は初めて見ました。そもそも、大概初めて見るものばかりでしたけどね。


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連邦軍クイズ大会
「衛生兵になるためには、以下の4つの選択肢のうち、どの階級が必要か」というようなことが書いてある...のかな。


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▲欧州のアパッチ?であるTiger
現代のTigerは飛ぶ!

ちなみに、会場放送によると左側のレーダーを装備した情報収集型の機体がドイツ仕様のもので、右側の機関砲を搭載した戦闘特化型のものがフランス仕様なのだそうです。欧州の装備はトーネード、ユーロファイターのように、同種の機体を装備しつつもそれぞれ少しずつ仕様が異なっていることが多いです。
ユーロファイターの場合、ドイツ仕様はやや装備が省略された安価版で、フランス型の方が赤外線追跡装置(IRST)やら何やら高価な装備がついている...と何かで読んだ覚えがあります。


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▲ドイツ仕様Tiger近影


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▲フランス軍ブースのラファール


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▲米軍ブースのA-10


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▲牽引中のMe-262に遭遇
Me-262はドイツ語では「メ ツヴァイ ゼクス ツヴァイ」になります。放送によると。
エムエーではなく"メ"と発音されていました。


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▲屋内展示場の様子


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▲ユーロファイターの展示飛行
Willfireにてユーロファイターの姿は見ることができますが、単体での展示飛行は2日目だけでした。


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▲米軍ブースのF-16
このころには空が晴れ始め、また暑くなり始めていました。


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▲アントノフ124


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▲前触れもなく飛び立ってしまったJu-52
離陸を見逃してしまった...


Me-262やWillfireもこの間にやっていましたが、今日はこちらの写真はなしということで。


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▲C-47 ドイツではRosinenbomber(レーズン爆撃機)の名で親しまれています
ベルリン空輸で大活躍したこの航空機は、米国を主体とした西側諸国と当時の西ベルリンの友好の証しのようなものかもしれません。以前Mさん宅で見せていただいた映画『Die Luftbrücke』はまさにこのあたりのお話しでした。


この航空機を、当時の状態のまま保存し、それによってベルリン空輸、果ては東西分断時代をも記憶することを目的とした団体があるそうで、その団体がこの機体の管理をしていました。募金をすると機内を見学させてもらえるうえ、多めに募金するとT-シャツも購入できるという極めて実用的なシステムで運営されていました。


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▲これがRosinenbomberのコックピットだ!
ちなみにT-シャツも買いました


と、言った具合にあれこれ見ていたらあっという間に本日最後のイベントの時間に。


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▲スイス空軍アクロバットチームの展示飛行

使用している航空機は珍しいことにF-5です


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▲すごい!


今までブルーインパルスしか見たことがありませんでしたが、それに劣らずスイス空軍のチームも凄まじかったです。フランス空軍のアクロバットチームの展示飛行もありましたが、そちらは音楽に合わせて優雅な編隊飛行を見せるというスタイルでしたので、やや動きに欠けるという印象でした。その点、スイス空軍はブルーインパルス型のアクティブな飛行展示で見ごたえ十分でした。

比較対象が出来て初めて分かったことですが、空に絵を書くのはブルーインパルスの特徴なのかもしれません。桜とか星とかを描く演目があったような気がしますが、アレは何度見てもステキです。
バーティカル・キューピッドめいたものは、このスイス軍のチームだったか、別のチームだったかがILAでも披露していました。
最期にコークスクリューのような演目もありました。


といった感じで二日目終了です。
初日で一通りざっくり見学できていたこともあって、のんびりと余裕を持って見て回ることができました。それでも見切れないほどコンテンツにあふれていましたが、それはまた3日目のお楽しみということで。

235日目(5月23日 金) Berlin ILA 1日目

Berlin ILA 1日目

今年のILAは20日(火)~25日(日)までの6日間にわたって開催されており、そのうちの前半三日間はトレーダー・業者向けとして、特別な許可証を持った方々のみ入場可能です。しかし、後半三日間、すなわち23日(金)~25日(日)まではチケットさえ購入してしまえば一般人も入場できるということになっていました。

チケットは、一日有効で22ユーロ。もし3日間参加したければこれを3枚購入しなければなりませんでした。計66ユーロ...高いのか安いのかよく分からない。私にとってはここで見られるものはかなり貴重なので、高すぎるということはない気がします。というわけで迷わず3日分購入。

購入に関しては、ILAの公式サイトから事前にクレジットカードで購入できるほか、会場についてからでも窓口で購入可能でした。


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▲チケット売り場


私は、現地チケット売り場が存在することをその場に行くまで知らなかったため、事前にネットで3枚購入しておきました。が、どちらでも問題はなさそうです。


会場となるのは、Schönefeld(シェーネフェルト)空港というベルリンの南に位置する空港です。正確には、そのSchönefeld空港の西端に位置する展示飛行場を丸々利用して行われるのですが、交通機関のアクセスとしては大差ありません。

Schönefeld空港駅までは鉄道で移動可能です。そして、空港駅から会場までは無料シャトルバスが出ていました。このシャトルバスが、ものすごい台数で運行されており、ほぼ絶え間なくやってくるため、待ち時間は全くありませんでした。ありがたや。


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▲シャトルバス
ちなみに、写真が前後しましたが、シャトルバスで移動してたどり着いた先にチケット売り場がありました。


イベント会場が何時ごろから運営開始されていたのかは定かではありませんが、最初の飛行展示はだいたい1030時からでした。私は、3日間とも大体11時くらいには会場にいられることを目指して行動しました。

イベントプログラムは事前に公式webサイトで確認、印刷しておいたのですが、案外流動的なようで、当日になったら全く異なるプログラムでイベントが行われていたりします。そのため、公式サイトでも推奨されているように、スマートフォンにILAのアプリをダウンロードしておいた方が安心できます。
こちらでその都度最新の情報を入手することができます。


さて、前置きはこの辺にして、そろそろ内容の話を。

初日は、駅からシャトルバスが出ていることも知らなかったため、不安な状態でSchönefeld空港駅へ電車で向かいました。到着してからはいい意味で期待を裏切られ、安心しました。


バスで10分ほど走ると、徐々に会場が見えてきました。窓から外を覗いていると既に何か飛んでいます。ちらっと見えた姿はMi-18っぽかったのですが、そんな予定があったかしら?
この時点ではwebサイトで事前に印刷しておいたプランが最終的なものだと思っていたために色々勘違いをしていました。


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▲入口

既にチケットは購入済みであったため、窓口の列に並ぶこともなくスムーズに入場できました。
入口でチケットのQRコードを読み込まれ、確認手続きが終わった後は簡単な持ち物検査がありました。カバンの中身を検査員に見せ、空港にあるような金属ゲートをくぐります。空港で行われるものと比較すればそこまで厳格ではないのですが、まさかこんな検査があるとは思っていなかったため驚きました。

これを終えると、ようやく会場入りです。


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▲会場内 なんと広い!

この写真はエプロンを写したものですが、この脇に建物がいくつか立っており、その中にはいくつもの企業ブースがあり、各種技術・商品展示がなされていました。

持っていたのがちっちゃなデジカメであったことと、航空機の写真を撮り慣れていなかったことから初日はお粗末な写真が多かったのですが、一応何とか見れるものを紹介します。

会場に入って最初に行われた飛行展示はJAS-39グリペンでした。いきなりとてつもないものが見れそうです。


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▲初日の写真の中では比較的まともだった一枚


グリペンスウェーデンのサーブ社によって設計された航空機で、やや小型の短距離離陸能力に優れた航空機です。というのも、コンセプトとしては空港・正式な空軍基地が機能しなくなってしまったとしても、トンネルと高速道路などを野戦飛行場のごとく使用して離着陸が可能なことを目指したものだからなのだそうです。個性的な航空機ですね。

日本でのF-X選定時にも何度か話題に上っていたような気がします。どこで読んだか失念しましたが、日本の航空自衛隊基地はそのまとまった配置や何やらから先制攻撃をされてしまえばひとたまりもないような構造をしているらしく、現状打たれ弱いという性格があるのだとか。また日本の独特な山だらけの地形の中で、仮に航空基地が破壊されたとしても持続的に航空機を運用するのであればまさにグリペンのようなコンセプトが合致する...とかなんとか。コンセプトそのものも専守防衛向きな気がしますし、そんな話を聞いて思わず納得してしまいましたが、正式に候補に挙がったことはなかったようですね。


そんな小さくてかわいいグリペンなのですが、実際に飛行しているところを見ると何とも力強く、迫力がありました。機動力も凄まじく、かわいいなどと言っていられなくなりました。


グリペンの後も飛行展示は断続的に行われているのですが、その都度空を見上げているとそれこそキリがないというような状態であったため、自分の興味のある機体が飛んでいる時以外は地上展示見学に時間を充てることにしました。


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▲トルコ空軍のF-16
イベント2、3日目に「Solo Turk」として、ソロアクロバット展示飛行がありました

ところで、この日は暴力的なまでの晴天で、ものすごい日差しが強く、暑かったのです。私は、ベルリンはWuppertalよりも涼しいと思っていたために長袖シャツしか持ってきておらず、またこの日に至っては上着まで羽織っていたために蒸し殺されてしまいそうでした。
そこで、お土産がてら会場で半袖シャツを調達することにしました。

そんなときにこのSolo-Turkのチームのブースを見つけました。トルコ空軍と聞いても何もイメージできなかったのですが、帽子とポロシャツを購入しました。帽子のおかげで幾分か楽になりました。


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▲UAVかな


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トーネード


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▲ユーロファイター


トーネードとユーロファイターは国際共同開発機で、どちらも英・独・伊を中心として開発された航空機です。戦後開発された航空機としてはドイツにおける代表的なものですので、ドイツに来てユーロファイターを見るというのは、ベルリンに行ってブランデンブルク門を見るように、ある意味では典型的ツーリズムと言えなくもないかもしれません。


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連邦軍ブース 故郷・安全・団結


などと、ドイツ連邦軍地上展示エリアをうろついていたら初日午前中の目玉イベント(私の中で)の時間になってしまいました。


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▲Mig-29


ミグと言えば、スホーイやツポレフ等々とならんで名高いロシアの航空機メーカーです。朝鮮戦争の折には、Mig-15という傑作戦闘機を生み出し、米国を恐怖に陥れました。一瞬だけ。結局その後F-86が登場し、絶対的優位は崩れてしまったのですがそれはまた別のお話しということで。
Mig-29は東側諸国に数多く輸出されていたそうです。ここにいたのはポーランド空軍のMig-29でした。
日本ではまずお目にかかることはない航空機ですので、これは胸熱です。なにより見た目がいい。


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▲タキシング中


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▲着陸

飛行中にはまともな写真が取れなかったため、皆さん脳内で補ってください。

ミグで大喜びしていたら、脇ではレシプロ機の離陸準備が進んでいました。


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F4Uコルセア
来ました!WW2機!これが見てみたかった。いや、これ"も"見てみたかった。


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▲展示飛行はB-25と一緒に
B-25は、先日英国のRAF博物館を見学した際にも目にしましたが、まさか飛行する姿まで見られるなんて!信じられない光景!

ちなみに、展示飛行を始めとして会場内には常に独・英語のアナウンス放送が流されています。F4UとB25が飛行した際には、ドゥーリットル爆撃隊の話など日本にゆかりのある話が放送されていました。しみじみ。

そういえば、アナウンス放送は割とフランク?で、ドイツ語放送役の方と英語放送役の方が二名で担当していたようなのですが、時折相方の放送に「いや、そこ違うでしょ?」みたいなツッコミを入れていたりして、かつそれが放送されていたので面白かったです。

落し物連絡の際も、「○○からお越しの□□さん、先ほど△△であなたの身分証明書が見つかりました。至急取りに来てください。身分証がないと死にます。」みたいな、冗談を交えたりしていて軽い感じ。非常に親しみを覚えます。


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▲フランスのアクロバットチームの飛行などもありつつ...


続いて休みなくメインイベント!


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▲Me-262


当ブログでは、ミュンヘンドイツ博物館にて1回、そして英国RAF博物館にて1回と計2度写真で登場していますが、あのMe-262がベルリンでは飛んでしまうのです!
ただ、当時の機体そのまま...というわけではなく、メッサーシュミット社と米国の機体復刻チームが共同で作業に当たり、復活・保存している機体らしいですが、だとしてもこんなものを見れる機会はそうそうありません。何より、第三帝国時代の遺産がドイツの首都で飛ぶというのですから驚きです。


もちろん、戦闘の華々しい記録よりも、技術的革新性・戦後の技術開発への貢献という点が、当機を際立った存在としている主な理由で、おそらくそれ故に復活プロジェクトもスムーズに進んだのでしょうが、だとしても生み出した主体は第三帝国であるはずで、これはどうなのだろうかと思ってしまう部分もあります。


ミリタリー趣味者の本音としては、どんな形であれ飛行している姿が見られるのは嬉しいことなのですが、兵器の扱い方・扱われ方は難しいものですね。


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▲飛び立つところ

例によって飛行中の写真はロクなものがないので、各自youtubeで動画を探すなど、異なる方法でより上質な視覚メディアに触れてください(すみません)。
この後は、


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▲ベル47 初の傑作ベストセラーヘリコプター


などを挟み、Willfireと名付けられた連邦軍の演習展示飛行がありました。


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▲フィナーレ


ちなみに、こちらに関しては連邦軍公式サイトにてより良い映像・写真が見られます。
こちらから。


まだいくつかイベントが残っていたのですが、この日は強い日差しの中長袖でいたために疲れ果て、少し地上展示を見てからホテルに帰りました。


続きは「Berlin ILA 2日目」にて!

234日目(5月22日 木) ベルリンへ ILAへ

ベルリンへ ILAへ

春休みに、イギリスとベルリンを訪れることが目標と書きましたが、ここに至ってようやくベルリンを訪れることができました。
ベルリンは、博物館・記念碑にあふれており、自分の興味の対象だらけです。訪れないわけにはいきません。ただ、今回はそれに加えてもう一つ特殊なイベントがあります。

"ILA(International Luft- und Raumfahrt Ausstellung Berlin)"です。「国際航空・宇宙展覧会ベルリン」というのが和名になるのかと思いますが、要するに航空機関連の見本市にしてエアショーです。このイベント、実は2年に一度しか開催されておらず、今回訪れる機会に恵まれたのは結構幸運なことだったりします。

私は人文系の学生ですが、今まで戦車博物館を始めとしていくつか技術系の色合いが強い博物館も巡ってきました。ミリタリー趣味的欲求に基づいてそういったところを巡っていたのですが、今回もその例に漏れず、目的はミリタリー関連の展示です。

エアショーといえば、地元の航空自衛隊基地のイベントは毎年訪れていましたが、その他の大きな航空祭は訪れたことがありませんでした。いつか行ってみたいと思いつつも、思っているだけだったため、せっかく欧州にいる間に一度こちらのイベントを訪れるつもりでした。
そして今回の機会に巡り会えたというわけです。

しかも、ただでさえベルリンは自分の興味の対象にあふれているということで、一石二鳥です。というわけで、5月22日(木)~26日(月)までベルリンを旅行してきました。

この日は夕刻にベルリンに到着し、ちらっと観光しつつホテルまで移動して終了でした。ホテルは、ILA会場へ向かう道中のNeuköln(ノイケルン)というところに取りました。

以下、ちらっと観光した様子を写真にてお伝えします。


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ブランデンブルク
ベルリン中央駅からブランデンブルク門までを往復している地下鉄の路線があり、それで5分ほどでここまでくることができます。


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ユダヤ人の記念碑
ブランデンブルク門から徒歩3~5分。少し歩いたところに位置しています。これは後で昼間に再訪したので、そちらにあれこれ書きます。


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▲「君はいつヘテロ(異性愛者)であることを決めたのか?」
同性愛者のデモが先日行われていたようです。


それから、ベルリン中央駅はとてつもなくでかく、京都駅のような箱型でした。すごい!

では続きは翌日分の記事で!

突如帰国

突如帰国

先日一週間旅行をしようとしていたところ、その最中にちょっとした事件があり、旅行を中断して帰国することになりました。
慌てて航空券を取り、というかとっていただき、バタバタと帰国したため特に荷物を持ち帰ることもできず、また帰国後もすべきことが多かったためになんだか慌ただしかったですが、そんなことがありましたよという報告です。あと、更新が遅れている言い訳です。


7月8日から17日まで帰国していたわけですが、久しぶりに食べたかつ丼はおいしかった。ということで、今からベルリンの話を思い出しつつ書いていきますね。

194 ~ 233日目(4月12日 土 ~ 5月21日 水) 最近の様子・出来事 その2

近況 その2


さて、前回に続いて時間差近況報告の続きです。
既に毎日更新するという約束を破ってしまい、ややむなしくなりつつあるタイトル表記(○○日目)は、かえって見づらいかもしれませんがここまで来てしまったのでこのままいきます。
そのタイトルにて、前回から4月12日~5月21日までの内容をまとめるかのような書き方をしていますが、今回分の記事はその出来事が起きた日を失念したものも含みます。たぶんこの期間だったはず...という曖昧な記憶に基づく記述ですのでご勘弁を。特別なイベント等があった日は正確な日付を記述するように気を付けますが、それ以外の個人的経験については「この間こんなことがあったんだよね」という程度の思い出話と考えていただければと思います。


洗濯機壊れる(失念)

私が住まわせていただいている寮は団地のようになっており、5~6の建物が密集して建っています。その中に一つだけランドリールームが設けられており、そこには洗濯機が4つ・乾燥機が3つ備え付けられています。私は一週間ほど洗濯物をためて、週末に洗濯・乾燥をまとめて終わらせる派です。この日もたまった洗濯物をゴミ袋に詰め込んでランドリールームへ持ち込んだのですが、表題の通り洗濯機に問題があったわけです。

洗濯機が故障していると、大抵の場合「Kaputt」とか「Defekt」(いずれも故障の意)と書かれた紙が貼られていることが多いため、何も貼っていない場合は特に何も気にする必要はありません。基本的には。

この日私が使おうとした洗濯機には張り紙もなく、特に問題もないように見えたため洗濯物を放り込み、洗濯機の扉を閉めてスイッチを入れたのですが、電源がつきません。あれ?と思い、あちこち確認してみましたが自分で確認できる範囲には問題は見当たりませんでした。既に一回の使用に必要な2ユーロも支払ってしまっていたため、かなり損をしてしまった気がしますが、こうなれば仕方ありません。別の洗濯機を使うか...と思い扉を開けようとしたのですが今度は扉が開きません。

この洗濯機はドラム型なのですが、洗濯中に扉が開いて大惨事になることを防ぐために、扉のロックも電気系統で制御されていたようです。閉めることは閉められるのに...。こうなれば管理人さんに問い合わせるしかない、と思ったのですが休日であったため管理人さんは不在です。

どうしたものか...と途方に暮れていたところ、洗濯機の下の方に「緊急用扉開閉スイッチ」なるものがあるらしいことを発見しました。が、その「スイッチがここにありますよ」とシールにて示されている場所にもフタがついており、このフタには取っ手もなければボタンもなく、一切開けることができません。しかし、ここを開ければスイッチがあることは間違いないので、何とかならにものかと力づくで開けてみようとしたのですがどうにもなりません。

そうして不様な試行錯誤を繰り返していたところ、ちょうど別の利用者の方がやってきました。なんだか恥ずかしかったのですが、このフタを開けない限りはどうにもならないので引き続き作業していたのですが、あまりに哀れに見えたのかその方が「何か問題があったの?」と声をかけてくださいました。

ことのいきさつを話すと、フタを開けるべく手を貸してくれたのですがどうにもなりません。するとその方は「入口に業者の電話番号が貼ってあるから、そこに電話してみたら助けてくれるかもしれない」との助言をしてくださいました。電話は日本語でさえ苦手ですが、この際仕方なさそうです。

早速お礼を言い、その電話番号に電話をかけようとしていたところ、ちょうど作業を終えたのか、その方がやってきて「もしよかったら僕が電話しようか?」と改めて声をかけてくれました。おそらく、会話していた際のドイツ語がタドタドしかったために心配してくれたのでしょうか?

私も自身のドイツ語力に自信がなく、やや緊張していたために、ここはお言葉に甘えることにしました。ただ、どうもその電話対応窓口も休日は運営していなかったらしく、「話しかけたら機械音声だったわ」とのことでした。
それでも、そこまでしてくださったご厚意があまりにもありがたいです。とにかくありがとうございましたと伝えたのですが、「いやいや、僕は何にもしてないよ」といって颯爽と去っていきました。

優しすぎる!なんかピアスをたくさんつけたお兄さんだったため、怖そうとか思ってしまった自分が情けなくなりました。ありがとうお兄さん。

とはいえ、結局どうすることもできなかったので自室に戻り、管理人さんにメールを書いてお返事を待つことにしました。

翌日にはお返事をいただいたのですが、曰く「洗濯機の故障に関しては寮の方では保障できません。したがって、入寮者自身で業者と掛け合っていただきたいと思います。」ということでした。結局自分で業者に電話するしかないのか...。しかも月曜まで待たなければならないとは。着替えのストックはまだ少しあったため何とかなりましたが、面倒なことになってしまいました。


そういえば前回トラブルで電話をせざるを得なくなったのは、日本からの荷物受取に関してでした。その際は英語で対応していただけたため、そこそこスムーズに問題は解決したのですが、今回はどうでしょう。もう半年以上ドイツに住んでいるんだからドイツ語で行けるところまで会話してみよう、と覚悟を決め、月曜の授業終了後、真っ先に業者に電話を掛けました。

なんとか要件を伝えることはできたのですが、業者さんから指示されたのは「洗濯機下部の緊急用扉開閉スイッチを押してください」というものでした。「いや、それが開けられなくて困っているんですよ」と伝えたところ、何やら別の指示をしてくださったのですが、そこで出された指示を聞き取ることができませんでした。
何度か聞き返していたところ「え~っと、英語の方がいいですか?」と向こうから言われてしまいました。あぁ、これが今の私のドイツ語力の限界なんだな、と、この時点での実力を噛み締めながら降参することにして「はい。すみません。英語でお願いします。それで先ほどお話ししていたのはどういうことなんですか?」と改めて英語で尋ね直したところ「あ、その、ごめんなさい。私もそんなに英語ができるわけではないのでちょっと説明できないです」というお返事が。


それなら何故英語が話せるか尋ねてきたのか?という疑問はさて置き、これは私の未熟な語学力が招いた問題です。「お手数おかけしてごめんなさい。もう一度管理人さんに頼んでみます。」ということにして、一度電話を切りました。

メールでは"自分で対処せよ"とのことでしたが、自分で対処しようとしてうまく行かなかったのだから仕方ありません。管理人さんのところへ行って状況を説明することにしました。すると、「緊急用扉開閉スイッチのフタなら開けられるよ」というではありませんか!これは僥倖と、早速開けてもらうようお願いしました。管理人さんは、ちょうどその時手に持っていたドライバーを持ってランドリールームまで行き、それでベコッと力ずくでフタを開けました。なんのことはない、ちょっと道具さえあれば力づくで開けることができたようです。
そうして何とか洗濯物たちを救出することには成功したのですが、業者への故障連絡は結局管理人さんにお願いすることにしました。まだまだ自分のドイツ語力は不十分であることを実感した出来事でした。

書いていてふと思いましたが、よく考えたら私が壊したわけではないですね。壊れているのを知らずに使おうとしてしまったのは間違いありませんけれども。前の利用者が使い終わった時点で壊れていたことに気が付かなかったのでしょうか。謎です。


新クラスの様子

4月...といっても実際に授業が開始されたのはほぼ5月からでしたが、ともかく新学期に再編されたクラスでは以前より国際色に富んだ学生たちと出会うことができました。日本人は今回から私一人になったため、かえって気楽になりました。中途半端に日本語が通じる相手が身近にいるよりも、一人の方がかえって思い切れるというものです。
私以外には、中国・イラン・チュニジア・フランス・ロシア・イタリア・トルコ・ギリシャ・ブラジル出身の学生が同じクラスにおり、あれこれ話を聞いているだけでも面白いです。

授業中も、「君の国ではどうなの?」と各国の状況を説明したりすることがあるのですが、よく考えると、こういう質問が成り立つのもあちこちからの学生が集まっているからこそですね。

また、冬学期は特にクラスの友人とどこかへ出かけたりということはなかったのですが、今期は一緒に学食に行ったり、小旅行をしたりと、一緒に行動をすることも出てきました。一緒に行動する友人がいる利点は、常にドイツ語を話す機会に身を置くことができるということでしょう。学食で食事をするほんの30分ほどの時間も、友人とあれこれ話しながら過ごすだけで会話練習になります。

授業の中で、先生が「ぜひ、友人たちと学習グループを作って一緒に学んでください。その方が一人で学ぶよりも間違いなく上達します。」と頻繁に仰っていたのですが、その意味がようやく分かりました。

冬学期(特に授業開始当初)は、会話能力を筆頭にドイツ語力があまりにも不十分であったため、友人と一緒にいてもまともに意思の疎通が図れないのではないかという不安から一人で勉強することの方が多かったように思います。もちろん今でも十分な語学力が身についているわけではありませんが、それは友人たちも同じことで、お互いに手探りでドイツ語でコミュニケーションを取っているような状態です。
もしかすると、間違った文法や単語を使いながら理解しあっている可能性もありますが、会話練習はそれでよいのではないかと思います。相手が何を言おうとしているのかを理解し、自分が言いたいことをリアクションとして返すという一連の流れの中では、正確な文法・作法よりも伝わるか否かという点が重要になるのではないでしょうか。リアクションに時間がかかり過ぎるのも考え物ですし、多少適当に単語をくっつけてみたりしても言いたいことが伝わったりします。(なんていって、苦手な文法から逃げることを正当化したいだけだったりするのですが...)

最近は手探りで会話するのも楽しくなってきましたし、たどたどしいドイツ語を用いてではあっても他国の文化について話を聞いたりできるのは貴重な体験なのではないでしょうか。

先日はアーヘンとボンに友人たちと出かけたのですが、一人旅が多かった私にとってはこれも新鮮な体験でした。一人でじっくり博物館やらを見学するのも楽しいのですが、ワイワイ街を歩くというのもまた楽しいものですね。自分一人では気づくことがなかったようなことを発見できたり、また自分が知らない文化について教えてもらうことができたりと色々勉強になります。

特に、教会を見に行くと私にとっては"きれいな建物"で終わってしまいがちなのですが、キリスト教文化圏出身の学生から「この石棺にはこういう意味がある」とか「天井に描かれている絵画はこういうことだ」といったレクチャーを受けられるので面白いです。また、中にはラテン語を学んでいたという学生もあり、教会内の壁や天井に絵とともに描かれているラテン語が何を意味しているのか教えてくれたりします。大抵は聖書の一節であったり、私には馴染みのないものであることが多いため、それも含めて教えてもらえることは非常にありがたい話です。

今回のクラスのメンバーは皆フレンドリーで、気楽に話ができますし、非常に居心地がいいです。B1に留まっているのは本来好ましいことではないのかもしれませんが、このクラスに所属できてよかったです。


デュッセルドルフ 日本デー[Düsseldorf Japantag] (5月17日)

公式webサイト:http://www.japantag-duesseldorf-nrw.de/

5月17日、デュッセルドルフにて「日本デー(Japantag)」なるお祭りが開催されました。デュッセルドルフといえば、ここノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW)の州都であるとともに、ドイツ国内で最も多くの日本人が住んでいる町として知られています。中でも目抜き通りの「Immermann Straße(インメルマン通り)」沿いには、ラーメン屋・寿司屋などの日本料理店のほか、日本の書籍を扱った本屋などがあちこちに立っています。また、日本企業も数多くここに拠点を置いているとのことです。

というわけで、普段から"日本人街"とでもいえるような性格を持ったこの街で、年に一回行われる文化交流祭がタイトルにある日本デー(Japantag)なのだそうです。
事前に見せていただいたパンフレットによると、柔道・剣道・書道といったような堅実な"道"がつく文化から、特設ステージ上での和太鼓・日本のヴィジュアル系バンドの演奏、あるいはコスプレ大会やカラオケ大会にいたるまで、日本的な文化であればハイカルチャーからサブカルチャーまで幅広く扱い、みんなで楽しみましょう!という趣旨のイベントのようです。

タンデムでお世話になっているJさんを始めとして、日本文化に興味があるという方が自分の周りにも何人かいたため、せっかくの機会なので一緒に行ってみることにしました。タンデムメンバー、授業の友人など複数のグループの友人がごちゃ混ぜになって行動するというのもなんだか楽しそうと思うことができたのは初めてかもしれません。日本にいる時であれば、部活のメンバー / 学部の友人 / 地元の旧友...といった具合にグループ分けをし、そのうえで常に特定のグループを選んで一緒に行動していたような気がします。


当日は、午前中からデュッセルドルフに乗り込む予定でWuppertalの駅に集合したのですが、駅のホームには既にちらほらコスプレイヤーの姿があり、尋常ではない雰囲気を演出していました。電車に乗り込むとそれはさらに顕著で、カーニバルを思い出すほどにコスプレイヤーだらけでした。
ただ、今回はコスプレといってもゲーム・アニメ・漫画のキャラクターをモチーフにしたものばかりなので、カーニバルの時よりもさらに異様な雰囲気です。

デュッセルドルフの駅に到着してからは、地下鉄で[Heinrich-Heine-Allee(ハインリッヒ・ハイネ・アレー)]駅まで移動します。ここから少し歩いたライン川沿いの一帯がお祭りの中心地です。

地下鉄の駅から外へ出ると、もう辺りはコスプレイヤーだらけでカルチャーショックを受けました。日本でそういう類のイベントに行ったことはなかったため、私にとってはとんでもなく衝撃的な光景でした。日本を出発するまでは、こういったサブカル色の強いものに対しては若干警戒した態度を取っていたのですが、こちらに来てからJさんその他の影響で、急激に興味が湧いてしまいました。サブカルの逆輸入です。そのうえでこんな光景を目にしてしまったものですから、変にウキウキしてしまいました。

とはいえ、私はそこまで各種漫画・アニメに詳しくなかったので、コスプレを見てもそれが何を模したものなのか見分けられないことの方が多かったです。一緒にいた友人は、「あ、アレは○○の誰々だ!一緒に写真撮りたいからついてきて!」といった勢いで、私以上にウキウキしていたようでした。
彼は妙なこだわりがあるようで「ワンピースのナミのコスプレイヤーと写真を撮りたいんだけど、大切なのはセクシーかどうかだ。セクシーなコスプレイヤーを見つけたら僕に報告するように。いいね?」と念を押されました。こういうところでまで行動的なのは良いことなのやら何なのやら...。

そんなコスプレイヤーたちを眺めながら、まずは中央ステージにて行われる和太鼓の演奏を見るべく、人混みをかき分けて移動しました。

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▲和太鼓演奏

和太鼓のパフォーマンスを見て感動したドイツの方が日本で勉強してこのグループを結成したとか。「和太鼓演奏には力強さと根性が必要だから男性には務まらないのよ」との理由からこのグループのメンバーは全員女性だとか。どこまで冗談なのか分からなくなるほどに本当に力強い演奏でした。

その後はコスプレ大会なるものを見に行こうと、別の小さなステージを目指して移動することにしたのですが、もう人混みがトンデモないことになっており、全く前に進めませんでした。移動の道すがら、川沿いの通りにテントが経っていて、そこで文化交流会が行われていたり、あるいはコスプレグッズ・アニメグッズ等々が販売されている風景を目にしました。


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▲真面目な文化交流 書道

このほかに、折り紙や着物の着付けをしていたり、生け花の展示をしたブースもありました。その一方で...

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▲サブカル交流

こういった具合に、アニメ・漫画グッズを取り扱ったお店もまた大人気でした。写真には写っていませんが、この裏側では何ともキワドイ絵柄の抱き枕カバーなるものが販売されていました。これを見たときはサブカルの暗黒面を見たような気がしてしまいましたが、昼に見たときには壁に飾られていたものが夕方にはなくなっていたので、きっとそれなりに人気があったのではないでしょうか。

そんなものをチラチラ見ながら、何とかコスプレ大会会場にたどり着きましたが、結局人混みがすごくてまともに見れませんでした。「いやぁまいったね。疲れたし、ちょっと休憩しようか」という話になり、ステージの裏手にあった広場へ向かったところ、そこに大会出場者が待機しており、ステージ表にいるよりも楽しげな雰囲気が広がっていました。(肝心のコスプレの写真ですが、勝手にアップするのははばかられるので帰国後捕まえてくださったら個人的にお見せします。)

コスプレは大会出場者に限らず、皆非常に気合が入っており驚かされます。おそらく自前で衣装を作っているのでしょうが、そこまで入れ込むことができる情熱は凄まじいものです。それに、皆一様に楽しそうで、なんだか自分もコスプレをしてみたいとさえ思ってしまいました。こわいこわい。

コスプレの対象として特に人気があったのは、「ナルト」「進撃の巨人」「ソードアートオンライン」だったような気がします。やたらそれ関連のコスプレイヤーを見かけました。ですが、印象に残ったのはヘルシングアーカードのコスプレでした。ものすごい人のよさそうなおじさんがアーカードのコスプレをしていたため、作品内のキャラクターとのギャップから妙な魅力を感じました。

あれこれ写真を撮ったりしていたらあっという間にお昼になってしまい、ご飯を食べに行こうということになったのですが、あたり一帯は人混みで移動するだけでも一苦労です。そこで、一旦中心地を離れ、Immermann通りの日本料理屋に行ってみようということになりました。

ところで、先ほど話題にでてきた友人はワンピースの他にナルトも大好きなジャンプ趣味者なのですが、彼はナルトのアニメの中で「ラーメン」なる麺類を食べているシーンを見て、一度それを食べてみたいと常々思っていたそうです。そんな話を聞いたので、ぜひラーメン屋に行こうということになったのですが、ラーメン屋はどこも行列でとても入れそうにありませんでした。ひとしきりウロウロしたのち、日本カフェ?といった雰囲気の小さなお店で妥協しようじゃないかということになりました。

これはラーメンは諦めてもらうしかないかな...と思っていたのですが、何とメニューにはラーメンの文字が!喫茶店めいたお店でラーメンが注文できるとは思いませんでした。それ以外にも照り焼き丼や日本式カレーなど、おいしそうなジャパニーズテイストの料理が注文できました。

今まで何度かデュッセルドルフを訪れたことがありましたが、こうしてお店に入ったのは初めてだったかもしれません。以前寿司屋に招待してもらったことはありましたが、あの時は最初からお店が決まっていましたし、こうして自分たちであれこれ見ながらお店に入ったのは初めてのような気がします。

店員さんはアジア系の方たちだったのですが、以前他のお店で日本人だと思って日本語で話しかけたら日本語が通じなかったということがあったため、ドイツ語で話しかけていたところ、店員さん同士で日本語を話しているのを聞いてしまい、なんだか恥ずかしくなりました。

その後は日本語で注文したりしたのですが、お店で日本語を使うのは久しぶりだったため新鮮に感じました。今まで気にしていなかったのですが、「すみません」という言葉をやたら使っていたことにも気が付きました。ドイツ語を話している時は「すみません」にあたる単語を連発してしまうことはないのですが、日本語を使おうと思ったとたんに「すみません」という単語が出てきました。「すみません」...汎用的で素敵な言葉ですよね。謝罪のニュアンスからネガティブな印象与えてしまうこともあるかもしれませんが、私は結構この言葉を気に入っています。すみません。


話がずれてしまいましたが、ともあれ、こうして彼は念願のラーメンを食べることができたわけです。お箸も使ってみようとして一緒に練習していましたが、結局フォークとスプーンで食べていました。いきなりは使うのは難しいですよね。食べ終わった後は、「ナルトがいつもやっている、お椀を持ってスープを飲み干すやつをやりたいから写真撮って!」と楽しそうにスープまで飲み干していました。ラーメン一つでこんなに幸せそうな顔をする人がいるとは面白いですね。

我々にとってはラーメンが身近過ぎてイマイチ想像できませんが、きっと「ローマの休日でオードリーヘップバーンが食べていたジェラートっていうやつを食べてみたい」とかそういう感覚なのではないでしょうか。


他にも、たこ焼きや抹茶ラテなどを注文して、久々に日本テイストのものを味わうことができたため、楽しかったですが、和食が恋しくなってしまいました。いやはや。

食後は改めて祭り会場に戻り、コスプレやコンサートを楽しんでいました。
中でもカラオケ大会は凄まじかったです。とてもきれいな日本語発音で「残酷な天使のテーゼ...」と歌声が聞こえてきたため、友人とそこへ行ってみたのですが歌っていたのはドイツ人でした。すごい。かと思えば、ドイツ語翻訳されたアニメソングを歌っていたり、とにかく盛り上がっていました。


Digimon Adventure - Leb deinen Traum - YouTube
▲最後に歌われていた曲 
案外ドイツ語歌詞もしっくりくるような気がします。ドイツ語発音だとデギモンになっちゃうのが可愛い。

ステージイベントの最後は、「Crow×Class」という和楽器を用いたヴィジュアル系バンドのコンサートでした。こういうタイプの音楽はほとんど聞いたことがなく、コンサートにも行ったことがなかったため、これまたカルチャーショックでした。が、会場の熱気や独特の雰囲気を楽しむことができました。何より和楽器でロック系の音楽をやってしまうというアイデアがすごいですよね。

その後は花火が上がってイベント終了です。この花火も日本の職人さんによって作られたものらしく、最後まで日本デーです。友人の話によると、新年の花火より派手だった気がするとのことでした。直接比べてみたわけではないので何とも言えませんが、どうなんでしょう。
帰りはこういったイベントでは恒例の帰宅ラッシュがトンデモなかったため、まぁビールでも飲んで時間をつぶそうということにしたのですが、多少待ったところで状況はさほど好転せず、結局人混みの中駅へ向かうことにしました。

デュッセルドルフからWuppertalまでの列車は、すし詰め状態で、都会の出勤ラッシュの電車などを体験したことがない私にとっては恐ろしいものでした。衝撃だったのは、網棚(といってもドイツの場合網ではないのですが)の上に寝転がってビールを飲んでいた若者がいたことでしょうか。ここまでやられると「マナー違反」とかそういうことではなく、もうただただアッパレという感じですね。

結局2時過ぎに家について疲れ果ててすぐに寝てしまいました。おしまい。



以下、まとめ。

ドイツに来て日本語に興味がある・勉強しているという学生が案外多いのに驚いています。しかも、その大半が漫画やアニメをきっかけに日本に興味を持ったそうで、やたらそういう話題を振られます。ドイツ人だけでなく、チュニジアブルガリア・フランスなど、あちこちの学生からそんな話を聞きました。
この「日本デー」も、文化交流という大枠の中でコスプレ大会が行われていたりと、逆カルチャーショックを受けました。
アニメといえばサブカルの王様で、主要消費者は"大きなお友達"というようなやや歪んだイメージを持っていたのですが、海外から見ると日本文化の主力兵器とみなされているのかもしれません。
法的にはグレー...あるいは完全に黒なのかもしれませんが、webを通じてアニメや漫画が幅広く、ファンによる各国語翻訳字幕付きで消費されているらしく、かなりの影響力があるようです。

そんなことから、もしかすると日本は文化先進国なのかもしれないと感じました。サブカルではあれど、そのコンテンツを通じて日本語学習者を増やしているのは確かなようです。オペラならイタリア語、医学ならドイツ語(ちょっと古い?)と言った風に、特定の分野と併せて言語を学ぶ必要性・意欲が生まれるのであれば、漫画・アニメというコンテンツを消費するために日本語を学びたいと考えている若者がいるのも納得です。

それほどの影響力を持ったコンテンツを当の日本人が"サブ"カルチャーとみなして軽視するのは危険なのかもしれません。
主に興味を持っているのは若い世代ですが、後10~20年もすればその世代が主力になるわけで、もし今後国際的に働いたりすることがあるのであれば、アニメや漫画に関する知識も一つの教養とみなされる日がくるのかもしれません。

などと、やや傲慢ともいえる感想をいだきました。ちゃんちゃん。



(2014/07/22 追記)
思い出したのでちょっと追加。
そういえば、このお祭りの最中に「Free Hug!」とかいう札を首から下げた若者たちが大量にウロウロしており、驚かされました。実際にそのシステムが機能しているところも見たのですが、挨拶のように見知らぬ人たちとハグしていて何とも不思議。
ただ、どことなく退廃的なイメージもありますよね。危険なような気もしますし。

そんなイメージからちょっと避けるような視線を向けてしまっていたのですが、私はと言えば、酔っぱらったおじさんと目があってしまい、無言でハイタッチを要求されたうえにハグされていました。うん。



次回予告:ベルリン紀行 ILA見学
乞うご期待!