Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

236日目(5月24日 土) Berlin ILA 2 日目

Berlin ILA 2日目

前日分記事で書き忘れましたが、Berlin ILAは「ベルリン アイエルエー」ではなく、「イーエルアー」でもなく「イラ」と読むらしいです。


「アイエルエーを見に行きたいのですが、どの電車に乗ればよいですか?」
「え?なんですか?」
「アイエルエーです」
「えっ???」
「あの、国際航空...」
「ああ!"イラ"ですね!」
「アッハイ」

...ベルリン中央駅にて。



さて、というわけで、また間が空いてしまいましたが二日目のお話です。


ILAの一般開放日は全3日ありますが、3日間とも少しずつ異なった飛行展示プログラムが組まれています。

例えば、初日はMig29の飛行がありましたが、この日はなく、その代わりにトルコ空軍のアクロバット飛行展示がありました。
また、3日間共通の展示飛行もあります。Me262とF4U・B-25はこちらに分類されるイベントですので、毎日見ることができました。

もし日を選んで訪れるという方がいるようでしたら、事前に目当てのイベントの開催日をチェックしておくことをお勧めします。といっても、事前にwebサイトに掲載されていた情報と当日のプログラムが若干違っていたりする可能性もありますし、またそもそも2年後どういったプログラムが組まれるのかは全く分かりませんので断言はできません...。

では、以下写真にて様子をお届けします。


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▲Tante Ju[タンテ ユー](ユーおばさん)ことJu-52
ミュンヘンのドイツ博物館以来かな


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▲この日はこんな感じのミニ音楽イベントもありました


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グリペンはこの日も飛びました


ちなみに、初日よりはやや曇っており、暑さに苦しめられることはありませんでした。午前中の間は...。


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▲この日の目玉イベントの一つ "Solo-Turk"
トルコ空軍のF-16の展示飛行です。


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▲その名の通りソロフライトですが、なかなかの迫力です

音楽に合わせて飛行展示が行われたのですが、使われていた音楽も絶妙でした。
最初はロック系の音楽だったのですが、途中でトルコ軍楽隊といえばこの曲、「Ceddin Deden」が流されました。


CEDDİN DEDEN - YouTube
▲Ceddin Deden

このようなトルコの軍楽のことを"メフテル"と呼ぶそうですが、F-16を乗り回す現代のトルコ軍でもこの曲は健在なのでしょうか。F-16はアメリカの戦闘機ですから、どうしても欧米的なイメージが強いのですが、この曲が流れてきて「あぁ、これはトルコ軍の飛行展示だったのか!」と改めて思い知らされました。

Wuppertalに帰ってきてから、交流会にてILAの写真を見せながらお土産話をしたのですが、その際にトルコ出身の友人が妙に食いついてきました。「トルコ空軍の展示飛行が良かった」という話をすると、「F-16のエンジンはほぼすべてがトルコで作られている」と教えてくれました。え?アメリカじゃないの?と思ったのですが、米軍機用のエンジンも含めて、どうやらトルコの工場で生産されているということらしいです。

何故彼がそのような情報に詳しかったのかというと、かつて軍人を目指していたことがあったらしく、ミリタリー系の学校に通っていたことがあったのだそうです。現在は音楽の勉強をしているという話を聞いていたため、てっきりずっとその道で来ているのかと思っていたため驚きました。

その後も「ドイツは自国のために兵器を生産することはできない」など、色々な話を聞かせてくれました。え?ドイツ製の兵器なんてMP-5を始めとして世界中で使われているし、連邦軍だってG-36とか使っているんじゃないの?と思われるかもしれませんが、それに関しては"NATO軍の装備として調達している"という扱いになっているのだとか。むむむ。

こちらは片言のドイツ語、相手は片言の日本語という不安定なコミュニケーションツールを用いた会話でしたので、この情報がどこまで正しいのか定かではありませんけれども、面白い話を聞くことができました。


Solo-Turkの話に戻りましょうか。
3曲目にはモーツァルトトルコ行進曲のロックアレンジ版が使われており、ドイツで飛ぶトルコ軍を演出してくれました。面白い選曲です。


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▲スモーク、フレアもふんだんに使って演出してくれます



地元の航空祭ではフレアを使った飛行展示は見たことがありませんでした。日本でもそういう飛行展示ってあるのでしょうか?

それから、ILAでは展示飛行の際に航空機が観客席(エプロン)上空を飛ぶことは絶対にありません。したがって、ステージ上で行われている演技を見るように、常に滑走路側の空を見上げることになります。これも一般的なことなのでしょうか?私の中には、比較対象が地元の小さな航空祭しかないため、よく分かりません。


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▲今日のF4U なんだか神秘的な写真が撮れたのでアップ


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▲AH-1と何かによるアクロバット飛行
ヘリでスモークを焚いている飛行展示は初めて見ました。そもそも、大概初めて見るものばかりでしたけどね。


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連邦軍クイズ大会
「衛生兵になるためには、以下の4つの選択肢のうち、どの階級が必要か」というようなことが書いてある...のかな。


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▲欧州のアパッチ?であるTiger
現代のTigerは飛ぶ!

ちなみに、会場放送によると左側のレーダーを装備した情報収集型の機体がドイツ仕様のもので、右側の機関砲を搭載した戦闘特化型のものがフランス仕様なのだそうです。欧州の装備はトーネード、ユーロファイターのように、同種の機体を装備しつつもそれぞれ少しずつ仕様が異なっていることが多いです。
ユーロファイターの場合、ドイツ仕様はやや装備が省略された安価版で、フランス型の方が赤外線追跡装置(IRST)やら何やら高価な装備がついている...と何かで読んだ覚えがあります。


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▲ドイツ仕様Tiger近影


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▲フランス軍ブースのラファール


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▲米軍ブースのA-10


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▲牽引中のMe-262に遭遇
Me-262はドイツ語では「メ ツヴァイ ゼクス ツヴァイ」になります。放送によると。
エムエーではなく"メ"と発音されていました。


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▲屋内展示場の様子


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▲ユーロファイターの展示飛行
Willfireにてユーロファイターの姿は見ることができますが、単体での展示飛行は2日目だけでした。


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▲米軍ブースのF-16
このころには空が晴れ始め、また暑くなり始めていました。


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▲アントノフ124


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▲前触れもなく飛び立ってしまったJu-52
離陸を見逃してしまった...


Me-262やWillfireもこの間にやっていましたが、今日はこちらの写真はなしということで。


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▲C-47 ドイツではRosinenbomber(レーズン爆撃機)の名で親しまれています
ベルリン空輸で大活躍したこの航空機は、米国を主体とした西側諸国と当時の西ベルリンの友好の証しのようなものかもしれません。以前Mさん宅で見せていただいた映画『Die Luftbrücke』はまさにこのあたりのお話しでした。


この航空機を、当時の状態のまま保存し、それによってベルリン空輸、果ては東西分断時代をも記憶することを目的とした団体があるそうで、その団体がこの機体の管理をしていました。募金をすると機内を見学させてもらえるうえ、多めに募金するとT-シャツも購入できるという極めて実用的なシステムで運営されていました。


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▲これがRosinenbomberのコックピットだ!
ちなみにT-シャツも買いました


と、言った具合にあれこれ見ていたらあっという間に本日最後のイベントの時間に。


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▲スイス空軍アクロバットチームの展示飛行

使用している航空機は珍しいことにF-5です


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▲すごい!


今までブルーインパルスしか見たことがありませんでしたが、それに劣らずスイス空軍のチームも凄まじかったです。フランス空軍のアクロバットチームの展示飛行もありましたが、そちらは音楽に合わせて優雅な編隊飛行を見せるというスタイルでしたので、やや動きに欠けるという印象でした。その点、スイス空軍はブルーインパルス型のアクティブな飛行展示で見ごたえ十分でした。

比較対象が出来て初めて分かったことですが、空に絵を書くのはブルーインパルスの特徴なのかもしれません。桜とか星とかを描く演目があったような気がしますが、アレは何度見てもステキです。
バーティカル・キューピッドめいたものは、このスイス軍のチームだったか、別のチームだったかがILAでも披露していました。
最期にコークスクリューのような演目もありました。


といった感じで二日目終了です。
初日で一通りざっくり見学できていたこともあって、のんびりと余裕を持って見て回ることができました。それでも見切れないほどコンテンツにあふれていましたが、それはまた3日目のお楽しみということで。