Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

カーニバルについて

[Karneval] カーニバルについて

先日の記事にちらっと書きましたが、2月26日の水曜日から3月5日の水曜日まで、ここら一帯はカーニバルでした。カーニバルは11月11日11時11分に始まるそうなのですが、今回の一週間の中では3月3日月曜がハイライトらしいです。
「Rosenmontag(バラの月曜日)」と呼ばれるこの日は、ケルンやデュッセルドルフで大規模なパレート(Rosenmontag Umzüge)が行われるそうで、それはそれは賑やかできれいなのだとか。
11月11日(前回)は、授業もあったため午後からちらっと見に行くことしかできませんでしたが、今回はRosenmontagはしっかり祝日なのでお昼頃から一日観光してきました。

このページでは、そんなカーニバルの様子についてまとめます。

ちなみに、色々知っているような書き方をしてしまっているかもしれませんが、私はカーニバルというものがどのようなものなのか詳しく分かっていません。

かつて、カトリックの断食が行われていた頃、断食に入る前に食い溜めておこう!というコンセプトの元、大宴会として始まったという話を聞いたことがありますが、今は断食を行っているような厳格なカトリック教徒は少ないらしく、単に大きなお祭りとして扱われているそうです。

ドイツ語の授業でも、ドイツ文化としてチラッと紹介してくださいました。
パレードでは、「お菓子を観客に向かってバラ撒く」「観客はKamelle(カメレ)と叫んでこれをキャッチする」「さかさまにした傘などを使って回収する方法が有名」などという、断片的な部分しか聞き取れなかったため、より混乱してしまいました。とりあえず見てみた方が早そうです。

カーニバル中は特殊な挨拶の言葉があるそうです。それも街ごとに多少異なっているのだそうです。授業とタンデムの友人から聞いたところによると以下の通りです。

・ケルン → 「Alaaf!」(アラーフ)
デュッセルドルフ → 「Helau!」(ヘラウ)
・ヴッパタール → 「Wuppdika!」(ヴプディカー)


これ以上の概要は例によってウィキペディアを貼っておきましょう。→ カーニバル(「ドイツのカーニバル」の項参照)

あとはこちらも参考になるかもしれません。
11月のカーニバルの記事(このブログ)
ケルンカーニバル公式サイト(ドイツ語)
ケルン、カーニバルの歴史(独・英・仏語選択可)
ドイツ大使館 カーニバル紹介ページ(日本語)

デュッセルドルフ(2月27日 木)

2月26日の授業でカーニバルのことを知りました。
水曜日は「Weiberfastnacht」と呼ばれているそうです。
Weibというのは、やや古風な言葉で女性を意味します。辞書で調べると、現代語としては軽蔑的に「あま」とかそういう意味があるとも記載されていますので、古語と割り切って理解しておいた方がいいかもしれません。モーツァルト魔笛で「Bewahet euch vor Weibertücken ~」(女の悪意から身を守れ)という二重唱が出てきますが、ここでもあんまりいい意味で使われてはいませんね。
fastはfasten(断食)、nachtは夜ですから、どう訳すべきでしょうか。

この日は女性が男性のネクタイを切り落とす日なのだそうです。ネクタイは男性の権力の象徴という考えから、それを切り落として女性にも権力があることを示すのだとかなんとかそんな感じの説明をされたような気がしますが、定かではありません。

そんな水曜日からカーニバル期間が始まり、一週間続きます。ハイライトの月曜日はケルンに行こうと思っていたため、この日はデュッセルドルフに来てみました。特に大きなイベントがあるわけではなさそうだったのですが、出店を巡ったり、音楽を聞いたりしているだけでも楽しいかな、と思ったのです。

ところが、この日はあいにくの雨模様だったため、思う存分街をうろうろすることはできませんでした。以前クリスマスマーケットで賑わっていた一帯まで歩いてみたのですが、その時と同様にあちこちに出店がありました。

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▲雰囲気は伝わるでしょうか

11月のカーニバル時同様、コスプレをした人であふれています。あとは、大きなテントで簡易ビアホールが作られており、そこから音楽が聞こえてきたりしましたが、こちらには入りませんでした。ソーセージなどなどで晩御飯を食べておしまいというような、サッパリしたカーニバル見学になってしまいました。


ケルン その1(3月2日 日)

金曜日の夜、スシを食べに行った帰りに電車で乗り合わせたおじいさまから、「日曜日の昼間にもパレードが行われるからケルンかデュッセルへ行くといい」との情報を得ました。ケルンの方がきれいとの話も併せて聞き及びましたので、それに従い日曜日はケルンへ行ってみました。

確かに、デュッセルドルフよりもかなり賑わっています。まず、ケルンへ向かう電車の中がすごい。老いも若きもコスプレをした人だらけです。さらに紙ふぶきが散らばっていたり、若い人たちはビール片手に歌を歌っていたりとやりたい放題です。

ケルンに到着したのは1400時過ぎだったかと思います。ちょうどパレードが始まったところだったようで、駅から出たらパレードの先頭集団が目の前の通りを進んでいるところでした。

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▲先頭集団

実は、「なんかパレードをやるらしい」という程度の情報しか事前に仕入れておらず、全く予習をしていなかったため、この時点では状況をよく理解していませんでした。
軍楽隊のような集団が行進曲を演奏しているのがチラッと見えたため、軍歌・ミリタリー音楽に興味がある私は大喜びで後を追っかけて行ったのですが、別にそういうアレではありませんでした。
演奏されていた音楽については、書きたいことが色々あるため、以下別途まとめます。

パレードは幾つかの集団に別れており、各団体の先頭を歩く一人がプラカードを持っています。そのプラカードに、団体名とナンバーが書かれています。

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▲各団体がある程度まとまりのあるコスプレをしています。
ほぼすべての団体が、プラカードを先頭に 楽団 → コスプレ集団 → 屋台(山車?)という順序で行進していました。

なお、この団体ですが、一体何の集まりなのかと眺めていたところ、どうも学生たちのようです。上の写真のプラカードに小さく「Gymnasium」と書かれているのが見えるでしょうか?ギムナジウムというのはドイツの高校のようなものですので、これはそこの先生方+学生たちということだと思います。


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▲サンプル2


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▲サンプル3

Schuleも学校のことを指します。
ちなみに、3の写真の四角のプラカードに書かれている「17 hundert Johr sin mer jeck he am Rhing,~」というのはKölsch(ケルン語)です。


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▲立派なものです


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▲屋台(山車)の一例
割とコミカルなものが多いです。「デュッセルのパレードは政治的」というのは、こういった山車のデザインが政治批判・風刺を込めたものだったりするからだとか。


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▲この衣装が一番かわいかった気がします

こんな感じで、パレードの雰囲気は伝わるでしょうか。道に沿って人が集まっているのは、絶好の見学ポイントを押さえるためでもあるのですが、このパレードをしながらお菓子がばら撒かれるからです。
あちこちから「Kamelle!(カメレー!)」という叫びが聞こえてきて面白いです。私は写真撮影に適したスポットを探していたため、お菓子はほぼ飛んできませんでした。月曜日に改めて訪れるつもりですので、その際はお菓子キャッチにチャレンジしてみようかしら。


ケルン その2 [Rosenmontag](3月3日 月)

この日がRosenmontag、カーニバルのハイライト...らしいです。
お昼頃ケルンに到着すると、少ししてRosenmontags Umzügeが始まりました。

どうも、昨日とは全くことなる団体がパレードしているようです。昨日は学生たち(比較的若い人たち)が主体でしたが、今日はおじさま方が主力といった感じです。まずは写真をご覧ください。

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▲第一集団 Blaue Funken Korps


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▲屋台も昨日より豪華?この上から、花やお菓子をばら撒いています


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▲ひっくり返した傘を用い、お菓子の大量獲得を狙う模範的参加者


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▲アーティスティックヤギ


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▲馬車


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▲こんな感じで馬もちらほら


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▲本格的仮装


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▲楽団も本格的


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▲Kamelle


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▲駅前の様子


以上のように、パレードは昨日より断然豪華でした。そして観客の数も昨日とは比べ物にならないくらい増えていました。写真を撮るのも一苦労でした。

肝心のお菓子ですが、私は一つ拾えたのみでした。日本の「お餅まき」のように、子供とおばさんがあまりにも素早くお菓子をキャッチしており、素人の私は手を出すことができませんでした。

お菓子は、"うまい棒"的な安価かつ大衆受けするものを投げているのかと思いきや、箱入りのしっかりしたチョコレートなども放り投げられていました。近場にキャッチした人がいたのでチラッと覗いてみたのですが、カーニバル特製包装がなされており、「2014 Köln Karneval」というようなロゴと写真がプリントされていました。何という力の入りっぷり...。

お菓子をばら撒くおじさんたちも、キャッチする子供たちも非常に楽しそうで、そこに音楽も加わって何とも陽気な雰囲気が漂っています。遠巻きに見ているだけでも心から楽しい気持ちにさせてもらえました。お菓子は拾えなかったけれど。

観客や参加者の様子

基本的に皆突き抜けて陽気です。カーニバル中は出店が出ており、あちこちでビールなどを購入可能なためか、大抵の人が酔っぱらっているような雰囲気でした。

ちょっと目があっただけで「ハロー!」とか「アラーフ!」とか声をかけてくれます。気持ちがいいですね。

帰りの電車でも、酔っぱらった陽気なおじさんが絡んでくれました。
「ニーハオ!」と満面の笑みで話しかけてきます。
「残念ながら私は日本人です」と答えると「そうだろ、だからニーハオさ!」とのこと。「それは中国語だよ」というと「あ、そうか!なんだっけ日本語は...『こんにちは!』これでしょ?」とノリノリで話しかけてくれました。

こちらもテンションに飲まれて楽しくなり、あれこれ話していたところビールをいただいてしまいました。
「ビールは?」と尋ねられたので「さっきKölschを飲んできましたよ」と答えたところ、「こっちの方がおいしいから飲んでごらん」と「Königs Pils」を手渡してくれたのです。電車内での飲酒は厳密にはルール違反なのかもしれませんが、カーニバルの日はほぼ皆片手にビール瓶・缶を持っています。

他には、
「君はいつ侍になるの?」
「日本と言えばハラキリだろ?」
「日本の宗教って何?」
「何でドイツにきたの?」
と色々質問してくれました。今まで、妙に日本に詳しい友人たちからアニメや漫画に関して質問されることが多かったため、典型的質問をされて嬉しく感じてしまいました。

そばにいた女の子が「今の日本といえば、アニメに漫画よ!サムライなんて古いわ!」というようなことを言っていましたが、おじさんの中ではもう少し古風なイメージを抱いていたようです。あえてステレオタイプ的なことを言ってからかっていただけなのかもしれませんが。

「今はどこに住んでいるの?」と尋ねられたので、「Wuppertalです」と答えたところ、「うわぁ、そりゃひどい」と言われました。正確には「Oh Scheiße!」だったのですが、直訳するのもアレなので「そりゃひどい」くらいのものかと思います。

何度か聞いたことがありましたが、Wuppertalはドイツ人にとって汚い街という印象が強いらしいのです。Wuppertal出身者を含めて、素敵なところだと礼賛している人を見たことがありません。
「まぁでも、あのSchwebebahnは良いよね。」とモノレールでフォローしてくれましたが、町自体が汚いことには同意だったので、「確かにScheißeかもしれません」としか返せませんでした。

そんなおじさんはポーランド出身らしいのですが、今はドイツに住んでいるのだそうです。
今度オランダに遊びに行こう!とよく分からない提案をしてくださり、「もし明日酔いがさめても君のことを覚えていたら何かメッセージを送るから」とFacebookでお友達になることになりました。
本当にその計画が実行されるのか定かではありませんが、もし何かありましたらまたここで報告します。


Wuppertalで下車した時点でおじさんとは別れてしまいましたが、先ほどのアニメ少女はWuppertalのギムナジウムに通う学生だったそうで、道中もう少し話をすることができました。

Naruto黒執事が好きなのだそうです。自分で絵も描いているほどのアニメファンらしいのですが、キャラクターがカッコいいか否かというのが彼女の中での価値基準だと明言しており、ワンピースなどはキャラクターの見た目がイマイチという理由で敬遠しているのだそうです。

しかし、好きな作品はとことん見ているようで「Narutoのペイン戦後の回想回の冗長さは異常。いつまでたっても話が前に進まないじゃないの。」などと、具体的な感想を聞かせてくれました。


若干話が逸れましたが、お祭りのテンションで不思議な出会いもあり、面白かったというお話しでした。