Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

11日目(10月11日) ガイダンス

今日はいよいよガイダンスの日でした。

昨日までの小旅行で少し疲れてはいたものの、早めに起きることができました。

自分の中では快挙だったのですが、開始30分前に会場に到着しました。会場には既に何人か学生が座っていたのですが、中央あたりの列に一列にならんでいました。Helloと挨拶はしてみたものの、いきなり隣に座るのも失礼かと思い一列後ろの列に座りました。

 

その後様子を見ていたのですが、割と見ず知らずの人の隣にも皆ホイホイ座るのだということが分かりました。「ここ座って良い?」から自己紹介をして自然と仲良くなっていくというような感じです。ヨーロッパ勢は驚くほどコミュニケーション力が高いです。本当に初対面なの?というくらいに一瞬で他人と打ち解けていきます。ちなみに皆英語で会話していました。

日本であれば最初は距離を置いて様子見をしたりすると思うのですが、そんなことは全くありません。すぐに3年来の友人のようなテンションで会話できるようです。

これは日本人には不利です。ちょっと背伸びしたとしても、そこまで気さくにはなれません。参ったなぁとは思ったものの、どうしようもないものはどうしようもありません。

その内ガイダンスが始まりましたが、最初はドイツ語で説明されたため良く分かりませんでした。その後で英語による説明もありましたが、英語も初心者向けのゆっくりしたものではなく、いわゆるネイティブイングリッシュであったため完全には理解できませんでした。

その後は軽い昼食会のようなものがありました。会といっても皆で席についてお食事というわけではなく、テーブル上にサンドイッチが並べてあるだけで自由な雰囲気の立食会でした。日本的感覚だと、誰かと仲良くなっておいてその人たちとじっくり話すというイメージがありますが、ここではそういうわけでもないようで、皆好き勝手にあちこちのグループへ出入りしているようでした。

ここにいたってようやく数人と話すことができました。といっても、仲良くなってグル―プを作るわけではないので、じっくり話し込むことはありません。

個人主義文化というと自己責任の世界で、何でも一人でやっていくようなイメージがありましたが、そんなことはないようですね。むしろ、自由に他者と交流し、好きなタイミングで別のグループに入ったり、一人になったりできるような、そんな文化であるようです。

集団主義文化の方が、他者に合わせたり場の空気を読んだりできるという点ではコミュニケーション技術に長けているといえるのかもしれませんが、新しく出会った他者と打ち解けるのは個人主義文化流のコミュニケーションスタイルの方が捗りそうです。といっても、スイッチを切り替えるかのごとくそんなことができるわけでもないので、しばらくは四苦八苦しそうですが、これに馴染むことができたらこちらで楽しく生活できそうです。

日本では人付き合いが苦手な人が”コミュ障”あるいは”ボッチ”などと揶揄されたりもしますが、むしろ何も他者と話すことなく生きていくことが出来るというのは集団主義の中を上手く生きているということになるのかもしれません。こちらの個人主義の雰囲気を見ていると、誰とも話さずに生きていくにはかえって努力が必要な気がします。誰とでもすぐに打ち解けてしまうのですから、警戒していない限りどこかで他者とのとっかかりができます。

ところが、日本ではある意味でお互いを牽制し合うのが初対面の相手に対するコミュニケーションの基本戦術なので、この流れに乗っておけば意識して何か話すことなく生活できてしまうわけです。

自分の中での勝手なイメージですが、何となく侍文化からこういうコミュニケーション術が生まれてきたような気がします。お互いに刀を構えて隙を伺うような、そんな感じがします。ヨーロッパ勢のコミュニケーション術は、雄たけびを上げながら突っ込んでいくようなスタイルではないでしょうか。勝手なイメージですが。

つまり、集団主義的リズムに上手く乗っかっているのがいわゆるコミュ障でありボッチなのではないかと思うのです。話せないのではなく、話さなくても良いという環境の中で、最低限の労力で生きているのではないでしょうか。

何の話をしているのか良く分からなくなってきましたが、とにかくコミュニケーションスタイルについて色々考えさせられました。まだろくにコミュニケーションを取っていないというのに。

 

他者を必要以上に気にしなくていい分、日本より気楽に人付き合いができるのかもしれませんが、お互いにそのようなスタイルを取る都合上”繋がり意識”を強く感じることはないように思います。どうやって深く仲良くなっていくのでしょうか。今後じっくり観察して、自分も友人を作っていくことができたらいいのですが。

 

入寮申請時に英語が通用しなかったということをお伝えしましたが、あれは英語が話せないのではなく話さないだけだったのでしょう。ガイダンスにしても留学生同士の会話にしても、英語が国際共通語として使われています。

その後大学構内のガイドをしてくれたのですが、この際も英語もしくはフランス語という選択肢だったので、決して英語が弱いということではないようです。色々と勘違いしていました。「欧州の人たちは2、3カ国語話せて当たり前」という話をよく耳にしますが、これもまた事実なようで、母国語に加えて英語やそれこそドイツ語を極めて流暢に話します。”外国語”という意識が存在しないかのようです。言語って一体何なんでしょうか。

 

そんなわけで、今日は何人かの名前を覚えた程度で特定の誰かと仲良くなるというようなことはありませんでした。というか、欧州スタイルの人付き合いは集団主義に染まった自分にはかなり疲れるものなので、友人を作る段階にはしばらく至らないような気もします。何を持って友人を定義するのかにもよりますけれども。

慣れるまでどれぐらいかかるか分かりませんが、友人が欲しいという気持ちよりも今はマイペースで生きていきたいという気持ちの方が強いです。

そういえば日本から来た留学生にも会いました。女性しかいなかったのが残念ですが、困ったことがあったら色々聞ける相手ができたのはこちらで生活する上で一歩前進かもしれません。

ただ、なるべく生活の中で日本語を使いたくないという気持ちもあるので少し複雑な気持ちでもあります。

 

そういえば、「授業は今日から」という風に何人かに伝えてしまっていましたが、あれも勘違いでした。ガイダンスといっても履修関係の話しというよりは大学施設利用の話しが主でしたし、留学生向け語学コースは月末からのスタートなようです。

これからは歓迎イベントのようなものが一週間に渡って存在しており、とりあえずは交流イベントと生活関連の情報を仕入れることが目下の課題となるような感じです。

少しずつ一人暮らしには慣れてきた気がしますが、まだまだこれからですね。今までの一週間は前菜のようなものといってもいいかもしれません。これから”留学”らしくなってくると思います。乞うご期待!