Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

28日目(10月28日 月) 初授業

初授業

ドイツ到着後、早くも1カ月が経とうとしておりますが、ようやく授業が始まりました。
今日は9時に大学のS棟9階6号室に集合!ということになっていたので、迷う事も考慮して少し早めに自分の部屋を出ました。案の定迷子になりかけましたが、同じように部屋を探している学生と行きあい、ギリギリ開始時間前に辿り着くことができました。

が、教室はどう見てもキャパオーバーで人数が溢れています。しばらく待っていたところ、教員と思しき方が現れて別の部屋も開錠し使わせてくれる運びとなりました。
今日はさすがにすべてのアナウンスがドイツ語です。ただし、非常にゆっくり喋ってくれます。一時期テレビによく出ていた戦場カメラマンを思わせるほどの口調です。おかげさまで、大体何を言っているかは掴むことができました。
例の戦場カメラマンが、「外国でもゆっくり話せばわかる。」と力説していたことがありましたが、あれは本当のようです。知らない単語もかなり混じっていたはずですが、どういうわけか概要は分かるのです。ナンデ?

今日はプレースメントテストという、実力測定テストを受けることになっていました。これによって今後のクラス分けが行われます。そのため、テストとは言えリラックスして望むことができました。
テストの前に、隣に座ったおばさまと仲良くなったのですが、その方は全くと言って良いほどドイツ語が分からないそうです。自分も他人の事を言えるほど理解できるわけではないのですが、全くその国の言語を話せない状態で渡航するというのはスゴイ事だと思います。


留学生(周囲の学生の話を聞く限り)の語学力に関してはほぼ2パターンに分かれます。全く知らないか日常会話(あるいはそれ以上)ができるレベルなのです。中途半端にかじっているという人は今のところあまり見つけられていません。
ドイツ渡航前は、「ドイツ語が話せるわけでもないのに交換留学に応募してよいのだろうか?」とか、「ドイツについてそんなに詳しいわけでもないのに自分のような人間が留学するのはおこがましいのではないか?」などという思いもあり、留学そのものに対して少しネガティブになっていた側面もありました。
こちらにきてからは、少し気が楽になっています。上記のように「周りに色々な人がいるから」というのが一つの理由です。

渡航前までは留学を重く考え過ぎていたのかもしれません。とはいえヨーロッパ圏内の留学生と日本からの留学生では事情が違うようにも思います。ヨーロッパ圏内であれば国家規模で見ればご近所さんですし、ビザも不要です。また、母国語以外の言語に触れる機会も日本と比べれば圧倒的に多いはずです。ですから、日本人と比べれば気楽に留学できるのではないかと考えられます。文化も180度異なるということはないでしょう。
変な話、隣の地域圏に勉強に行くような感覚なのかもしれません。「関東から東海へ」みたいな。異言語も「ちょっと方言きついな~」くらいの感覚だったりするのかもしれません。

一方こちらは島国から出て、14時間もかけてやってきているわけですので彼らのように気楽でいていいのだろうかと思ってしまう部分もあります。周到な用意と覚悟はやはり必須なのではないかと思います。

しかし、そのように考えていると自分のような優柔不断な人間はいつまでたっても留学をしてみよう、などという気にはならないでしょう。むしろ、ヨーロッパ勢のように「全く喋れないけど興味があったから来てみた」くらいの勢いがあってもよいのかもしれません。
もちろん、準備はするに越したことはありません。しかし、準備が前提条件であるという風に生真面目に考え過ぎると、チャンスを逃すきっかけともなりかねません。「とりあえずやってみるか!」くらいの気持ちの方が精神衛生上よろしいのではないかというのが最近の考えです。

また、日本にいる間にお世話になったハワイ出身の先生がしきりに仰っていたことも背中を押してくれています。その先生曰く、「まずは何でもやってみるべし!PDCAサイクルよりDCAの方がいいんだよ!」ということなのです。「日本人はPlanのフェーズが長すぎる!」とも言われたような気がします。
これはあるイベント計画中に言われたことだったので、当時は「そんな無計画なことできるわけないじゃないか!」と反感を覚えたりもしたのですが、もっと長いスパンで見れば人生そんなものかもしれません。あれこれ悩んでいるくらいなら何かやってみて、ダメならその時考えればいいわけです。結局悩んだ後に何かするにしても、そのあとCheckして反省を生かしたActをすれば結果は一緒だったりします。

というわけで、留学に限らず「〇〇をすべきかせざるべきか」と悩んでいる方にはDCAサイクルをオススメします。とりあえずやってみるか精神が大切なのではないかと思います。目指せYESマン!ですね。


毎度のことながら話が逸れました。テストに話を戻しましょう。
テストが始まって少しすると、監督役の先生が隣の生徒に「君はもしかして完全にビギナーかな?」と声をかけました。全く分からずに困っていたのでしょうか。
「ええ、全く分かりません」
と彼が答えると、先生は
「それなら初級クラスに入ることになるからテストはやめにしましょう。明日のこの時間にもう一度教室に来て下さい。そこでクラス分けをして担当教員のもとへお連れします。」
というようなことをいうのです。
これを聞いて、先ほど仲良くなったおばさまも
「すみません、私も彼と同じ状況なので初級クラスに入れてください」
と言ってテストを辞退したのです。
なんという...開始2分で両隣の人がいなくなるとは思いませんでした。自分もテストの内容がよく分からず、思わず降参しかけましたが、流れに乗って白旗を上げるくらいならダメダメでもやるだけやってみようと思い直し、留まりました。


テストはどんな形式のものだったかというと、ひたすら穴埋めでした。大問が全部で4つあるのですが、それぞれにトピックが与えられており、虫食いになった文章が書かれています。
以下のような感じだったと思います。

番号 トピック
問1 ドイツの学校制度について
問2 ...失念
問3 サマータイムについて
問4 医療関連?

(バカの一つ覚えで表組み使ってみました)

虫食い部分は最初の数文字が示されており、そこから推測して単語を埋めていくという形式でした。
<日本語例>
日本では小学校にろ_____、中学校にさ_______通う事になっています。その後、多くの人が高校へ入学します。そ____した後は、大学へ進む人もいます。

上記のような感じです。「ろくねんかん」「さんねんかん」「そつぎょう」といった具合に埋めていくわけですね。日本語例だとかえって分かりにくい気もしますが、問題文は忘れたのでご勘弁を。
まず、ある程度トピックについて知らないと何をいっているか分からないというのが第一関門でした。ドイツの学校制度についてはおぼろげに知っていたので、何となく推測することはできましたが、第二関門である単語を知らなければ推測など無用の長物です。それ以降の問題では、サマータイムは昨日少し調べたこともあって何となく理解できましたが、問2問4はトピックすらよく分からなかった始末...。


適当に推測して知っている単語を書き込んでみましたが、ハチャメチャな文章になっている気がします。何にせよ、結局試験時間ぎりぎりまで色々考えて粘ってみました。ただ、変に粘った結果適正レベルでないクラスに入れられてしまっても困るのですが、出来から察するに初級クラスは間違いないと思います。というか初級クラスに入れてほしいです。

ドイツ語クラスは[A1 → A2 → B1 → B2]という順でレベルが高くなっていきます。先ほどの初級コースというのはA1クラスを指しています。それでも基準となる学習時間は150時間とかだったりするので、一体どれほどのレベルの授業が待っているのかイマイチ想像できません。

自分は大学1・2年時にドイツ語の授業をとっていた以外は、特別な勉強はしていませんでした。ドイツ語検定取得に向けて復習をしたこともあって多少記憶は蘇りましたが、それでも全然だめです。知っている言葉でさえも、咄嗟に言われて理解できないことが多く、こちらに来てから自身のレベルの低さを改めて思い知っているのでぜひともビギナークラスから鍛えていただきたいところです。

テストが終わると、「明日はこの時間に教室に来てね」と前述の学生と同じような指示を受けたのですが、この時間に驚きました。
0815時です。確認しましたが0850ではありませんでした。0815から授業が始まるなんて、小中高大学すべて思い返しても今までなかったような気がします。いや、小学校は0820くらいだったかな...まぁ何にしてもここ数年そのような時間に学校へ行ったことは特別なイベント等を除けばなかった気がします。

テスト終了後は、学食へ行ってみました。今日のメニューは何だろうと思いつつも、辞書をとりだして翻訳するのも面倒なので直接行ってその場で確かめることにしました。
すると、また白身魚のフライでした。味付けは違ったのですが、ぱっと見から「肉かな」と思ってトレーに乗っけてしまいました。小鉢は色々種類が豊富なので前回と違うものを色々乗っけてみましたが。


▲これで400円弱はお得です

それから学食でCoca-colaのコップ?のようなものを無料配布していました。なんでだろう?なんて思いながら一人でご飯を食べていると「ハ~イ!」と後ろから声が。Jくんです。何だかよく会うなぁ。気楽に話せる友人が少ないので、向こうから声をかけてくれるというのは嬉しい話です。

ちょっとびっくりしてしまったのですが「なんで一人でご飯食べてるの?」と聞かれました。今まで一人で食事をする理由など考えたことがなかったので困りました。近場に友人がいなかったから...かな。日本ですらこんなことを聞かれたことはなかったので何と答えればよいのやら。
それにしても、こちらでは皆で食事をするのがスタンダードなのでしょうか。日本であれば一人で食事している光景もそれほど珍しくはないように思います。むしろ事前の合意などがなければ食事は一人でするものかと思っていました。「日本では...」と書きましたが、これは一般化できる話ではなさそうですね。

ともかく、Jくんという話相手ができたので楽しいランチタイムを過ごせました。彼にとってはテストは難しすぎず簡単すぎずというレベルであったそうです。
それから「明日は0815からだけどこれってヨーロッパではスタンダードなの?」と聞いてみたところ、スロヴァキアでは0800から授業があったりしたそうです。なんて早起きな方々なんでしょう。僕にはその学校に通うのは無理そうです。ちなみに彼の友人は遅刻してお昼ごろ現れるなんてこともあったそうです。その友人の脳内遅刻マニュアルは中々良い出来をしていたようですね。見習いたいところです。

今日はお昼ごろから断続的に雨も降っていたので、隙をみて買い物に行った以外は部屋にいました。最近気持ちの良い晴れの日がないなぁ。

さて、明日は今日よりさらに早いのでそろそろハチミツ酒の助けを借りて寝ようかと思います。