Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

125日目(2月2日 日) ニュルンベルク (Luitpoldhain)

ニュルンベルク (Luitpoldhain)

ミュンヘンで散々第三帝国時代の名残を見た後はニュルンベルクへやってきました。
ニュルンベルクはおもちゃの街として有名で、"おもちゃ見本市"もその一翼を担うイベントです。が、歴史的に見れば何よりもNSDAPの党大会が開かれた地であり、また戦後の裁判が開かれた街として名が通っているのではないでしょうか。
というわけで、今日も今日とて第三帝国の香りがする場所を訪れます。目指すは党大会会場跡です。

ニュルンベルクは中央駅の北側に旧市街(Alt stadt)と呼ばれる、城壁に囲まれたキレイで小ぢんまりした街が広がっています。観光地は大抵こちら側にまとまっているですが、かつての党大会の名残はそちらに背を向け、徒歩で20分ほど南下したところにあります。


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▲ひっそりと存在しているのかと思いきや、看板も立っているほど自己主張していました。


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▲こちらが党大会会場のLuitpoldhain。


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▲付近には、かつての歴史を振り返るパネルが立てられています。


ここら一帯は広い公園といった雰囲気で、ジョギングや犬の散歩をしている人がちらほら見られました。


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▲パネルにもありましたが、この写真が強烈に印象に残っていました。
この場所を絶対に見つけてやる!と意気込んでいたのですが、辺りには案内板が丁寧すぎるほどに設置されていたため、たやすく現場に到着できました。


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▲ここです。


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▲遠巻きからは分かりませんが、建物の中には文字が刻まれています。さすがにこれは戦後に書かれたものです。
「1914年~1918年の、また1939年~1945年の戦争、および1933年から1945年の暴力的支配の犠牲者に。ニュルンベルク市より。」といったところでしょうか。


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▲上記の文面からお察しの通り、戦後は戦没者・犠牲者の追悼を念頭に置いた施設として作り変えられています。


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▲裏側には慰霊碑というか警告碑?が建っていました


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▲なぜか片隅にはビンラディンがひょっこりと。


なお、パネルにて紹介されていた党大会会場跡はここで間違いないのですが、付近にはナチナチしい建築の名残が散財しており、それらについて説明した資料館もありました。


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▲こちらがその資料館。「党大会会場広場資料館」


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▲アリーナ跡の付近に存在するため、観光で訪れる場合も迷うことなくたどり着けるでしょう。


資料館内は、ダッハウ同様に政権獲得からの流れを追った解説パネルによる展示が主体なのですが、隣接するアリーナの中を見ることができたり、また付近の史跡に焦点を当てた解説がなされてもいます。こちらをじっくり見てから付近の史跡を巡ると、より楽しめるかもしれません。自分は逆の順序で回ってしまいました。

入って最初の展示室にて、数分で一周してしまう程度の短いムービーが流されているのですが、これがなかなか面白かったです。スケボー少年と少女が、資料館周辺の公園を走り回っているのですが、行く先々にナチ関連の史跡があり、そこにたどり着くと現代の史跡の映像が過去の映像と重なって映し出されていくのです。一見平和な公園の中も、さかのぼれば実は黒歴史で一杯...というわけですね。

パネル展示はドイツ語のみなのですが、入場料を払う際に音声案内装置を借りることができ、これに関しては英語も選択できますので安心。以下、パネル以外の展示物の写真を少しだけ。


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▲『我が闘争


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▲Munster Panzermuseumの特別展に展示されていたヒトラーユーゲントのオモチャとまさかの再会。これ、当時はかなりメジャーなオモチャだったのでしょうか?かなり出来がいいので、もしお土産で売っていたら買ってしまいそうです。売られているはずがありませんが。

ユーゲントといえば、「Vorwärts Vorwärts...」で始まるヒトラーユーゲントの歌が施設内の記録映像で流れていました。「当時は皆こんな風でしたよ。」と語り、歌を口ずさむ老人のインタビュー映像が印象に残りました。
当時の映像を見ていると、団結というか熱狂というか、エネルギーが凄まじくて、どこか羨ましいと思ってしまう部分さえあります。向かった先は地獄だったわけですが、あのエネルギーに関しては素直にすごいと思ってしまいます。


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▲アリーナ内部


帰りにパンフレットを購入したのですが、そこでダッハウの公式パンフレットも販売されていたので驚きました。現地に行かなくても手に入ってしまうとは。

その後、史跡巡りを続けようとしたのですが、時間が足りず途中で終わってしまいました。しめやかに再訪を決意!
ニュルンベルクに来たら旧市街を訪れるのが観光の鉄板かもしれませんが、もし当時の歴史や文化、雰囲気に興味がある方がいたらこちらを訪れてみることをお勧めします。しっかり見るならば、半日は間違いなくかかりますが、その価値はあるでしょう。


ちなみに、ここの見学を終えてからSpielwarenmesseの会場も訪れてみました。もしかしたら一般人も入れてくれないかな~と、淡い期待を胸に向かったわけですが、世の中そんなに甘くないですね。無理でした。というわけで外観だけですがどうぞ。


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▲これがSpielwarenmesse(の会場)だ!


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トランスフォーマー


Luitpoldhainから徒歩で会場まで向かったため、空しさもひとしおでしたが、自業自得ということで。その後はMesseの駅からNürnberg中央駅へ戻り、欲張って旧市街も観光してきてやりました。

地球の歩き方に載っていたNürnbergerwurstのお店を訪れたところ休業日だったので、近場の目についたお店に入って晩御飯を食べました。お昼は忙しくてまともに食べれなかったため、追加注文したりと贅沢をしてしまいました。
Hofbräuhausでおいしいビールにありつけたので、ニュルンベルクでも試してみました。店員さんにおススメを尋ねて飲んだKellerbier(セラービール?ビールにもセラーがあるの?)は、Hofbräuhausにも勝るのではないかという程にサラサラとして飲みやすく、甘みがあって最高でした。ただ単に、半日ぶりの飲食だったことによるプラシーボの可能性もありますが、だとしてもビールでここまでおいしい思いをできたのですからありがたい話です。

ついでに閉館ギリギリの時間におもちゃ博物館にすべり込み、こちらも見学してきました。今回はナチ特集になってしまったので、その時代のオモチャの写真だけ貼っておきます。


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▲見どころは言うまでもなく、中央下段に写っているお三方でしょう。中央は言わずと知れた伍長閣下で、両脇を固めるのはゲーリングゲッベルスだそうで。フィギュア集めが趣味のオタクでもこれはないでしょう。ヒトラーだから「あぁ...」と思いますが、演壇に立つ政治家のフィギュアと捉えるとシュール過ぎます。


せっかくなので最後に万人受けしそうな観光情報も。

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ニュルンベルク旧市街の中央広場の端にこんな泉があるのですが...


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▲柵についているこのリングを3周回すと願いが叶ったり幸せになったりするそうです。


当初は観光目標に一切入っていなかったのですが、旧市街をウロウロしていた際にこれが目に入り、その瞬間「あ!これNHKで見た!」と衝撃が走りました。
そうなのです。昨年の夏休みにNHKの関口なんとかさんの旅番組でちょうどニュルンベルクを特集していたのでした。

その時の関口さんのコメントが「3周回すって言っても、何か目印がついているわけでもないし、どこで3回か分かんないなぁ...」という、実に淡泊なものだったのを聞いて「もうちょっと気の利いたコメントないのかよ!」と脳内ツッコミを入れていたのですが、実際に自分も回してみたところ関口さんの言っていたことがごもっともであったことを思い知り、己のツッコミの視点のズレを恥じました。


そんなわけで、ニュルンベルクは見どころが盛り沢山!ドイツを訪れる際は、バイエルンを重点的に観光するのも面白いかもしれませんよ。