Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

106日目(1月14日 火) 口頭試問とamazonと私

口頭試問とamazonと私

口頭試問

さてさて、今日は今年の初授業として口頭試問がありました。
実は、この口頭試問は昨年末のテストの結果によって受験資格の有無が決まり、それがメールにて年始に連絡されることになっていたのです。要は、筆記でふるいにかけて、可能性のある者だけが口頭試問に進むことができるということですね。

今までここでは報告していなかったのですが、先週(1月9日)に私もメールを受け取っていました。
それによると...

「新年おめでとう。今頃素敵な冬休みを過ごしていることだろう。さて、新年早々悪いニュースだ。卿は授業をまるで理解していない。しかし、口頭試問はきっちり受けてもらうとしよう。ついては火曜日の12時に教室までくるように。」

ということです。「合格する見込みは一切ないけれども、せっかくだし口頭試問もやっておこう」ということなのか「口頭試問の結果如何によっては救いようもある」ということなのか、どういうメッセージなのかわからなかったため、テストが終わるまで誰にも言わずにおこうと思っていたのでした。(なんとなく前者であることを思わせる文面でしたけれども...)


というわけで、希望も何もないままテストを受けに行ってきました。
試験官は今まで授業を担当してくれていた3人の先生の中でも最もオフェンシヴな方と、見知らぬ方の二人組でした。

オフェンシヴな先生は、授業中分からないそぶりをしていると徹底的に追及して来たりして、(ありがたい部分もあるのですが)弱みを見せたら負けという感じの方だったので、今回もダメダメなオーラは出さないようにしようと思い、「いや~全然緊張してませんわ。余裕ですよ余裕。」というような態度で受験することに決めました。

が、主に質問してくるのはもう一人の方でした。
その方が「ヨハ○ナ」という名前だったため、即座に銀河英雄伝説の「汚名」のあの方が浮かび「人は美しく老いることもできるのだな...」というセリフが頭の中をぐるぐるしていたりして最初の数分は全く集中できませんでした。

見知らぬ先生がいたのには理由がありました。「私は君のことを知らないから自己紹介してくれる?」という形で、質問のきっかけを作るという役割を担っていたのです。
せっかくなので、以下質問されたことをまとめておきましょう。今ならネタバレということもないでしょうし。


質問一覧

・自己紹介(家族構成や母国での専攻など)
・今後(将来)どうするつもりか?
・ドイツに残って何かするつもりなのか?
・冬休みは何をして過ごしていたか
・趣味は?
・今後の授業について

大体こんな感じでした。
冬休みのことは聞かれるだろうな、と予想していたため頭の中で回答を作っておいたりしたのですが、それ以外は想定外でした。
特に、将来の展望について聞かれたのには困りました。語学力を試す口頭試問というよりも、進学を念頭に置いた面接かのようです。
「ざ、残念ながら将来は未定です。」
と答えると、「ドイツに残って勉強したい?」と聞き返されました。最近、一年じゃあ短いんだろうなぁと思い始めていたので「できることならドイツに残りたいです」と咄嗟に言ってしまったのですが、「交換留学生としてこちらに来ているのでどちらにしろ帰らなければならない」とか、「将来就きたい職があるわけでもないので前向きな人生設計があるわけではない」とか、ややこしいことを説明しなければならなくなってしまい墓穴でした。色々誤解を生んでしまったかもしれません。

趣味の話では、当たり障りなさそうで、かつ私にとってはホットなオペラを話題にしたところヨハ○ナさんが食いついてくれました。「ミュンスター魔笛を見てきました!」と言ったら、「私も魔笛は好きですよ」とポジティブなお返事が。こっち発祥の文化を趣味の一つにしておいてよかった!

その後は授業の話などを世間話調であれこれ話して終わりでした。一通り話終わると、「これから評価を定めて伝えるから、一分外に出ていてくれる?」という形で部屋を追い出されます。その場で成績が発表されるのです。

一分後部屋に戻ると、妙ににこにこして迎えられました。
「残念ながら君の筆記テストの結果は悲惨そのものだったけれども、まさか会話がここまでできるとは思わなかった。ポジティブな驚きです。ついては、君が望むのであればB1クラスへの昇級を許可します。」
というのです!

やったー!よく分からないけど受かった!名誉なのか不名誉なのかわからない受かり方だけど合格は合格だー!

でも筆記がケチョンケチョンだったのに大丈夫なの?昇級したらより大変なことになってしまうのでは?という不安もあります。
「でも文法等々は理解できていない気がするのですが、そんな私でもB1に行っちゃって大丈夫なんでしょうか?それから、A2に留まった場合は今後どんな内容を勉強するんですか?」
と尋ねてみたところ「A2に残った場合は今までの2か月で学んだのと全く同じところを繰り返すことになります」とのお返事が。どうやら、A1から上がってきた人たち向けにA2を再度頭から始めるようなのです。

自信がないとは言っても、さすがに全く同じところを繰り返すというのももったいない気がしたため、「それではB1に編入させてください!」とお願いしてきてしまいました。

今週は他のレベルの生徒たちのテストが続き、その後クラスの再編作業があるらしく、来週の月曜日から今年の授業が本格的に始まるようです。

それにしても驚きました。まさか昇級の望みがあるとは思っていませんでした。しかし、「めでたく昇級」というよりは「かろうじて引っ掛かった」という感じです。

それに、今回の合格は先生から「ポジティブな驚き」と言われたことから分かるように「ダメダメだと思われていた奴がちょっと働いただけで周囲に驚かれ、評価される」という類のもので、あくまでも、これまで先生方が頭の中でイメージしていた私の語学力と実態とを相対評価した結果としての「よくできました」なわけです。筆記試験のような絶対評価形式であれば間違いなく落ちていたでしょう。

すなわち、これは私が今まで先生方に与えてきた印象を利用した「ギャップ合格」なのです。きっと今まで授業中に積極的に質問・発言してこなかったことにより、完全に会話不能な生徒として認識されていたのだと思います。
なんと小癪な、卑怯な手段なのでしょうか!意図してダメダメな自分を演じてきたわけではありませんが、結果としてそれを利用する形になってしまった気がします。合格を聞いた瞬間は嬉しかったのですが、よくよく考えるとこれはかなり汚い手段で合格したといえるのではないかと思えてきました。本当にいいのか?これでいいのか?来週以降の授業ではどうなることやら。


とはいえ、ネガティブに捉えるだけではやりきれないので、ポジティブにも考えてみましょう。

「ドイツ語で現地人とコミュニケーションをとれるようになりたい!」というのがドイツ語学習における私の第一義的目標です。それを達成したのちに、各地の博物館等々を巡って話を聞いてきたいのです。そして、それを通じて留学の目的3を達成したいのです。
"文法等々はよくわからないけど話すことはできる"という状態でも、このドイツ語学習における目標は果たすことができるかもしれません。

英語も文法等々をよく理解しないまま何となく使って何となくコミュニケーションできています。ですから、俗にいう「英語を話せる人」に私は該当しません。何となく使っているという不届き者です。
それに関しては日本語も同様です。たとえば「この日記を品詞分解せよ!」とか言われても、まず私には無理です。しかし、日本語を書くことはできるし、話すことはできます。

ドイツ語も英語も日本語も「完全に理解している」という状態からは程遠いのでしょうが、それでも「何となく使うことができる」という状態を達成できれば、かなり気が楽になります。現地まで来て語学の授業を受講して「なんとなく使える」と言っているようでは志が低すぎるかもしれませんが、私はまずこの状態を目指したいと思っています。そして、そのためには筆記がボロボロでもなんとなく話せるという現状は、少なくとも当初よりは成長を感じ取ることができる結果といえるのだと思います。

そうです、そういうことなのです。少しでも成長を実感できたということに感謝することにしましょう。こちらにきてから初めて先生からも認めてもらえたような気がしますし、とりあえずはポジティブにこの結果を受け止めることとします。


amazon

全く話は変わりますが、本日amazonから荷物が届きました。
ドイツに来てネット環境が整ったらすぐに「大使館への在留届提出」と併せて「amazon.deのアカウント登録」を済ませていたのですが、今まで一度も利用したことがありませんでした。届くか不安ですし。

しかし、Mさんのところで映画を見ながらドイツ語勉強をするのが面白いということを再認識し、何か映画のDVDを買おうと思って先週末に注文していたのでした。やっぱりamazonは早いですね。注文から3日もかかっていません。何より、日本から荷物を送ってもらった際は手間に次ぐ手間だったものが、ドイツ国内からの配送であればボタン一つで終了というのがイイです。気が付いたらポストに無言で投函されているわけです。

私は日本でamazonを利用する際はいつも「コンビニ振込」形式でした。カードにすると散財を促進する気がしたため、あえてそうしていたのですが、ドイツでは振込をするのはかえって面倒かと思い、初めてクレジットカード購入を試してみました。

カード購入すると、丁寧なことに、金額を日本円表示してくれるのだということが分かりました。ユーロで買い物すると何となく金銭感覚が曖昧になり、親の資金援助で留学していることを都合よく忘れて散財できたのですが、円が表示された瞬間妙にブルーな気持ちになりました。なんでしょうね、この感覚。

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amazon.deからのお届け物

梱包にamazon.de / uk / es / fr / it といった具合にEU各国の国名が刻まれていたのが新鮮でした。
中身のDVDは今後の観光への布石となる映画です。先日Münsterへ行った際に電車の路線図を見ていたのですが、そこで気になる地名を見つけました。が、そこについて詳しいことを知らなかったため、映画を使って予習してから遊びに行ってみようかなと思ったのです。

というわけで、映画の話は観光に行ったときに併せて書くかもしれません。来週頭まで授業もないということが分かったので、また少し出かけてみようかと思います。

それに、授業的な勉強ができなくても"話す"という形でドイツ語を使うことができれば評価していただけるらしいということが分かりましたので、旅行先であれこれお話ししてくるのもそういった意味でのお勉強になるのかなと思います。
以前書いたように、机に向かうのは大の苦手なので、あちこちでお喋りしてくることでスキルアップを目指したいと思います。