Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

80日目(12月19日 木) テスト → 和食パーティ

テスト → 和食パーティ

遂に終わりました。テストが、そして今年最後の授業が!

授業はこれでおよそ二か月受講したことになりますが、あまりにも過ぎ去るのが早かった...。
最近少しずつドイツ語を使えるようになってきた気がします。あくまで"使える"というだけで、表現やニュアンス、文法的正確さに関しては怪しさ満点なのですが、それでも買い物やら何やらで現地人と多少コミュニケーションをとれるようになってきました。

何より、相手が何を言っているのか推測交じりではあるもののわかるようになってきたのが大きいです。もちろん、100%理解しているわけではありません。おそらく理解できているのは20%くらいかと思います。とはいえ、当初3%くらいだったものが20%になれば、相対的に見て大躍進といってよいのではないでしょうか。

出来に関する評価はさて置き、言葉が通じると生活が楽しくなってきます。楽しくなってくると、もっと言葉を使ってみようという気になります。語学の勉強においてはこれが大事なのではないでしょうか。ポジティブフィードバックです。

英語の練習にも同じようなターニングポイントがありました。大学のある先生の授業を受けるまでは、TOEICに代表される一つの"資格"のようなものとして英語を見ていたこともあって一切楽しさを感じませんでした。しかし、授業を通じて英語でコミュニケーションをしていくうちに少しずつ楽しさを覚えるようになり、それからは積極的に英語を使うようになり上達していったような気がします。

自信がなかったり、恥ずかしかったりして話しかけられずにいる間が最もつらい時期なのではないでしょうか。思い切って話しかけてみると、表現が完璧ではなくても案外伝わったりして、自分に対してポジティブなフィードバックを与えることができることが多いです。

「ああ、これでもいいのか」と言語に対する厳格さを捨てることができればこっちのものです。下手くそでもとにかく話しかけてみようという意欲が生まれ、口語表現・日常会話スキルは確実に上達していきます。

さて、そうはいってもテストで問われるのは"正確さ"です。
これに関してはやはり机に向かって勉強するほかないのでしょうか。少なくともビギナーのうちは耐えるほかなさそうですね。雌伏の時というやつでしょう。まぁ私は昨日の日記で述べたようにまったく耐えていなかったので、結果もそれ相応になることが予想されるわけですが...。

せっかくなのでテストの内容についても書き残しておこうと思います。
テストは1コマ丸々90分使って行われました。

内容は30分ずつの三部構成です。
以下、久々に表組みを使ってまとめてみます。

形式 内容
第一部 リスニング チョコレートの歴史
第二部 長文読解 劇団で働くメイクさんの話
第三部 文法知識 定期券をなくした旨の手紙の文面を穴埋めする問題

自分が理解できた範囲の情報ですので内容は若干怪しい部分もありますが、こんな感じでした。


第一部のリスニングは、先生がみんなの前で文章を音読する形で行われました。
授業を担当してくださっている先生は全部で三人なのですが、木曜日の授業を担当している先生は最もハキハキと、ゆっくり話してくれる方でしたので分かりやすかったです。とはいっても完全に内容を理解できたわけではありません。

問題は、大問が3つという形式です。
一つ目が、文章中に出てきた数字を穴埋めする問題。
(例:チョコレートは( )年ごろから人々に親しまれている)
二つ目は、読み上げられた文に関して説明した短文を読み、正誤を選ぶという選択問題。
(例:ビターチョコレートは心臓に良い影響を与える ○ / ×)
三つ目は、文章に関する質問に答える作文問題。
(例:チョコレートが当初薬局でしか購入できなかったのはなぜか?)

続いて第二部は、大問2つです。
一つ目は、文章に関する質問に答える作文問題。答え方に一定の制限がありました。詳細は失念しましたが...。
二つ目は、文章を要約した説明文から正しいものを選ぶ問題でした。

第三部は、クラス分け時に行ったプレースメントテストに近い形式の穴埋め問題でした。
特に、今回は語尾変化などを試すために、単語の語尾だけが空欄にされている部分が多かったです。

全く同じ形式で次回以降のテストが行われるということはさすがに期待できませんが、何らかの形で今後に生かせるかもしれませんので一応まとめさせていただきました。


テストが終了するとすぐに、先日のアイルランド人の社会人学生さんが先生のもとへ行って「Die Prüfung ist vorbei. Aber meinem leben ist auch vorbei.(遂にテストが終わったが、私の人生も終わった)」とドイツ語で報告していました。相変わらずです。

なぜ聞き取れたかというと、実は自分もテストが終わったら「Mir ist vorbai(私は終わりだ)」というセリフをどこかで使おうと思って頭の片隅に入れていたからなのです。ちなみにこの表現は、Jさんにおススメされたwebサイトで、日本のアニメをドイツ語字幕で見ながら覚えました。
ジョークでドイツ語を学ぶのも上達が早いかもしれませんね。

そうそう、それついでに勉強法の話をもう一つ。
リスニングを鍛えるためには、外国語音声外国語字幕(あるいは母国語字幕)で映画を見るのが良いという話をよく耳にするのですが、その逆を用いることで口語表現をスムーズに学ぶことができるということを発見しました。

それが、日本のアニメをドイツ語字幕で見る勉強法です。別にアニメである必要はないのですが、なるべく日常生活で使われる言葉が多く出てくる映像作品を使った方が良いと思います。音声として流れている日本語は当然ながらスッと頭に入ってきますので、とにかく字幕に集中します。すると時折、「あ、これってこういう風に表現すればいいのか」という発見を得ることができます。

たとえば先ほどの例で挙げたmir ist vorbei以外にはこんな面白い表現がありました。
元気いっぱい! → Kerngesund
(Kern=核、gesund=健康) 核エネルギー級の元気さ?ということでしょうか
(ただ、Jさんに確認したところ、これは「病気などに縁がない」というようなニュアンスの方が強いようで、どちらかというとTopfit(最高のコンディション)という表現の方がしっくりくるとのことでした。)

まぁなんにせよ、教科書にはあまり出てこないけれども、会話の中では使える表現・単語は漫画やアニメから学び取るのもありなのではないでしょうか。そこで口語的表現の語彙力を増やしてから、今度はドイツ語音声の映画などを見ることで、多少なりともスムーズに理解することができるようになると思います。

自分は、会話や聞き取りが少し楽になりました。気のせいである可能性も否めないので断言はできませんが、少なくとも単語帳で単調に暗記をしているよりはインパクトに残り易く、何より気楽に学ぶことができます。



さて、昨晩なんだかんだで夜更かしをしてしまったこともあって眠かったため、テスト終了後はすぐに帰宅して昼寝をしていました。といっても、今日のすべきことはまだすべて終わったわけではありません。

実は、この日は夕方にもう一つイベントがあったのです。なんと「和食パーティ」です。
例のTeePartyで仲良くなったメンバーで「日本食を作ってJさんとCさんに振舞おう!」というコンセプトのもと、この会が企画されていたのです。

TeePartyは、本来は他大学の協定によるイベントですので、私は便乗させていただいている身分です。今回はどちらかというと私的なイベントではありますが、ここでも便乗させていただくことにしました。便乗ばかりで面目ないことこの上ないのですが、私は自分から何か企画できる独創性を持ち合わせていないため、毎度毎度お世話になってしまっています。

さすがに完全なるフリーライダーとして参加するのは申し訳ないと思い、先日私にも調理できることが判明した初自炊作品の肉じゃがを再度作って持っていくことにしました。それを見越して昨晩多めに調理しておいたのでした。
企画をしてくださった皆さんは会場として部屋を使わせてくださっただけでなく、わざわざデュッせルドルフまで行って食材を買い求め、日本米で「ちらし寿司」を作ってくださっていました。さらには、「おふ」を使った汁物やあんかけ魚料理など並々ならぬこだわりようでした。
さすがのJさんも、ちらし寿司は食べたことがなかったそうです。興味津々といった様子でした。
「おふ」に至っては「ナニコレ?」という状態でしたので、ぜひ説明をしたかったのですが自分もおふが何をもとにしてどのように作られているのか知らなかったため難儀しました。

ドイツの料理もおいしいのですが、やはり食べ慣れた和食テイストは落ち着きますね。ちらし寿司もあんかけ料理もホッとするおいしさでした。
肉じゃがも案外好評でした。実質初自炊である旨を伝えて、事前にハードルを下げに下げておいたのが良かったのかもしれません。まさか自炊力3の自分が料理でお褒めにあずかるとは思っていなかったため、恐縮してしまいました。
仮にお世辞だったとしても、褒めていただけるというのは嬉しいものです。功績を認められて「デキダン」なる称号を与えられました。語感から察するに擲弾兵的な何かでしょう。胸熱ですね。

自分は、便乗している罪悪感を帳消しにする免罪符として、肉じゃがの他にGlühweinやクリスマスチックなお菓子を持参していたのですが、皆同じように色々持ち寄ってきていたため、色々なアルコール類やらお菓子が集まっていました。


そんなわけで、和食パーティの名のもとに集まったものの、後半は飲み会といった感じでした。その中で、Cat & Chocolateというカードゲームをみんなでやることになったのですが、これがなかなか面白かったです。1人3枚ずつ特定の道具が描かれたカードを所持し、与えられた課題(アクシデント)をそれを使っていかに切り抜けるか説明するという、発想力を試される不思議なゲームなのですが、「せっかく留学生で集まったのだから皆母国語以外の言語でプレイしよう!」ということになり、急激に難易度が上昇しました。

私は最近少しずつドイツ語が上達した気がしていたので、最初はドイツ語での説明を試みたのですが、全くうまく行きません。JさんとCさんに助けてもらったりしたものの、すぐに英語に逃げてしまいました。それでもうまく行かなかったです。おそらく日本語でも難しいゲームだったのではないでしょうか。

その後は各々の趣味の話になったのですが、Jさんお得意のアニメの話になると、経緯は失念しましたがBLがどうのこうのという話題になりました。
「BL好きの女性のことを日本ではネットミーム腐女子っていうんだよ。腐った女の子という意味なんだけど、とんでもないと思わない?」と全く役に立ちそうにない知識を吹き込んでいたところ、「じゃあ百合もの好きの男性のことはなんていうんだい?」という事情通らしい返事が返ってきました。
「それに対する特別な呼称はなくて、それはそもそもBLというものが実に特別なものであるから云々」とBLに関して熱く語っていたところ、変なものを見る目で見られるという不名誉な事態に陥りました。話題が明らかに地雷でしたから自業自得ですが、そういうジョークも通じることは通じるようで、少なくとも表面上は攻撃的な態度を示されることはありませんでした。

と、色々ダラダラと書いてきましたが、今日はとにかく楽しい一日を過ごすことができました。テストが終わってすっきりしたことも理由の一つかもしれませんが、何より和食パーティが素敵な企画だったからだと思います。企画してくださった皆さんに感謝です。




それにしても、今回の文章はいつも以上に冗長というかなんというか、読みにくい気がします。あれこれ書いておきたいという思いから、いつも以上にまとまりのない文章になってしまいました。自分で読み直すのすらやや苦痛を伴うレベルです。が、いまさら書き直すのも億劫なので修正はしません。
ドイツ語は若干上達してきた気がしますが、文章力は一向に上達しませんね。それどころか、書けば書くほど冗長になっているような気さえします。困ったものです。