Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

19日目(10月19日 土) ボン観光

昨日に引き続いて、今日はボンへの日帰り旅行イベントがありました。

ボンは先日のMさんとの合流地点として一度訪れていましたが、今回は博物館に行くことになっていたのでそれもあって楽しみにしていました。

集合が9時過ぎだったのですが、こちらに来てから初めて7時台に起きることができました。いつもは早くても8時くらいでした。これでも実家暮らしをしていたころと比べれば大躍進なのですが、もう少し生活リズムを矯正したいと考えていたので今日はいい機会でした。

 

ただ、結局準備をのんびりし過ぎて集合場所へ向うのはギリギリになってしまいました。慌てて集合地点へ向かっていると、駅周辺で声をかけられました。ドイツ語だったので「ごめん、分かりません」と伝えると、「23セント恵んでくれない?」と英語で言ってきました。咄嗟に、あぁ、これが噂の...と思い、ごめんなさいとだけ伝えて逃げるように立ち去ってしまったのですが、後になって金額が妙に具体的だったのが気になってしまいました。

ただ「恵んでくれ~!」というのであれば、なぜそこまで刻む必要があるのか...?どうせなら1ユーロとか言えばいいものを。もしかしてギリギリお金が足りずにあと23セントあれば家に帰る切符を買う事ができるとか、そういう特殊な状況に陥ってしまった善良な市民なのでは?などと色々考えを巡らせてしまいました。次あのような状況に出会ったらせめて何があったのかだけでも聞いてみようと思います。

というかドイツ語を聞き取ることができればここまで不思議に思う事もなかったのでしょうから、これも自分の勉強不足が生み出したことなのでしょう。

 

そんなよく分からないことから始まった一日でしたが、集合場所にいってみると先日のAPEROで出会ったインド人のグループにも、スロヴァキアの学生にも会う事ができ、気楽に話せる仲間を捕まえることができました。結局電車の中では眠くてあまり話せませんでしたが、顔見知りがいるだけでも安心感がありました。

 

ボンに到着すると早速博物館へ向いました。Haus der Geschichte(歴史館)というのが博物館の名前です。ここでは、戦後から現在までの歴史を体系的に展示していると言う事で、自分の興味の対象と見事に合致していました。

ここでは、ドイツ語・英語・スペイン語の三つの言語から一つを選んでガイドツアーに参加することになっていました。本来ならばドイツ語にトライすべきなのは重々承知ですが、内容に興味があったので英語ツアーに参加しました。

以下、写真で説明します。

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▲Haus der Geschichte 入口

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▲入って最初は戦争末期の展示です 

これは実際に当時ベルリン市内で使用されていた米軍のウィリスジープらしいです

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▲ヒトラーは死んだよ

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▲映画などで見たことがある方も多いかと思います。強制収容所でユダヤ人に支給された服ですね。

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▲パラシュートを用いて作られたドレス

元々は真っ白だったそうです。戦後すぐは物資が何もなかったため、このような軍需物資を使って民生品が作られたそうです。他には、ヘルメットで作られた鍋やら不発弾から作ったボウルなど色々展示されていました。ガイドさんのお気に入りコーナーらしいです。

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▲鉄十字 まさかこんなところで出会うとは...

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T-34 角を曲がったら急に現れたため驚きました

 

このあとは東ドイツコーナーやらベトナム戦争時代に西ドイツにも広まったヒッピー文化を紹介したコーナー、戦後の復興を家電や文化から追ったコーナー、あとは東西統一に向けた政治的動きを追った展示など、盛りだくさんでした。とてもすべては紹介しきれません。

が、これは歴史に興味がある人はもちろんのこと、そうでない人も楽しめる博物館だと思います。

ドイツを留学先に選んだ理由は当事者たちが過去をどう振り返るのかということに興味があったからでもあったので、こういった施設に早い時期に連れてきてもらう事ができたのは非常にありがたいです。再度一人でじっくり見学に来ることを決意しました。

 

その後は自由時間などを挟み、ボン中央駅付近のミニツアーに連れて行ってもらいました。

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▲Bonn中央駅近くにあるベートーベンの銅像

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▲ベートーベン生家

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▲バナナがささったベートーベン?よく分かりません

 

ミニツアーの後に帰宅しましたが、すでに19時を回っており暗くなってしまっていました。

自炊も面倒だったので、またSushi and more...にいって良く分からないものを食べてきました。

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▲レインボーロール

中身はアボカドとカニカマなのは分かったのですが、上に乗っているものが分かりません。赤身はサーモンですが、白身の方はなんだったのか。たれの雰囲気からアナゴかなと思ったのですが、味も食感もアナゴのそれとはかけはなれていたように思います。レインボー...

何だか分かりませんが醤油とワサビがあればジャパニーズテイストにはなりますね。

 

今日は一日歩き回ってさすがに疲れました。

明日は洗濯・ゴミ捨て・休憩の日にする予定です。

 

 

(10月22日追記)

今になって突然友人から聞いた面白い話を思い出したので書き足しておきます。

ガイドツアーの折に、例のインドとスロヴァキアの学生と話をしていた際に、「アジア人はアジア人を見分けられるか」という話題になりました。ちょうど付近にアジア人っぽい観光ツアー客がいたのですが、僕には彼らが中国人なのか、韓国人なのか、はたまた日本人なのか全く分かりませんでした。

もしかしたら、日・中・韓すべての国に滞在したことがある方からすれば、しぐさや服装、姿勢や歩き方などで見分けることができるのかもしれません。が、現在の僕には不可能でしたので「無理だね。ヨーロッパ人はどうなの?」と聞き返してみました。

すると、スロヴァキア人の彼が「見分けることは不可能だね。なんたってヨーロッパに住む人種はただ一つ、ヨーロッパ人しかいないのさ。」と返してきました。

なんという素敵なお返事!

てっきり欧州人には欧州人なりのプライドがあって、ドイツ人はドイツ人、フランス人はフランス人といった具合にお互いを見分けて区別して考えているのかと思っていました。EU圏内の行き来は自由でも自分の国籍意識ははっきりしていて、それが一種の国際意識に繋がるのではないかなどと妄想しておりました。

まさかそのような答えがかえってくるとは思っていなかったため、驚くと共に、もしかしたらこれが国際感覚なのかもしれないなと考えさせられました。

もちろん、彼の考えは彼個人の考えであって、全欧州人の代表意見ではありません。ですが、面白い考え方だと思いませんか?

〇〇人などという国籍を超越した発想です。なんというか、「負けたな」と思いました。自分は、「アジア人だから皆一緒!」というような考え方は今まで全くしたことがありませんでした。「外国人と仲良くすることは大切だ」という考えの中にも、「外国人」という言葉を用いることで異質な人間であるという意識が含まれているのですから、これもまだまだ不十分なわけです。

もしかしたら島国であることがそういう意識を余計に強めているのかもしれませんが、それにしても彼の考えの器の大きさには驚かされました。

国際社会への対応を声高に叫ぶのであれば、近隣諸国と島を取り合っている場合ではなさそうですね(そういえばインド人の友人は尖閣問題について状況を知っていました)。そんな簡単な話ではないのは承知していますが。

新たな発想で大東亜共栄圏の実現が求められる...などと書くと右翼くさいですが、国というものに対する考え方を変えていく必要があるような気がしました。アジア圏内ですら”外国”意識を持っているのですから、欧米諸国なんて完全に異世界になってしまいます。

実は”国”というくびきは大したことはないのかもしれないですね。彼の考えは、生活の中で国境を渡ることが頻繁にある欧州人ならではの発想なのかもしれませんが、なんだか印象に残ったので書き加えておきます。