Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

8日目(10月8日) ニュルブルクリンク ~ モーゼル ~ Mさん宅

7日は息子さんのもとで一泊させていただきましたが、この日はMさんの村まで連れて行ってもらうことになりました。

 

道中、また面白そうな古城があるということだったのでそこへ寄っていくことにしていました。ここで初めてアウトバーンを経験しました。アウトバーンというと制限速度なしのスーパーハイウェイだと思っていたのですが、事故が多発したため今はほとんどの区画に制限速度があるようです。それでも130kmとかだったりするのですが。とはいえ一部は未だに無制限です。Mさんもその一帯では150kmくらい出していましたが、不思議なことに速さを実感できませんでした。

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▲車から見た風景

この数日の旅行で感じたことですが、ドイツは北海道的な構造をしています。基本的に草原・森が広がっていて、ところどころに町が存在しています。日本では町と町の境目はそんなにハッキリしていないことが多いと思いますが、ドイツでは町を出ると本当に森しかないので、町の内と外の堺は一目瞭然です。もしかすると、ドラゴンクエストのイメージといった方が近いかもしれません。町が点在しているあの感じです。

 

写真のようなだだっ広い一帯をひたすら走っているのですが、道中の看板でニュルブリンクの文字を発見しました。「ニュルブルクリンクといえばグランツーリスモで苦しめられたあのコースか!!」というのが僕の印象です。が、日本を出る前に後輩からドイツに行くなら見てくるべきスポットとして紹介してもらっていたので、Mさんにお願いして予定を変更し、古城の代わりにこちらへ寄る事にしていただきました。

 

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▲レースではありませんが何台か走っていました。

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▲無人の観客席

 

サーキットには一度も来たことがなかったのでちょっと見学できただけでもエキサイティングではありましたが、ニュルブルクリンクというと森の中をくねくねと永遠走り続けるイメージがあったので、そちらのコースを見学できなかったのが少し残念でもありました。

これ以外にも、付近にはミュージアムやら遊園地めいたものやらがありましたが、時間とお金がないということで今回はパスしてしまいました。入場料2000円はさすがに痛いです。一日かけて見学するならともかく。ココを勧めてくれた後輩にお土産を買ってサヨナラしました。

 

その後はまたひたすらだだっ広い土地の真ん中を走り続けていたのですが、しばらくするとキレイな川が見えてきました。モーゼル川です。まさかここまであちこち連れて行ってもらえるとは思っていなかったこともあって、事前に観光情報を抑えていなかったのが悔やまれますが、モーゼルはワインの産地として有名なのですね。後から知りました。

川沿いの街でFeder Weißer (早摘みワイン)とZwiebel kuchen(玉ねぎケーキ)を食べました。何でもこれが有名だとか。

 

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▲カフェにて注文したFeder Weißer と Zwiebelkuchenちなみにそれぞれ「フェーダーヴァイサー」「ツヴィーベルクーヘン」と読みます。

Feder Weißerは日本で飲んだことのあるワインと比べると甘みが強く、ほとんどブドウジュースのような感覚で飲めました。普通のワインよりこちらの方が僕には美味しく感じられました。辺り一帯のブドウ全部早摘みして出荷してほしいくらいです。

これは白ワインですが、赤も同様にFederなものが存在するようですが、試し損ねました。

Zwiebelkuchenは卵と玉ねぎの味がマッチしたパイといった感じです。お菓子というよりはおかずとして美味しくいただきました。

僕はお酒の類に詳しくはないので、「へぇ~珍しいワインなのね」くらいに思っていましたが、このFeder Weißerは一年でもこの時期しか味わう事ができない代物らしく、「一年の滞在だったらこれが最初で最後かもね」というようなことを言われました。自分には価値が分からないものを楽しむというのは少し罰あたりな気がしてしまいます。ワイン通な人がこれを見ていたら、にわかですらない無知な若者の嗜み様を見て怒り狂うことでしょう。

 

食事も素晴らしいのですが、この街は建物がオシャレでした。

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▲このような木の枠が露見している構造をFachwerk「ファッハヴェルク」というらしいです。これはペイントで再現したものだったかな。

Fachwerkは一時期モダンなデザインに変更するために上から塗りつぶされたりもしたそうですが、今は古風なデザインとして再評価されているらしいです。

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この街もかなり田舎にあるのですが、Mさんの家はさらに小さな村にあるということでココからさらにカントリーサイドへ向いました。

しばらくの後、まさに村!といった感じの家が20戸ほどまとまっているようなところに辿り着きました。Mさんはここに住んでいるのだそうです。

 

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▲村の風景

 

その夜は、Mさんの家でミーティング?があるということでご近所さんが何人か集まりました。Mさんがクリスチャンであることもあって、この夜のミーティングのテーマは「神に祈るのはなぜか、いつか、何のためか」といったものでした。事前にミーティングで見る予定という神学の講義のビデオを英語字幕付きで見せてもらったのですが、キリスト教的価値観はそう簡単に理解できるものではないですね。

ミーティングは讃美歌を歌ったり、先ほどの講義ビデオを観賞したりしつつ晩御飯を食べるという、気楽なものでした。

ご近所さんたちはドイツ語で会話しているので基本的には聞きに徹していましたが、その内簡単なドイツ語で少し話しかけてくれたりもしました。

その後はなぜか「ドイツのトイレと日本のトイレの違い」が会話のテーマとなり、色々面白い話を聞くことができました。

そういえばドイツのトイレットペーパーは日本のものと比べるとかなり分厚いです。日本のダブルの厚さを一枚で達成しているといえばイメージできるでしょうか、とにかく厚い紙なのです。そんな紙を使っても詰まる事のないドイツのトイレはスゴイというのが僕の感想ですが、ドイツ人からするとボタンがたくさんついている日本のトイレのハイテクさの方がスゴイと感じるようです。

 

確かにシャワートイレ(ウォシュレット)の存在は革命的だと思います。(しばらく日本のトイレの話になりますので、ドイツ情報が欲しい方は読み飛ばしてください。)

僕が中学校に上がったころ、古くなった実家を立て直しました。それに伴ってトイレも飛躍的に進化しました。和式のトイレだったものが洋式になり、便座は自動で開閉する上にシャワートイレ付きです。

それまでは和式で慣れていたので、洋式は座ったままおもらしをしているように感じて苦手だったのですが、慣れてしまうともはや和式便器なんて疲労の溜まるものは使えません。

シャワートイレも最初は邪道だと思っていたのですが、使い始めるとこれなしではいられなくなってしまいます。思うに、シャワートイレは”清潔感”の閾値を引き上げてしまったのではないでしょうか。元々紙で拭けばそれでよかった(というかそれしかなかった)ものが、水で洗うという行為の発生によって拭くという行為の地位が下がります。水で洗う行為に慣れると紙で拭くだけではまだ汚いように感じてしまい、不足感を覚えるようになるのです。このように“清潔感“を覚えるために必要な行為が変化したことはまさに革命的です。これは冗談抜きで意識革命と呼んでもいいものだと思います。

まだシャワートイレを使ったことがないという方は使ったら最後、紙だけでは不足感を覚えるようになってしまう可能性があるということを覚悟した上でシャワートイレデビューする必要があるわけです。

ちなみにウォシュレットはTOTOの商標、シャワートイレはINAXの商標です。我が家のトイレはINAXなのでそちらに敬意を払う意味でシャワートイレという語に統一してみました。

 

 

余談が長引きましたが、ご近所さんと一緒に晩御飯を食べるというのは面白い文化ですね。しかも毎回テーマを設けるなんて、ゼミのようでいい感じです。日本では宗教で結びつくことがないこともあって流行る事はなさそうですが、特定のテーマを決めて友達を招くのは面白いかもしれません。機会があればやってみたいところです。

 

そんな会合も21時頃にはお開きとなりました。ドイツ人は生真面目でお堅いというステレオタイプを持っていましたが、ドイツに来てからそれがどんどん崩れて言っています。気さくで親切でにこやかな方が多いように感じます。