Wuppertal 留学日記

2013年10月から1年間、交換留学でドイツへ行く機会に恵まれました。体験談などを書き残していきたいと思います。

102日目(1月10日 金) VISA回収など色々

VISA回収など色々

さて、手続きを終えたことで既に問題は解決したかのように感じ、完全に存在を忘れていたVISAですが、まだ手元にない=合法的滞在を証明できる状態になかったのでした。年明けのお休みムードもあって完全に失念しかけていましたが、先日一緒に申請を行ったメンバーから「そろそろ取りに行きましょう」連絡をいただき、今朝取りに行ってきました。

VISA申請はもともとの情報が少なかったこともあり、事前申請含めて色々と難儀しましたが、今回は取りに行くだけなので気楽なものです。前回手続き終了時にいただいた受付用紙に加え、念のためパスポート、その他証明書類一式を持って出かけることにしました。

回収だけなら予約も不要とのことでしたので、そのまま待合室に直行、受付番号札を機械から受け取って待っていました。
自分の番が来たら部屋に入り、担当者に受付用紙を見せたところ、棚に並んでいるカードの束から私のものを探し出して持ってきてくれました。そのカードがVISAそのもので、特に説明や何かもなく、「はい、これ君のね。バイバイ!」という感じでした。あまりのあっけなさに、「え?これで全部終わりですか?」と住民登録時と同様の質問をしたのですが、返事もその時と同様で「終わりですよ」とのことでした。
提出するものも受付用紙のみで、その他書類は一切要求されませんでした。パスポートも手元に用意していたのですが、それすら不要。本人確認とか、そういうことがなされたのかすら怪しいところです。

渡されたのは、免許証のようなタイプのカードと、三つ折りにされた紙製のカードです。基本的には免許証のようなしっかりしたカードの方がVISA本体ということになるようですが、紙製のカードの方は"滞在理由"を証明するためのものらしく、これも併せて常に持ち歩いていなければならないようです。

以前紹介しましたが、私は貴重品を三か所に分散配置することでリスクマネジメントをしています。帰宅後早速カードをスキャン・コピーし、いざという場合のリスクを分散させておきました。これでよっぽどのことがない限り不法滞在扱いはされないはず!

今度こそすべて終わりです。これで完全にVISAに関する心配を心から排除していいわけです。オーバーステイの不安など、きれいさっぱり忘れるとしましょう(実質一週間ほどオーバーステイしていたことになる気がしますが...)。

鍋、壊れる

今日は昼過ぎから夜までお出かけする予定もあったため、その前に雑事を片づけておこうと思い、昨晩作りすぎたオムライスの中身(卵の賞味期限が切れていたためオムライス化を断念)を食べきり、洗い物をしていたのですが、その際中とんでもないことが。鍋の持ち手が折れたのです。

実は昨晩の料理時に派手に焦がしてしまい、そのために洗い物もスチールウールで無遠慮にガシガシやっていました。これが原因の一つです。
持ち手はネジ一本で鍋とつながっていました。もともと錆ついており、少し遊びがあるくらいにゆるゆるしていたのですが、まさか折れるとは。ねじが折れるところを初めて目の当りにしました。

使い古された雰囲気から、幾代か前の入居者の置き土産であったことがうかがえます。きっと長年この部屋の入居者たちの寵愛を受け使い込まれてきたのでしょう。その歴史ある(であろう)鍋に私が手を下してしまいました。なんという罪悪感。

まぁ、罪悪感は置いておくとしても、新しく鍋を買わなければならないし、この鍋を捨てるにもどういうゴミ扱いなのかよく分からないし、やや面倒なことになりました。これであたふたしていたら出かける予定だった時間を過ぎてしまい、次の電車を調べて慌てて駅に向かったのですが、それも目の前で出発してしまいました。

結局予定より1時間以上遅れて出発、目的地に着いたのは18時過ぎでした。


Münster Theater

今回の目的地はMünsterです。以前行った戦車博物館はMunsterでしたが、今回は「u」ではなく「ü」の方です。MünsterはWuppertalと同じくNordrhein-Westfahlen州に属しているため、鈍行であれば無料で行けます。時間は二時間ほどだったでしょうか。

目的はオペラ鑑賞でした。ドイツに来たらいつかオペラを見に行こうと思っていたのですが、結局昨年は一度も行きませんでした。私は大学の授業の影響で1年半ほど前からオペラに興味を持ちだしたいわゆる"にわかファン"ですので、あまり格式が高すぎるところへ行くのは気が引けます。ありがたみが分からないうちにバイロイトなんかに行くとしたらそれはもはや冒涜的なことであるような気がします。かといって、造詣が深まるまで行かない!とか言っていたら一生行かないような気もしますが。

なんにせよ、地元の庶民的なオペラホールで良いから一度生で何か見ようと思っていたわけです。

そんな背景から、近くのオペラハウスの情報を時折調べていたのですが、めぼしい演目がありませんでした。できれば見たことがある作品、欲を言えば好きな作品を見たいと思うのが人情というものです。しかし、にわかファンの私が見たことのあるオペラは限られているのです。

かといって、一度も見たことのない演目をいきなり字幕なしで見てもおいて行かれるだけな気がします。それに、好きなアリアや合唱があるオペラならば見に行くのも楽しみですが、wikipediaであらすじだけ調べたオペラを見に行くのはちょっとリスキーな気もします。Youtubeで調べれば全編動画を見れたりしますが、今から新しい作品をYoutubeで開拓するのもなぁ...というわけです。何ともわがままな話ですね。

WuppertalにもBarmenという地区に劇場があるようなのですが、ピナ・バウシュ系が多く、オペラはあまりやっていない様子。ピナバウシュも滞在中に一度は見ておきたいところですが、まずはオペラということで今のところノーマークなのです。
WuppertalがダメならDusseldorf、Kölnと徐々に範囲を広げて調べていたのですが、ピンとくるものがありません。
そしてギリギリ同州内を出てしまうかしまわないかというところでMünsterに行き当たったのです。

演目はヴェルディの「Il Trovatore(吟遊詩人)」です。ヴェルディですからイタリア語です。ドイツに来ておいてアレですが、ドイツオペラも今後行く予定がありますので今回はご勘弁を。

この作品はWOWOWのMETライブビューイングで放送していたのを録画して何度か見ていました。ストーリーは割と暗~い話ですが、曲が良いのです。何曲かお気に入りのアリア・合唱もあったため、これなら楽しめそうだと考えたわけです。
METの公演では、劇中のルーナ伯爵という悪役的立ち位置の役をディミトリ・ホヴォロストフスキーという超絶イケメンダンディなおじさまが演じており、それと併せて妙に記憶に残っている作品です。

それにしてもこちらに来てから劇場へ行くのは初めてですのでちょっと緊張していました。一応できる限りのフォーマルな格好をして向かったのですが、現地で周りを見渡してみるとそこまで服装に気を使う必要はなさそうです。ばっちりスーツという方も多く見受けられるのですが、中にはセーターにジーンズというような、休日のお父さんという感じの服装の方もちらほらいました。あまりに砕けた格好はダメでしょうが、厳格なドレスコードはなさそうです。

コートなんかはクロークに預けるのかなぁと思っていたら、ロッカーが並んでおりセルフサービスでした。

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▲利用料1ユーロ

それにしても、一人で見に来ているという人はあまり見受けられません。大抵は夫婦で、あるいは友人と、という雰囲気です。うう、肩身が狭い。また、劇場で会った人同士で楽しそうにおしゃべりをしていたりと社交場的空気が立ち込めており、私は何ともいえない場違い感の中、どうすることもできずにパンフレットを眺めていたのだった...!これが本場の公共圏か...。

劇場ではAbendkasse(アーベントカッセ)と言って、席が余っていた場合、当日券を格安購入できます。今回は二時間かけて出かけた末に満席ではやりきれないと思い予約していたのですが、空席もたくさんありました。なんだか損した気分。次回はAbendkasseに賭けてみようかしら。

予約した際に席を指定していたのですが、しばらく前のことだったため大体の位置しか覚えていませんでした。席の下見をしておこうと思い、係員に場所を尋ねて見に行ってみようと思ったのですが、指示されたところへ向かおうと階段を登ろうとしたら呼び止められました。
どうやら「まだ入れないよ」ということだったようなのですが、聞き取れていませんでした。「Viertel nach Neunzehen(19時15分から)」と言っていたのですが、この言い回しにまだ慣れておらず聞き取ることができてからもちょっと考えてしまいました。恥ずかしい話です。

開演前にはロビーにてあらすじと見どころを紹介してくれるという親切なイベントがありました。見たことがあることもあって、何となく何を説明しているのか分かりました。ただ、母と子の愛が云々と言っていたのですが、これってそういう作品なのでしょうか。
オチを見て、愛情もへったくれもない復讐劇だと理解していたのですが、見方が浅かったのかもしれません。あるいは説明していた内容を誤解している可能性もありますが。
ストーリーの解説は私には無理ですので、あらすじ等を含めてwikipedia参照ということで。

パンフレットも購入してきたので後でじっくり読んでみようと思います。そうそう、パンフレットは2ユーロという驚きの安さでした。小さなブックレットという感じなので妥当な値段ではあるのですが、日本でオペラを見に行った際はパンフレットは1000円前後で非常にしっかりしたものであったように記憶していたため、その差に驚きました。

それと、劇場は大ホールとのことだったのですが、たいして大きくありませんでした。これもまた驚きました。地元(日本の)にあるホールの方が下手したら立派です。アレは結構いい環境だったのかも。

近代的演出

肝心のオペラの感想ですが、近代的な演出に驚かされました。見たことがあったのはMETの一本だけですので、比較対象に乏しいのがアレですが、それにしてもモダンな演出だったと思います。

トロヴァトーレは、ルーナ伯爵の衛兵隊長がオペラ全体のキモになるストーリーを補完するような内容の昔話を兵士たちに語り聞かせるところから始まるのです。ですから、衛兵たちがたむろしているシーンを想像して序曲(トロヴァトーレの場合は前奏曲?)を聞いていたのですが、いきなり期待を裏切られました。

幕が開くと同時に、ロッカールームのような風景が広がり、試合終わりのアメフト選手のような体で兵士たちがやってきたのです。しかも、ベレー帽にミリタリーベスト、そして手には自動小銃という何ともモダンな出で立ち。ルーナ"伯爵"というくらいですから、甲冑に剣や槍という姿を想像していました。舞台を現代に置き換えた、ちょっと攻めた演出ということでしょう。(調べてみたところ、作品の本来の舞台は15世紀初頭とのことでした。)

ルーナ伯爵は安いマグロの切り身のような派手派手な真っ赤な色の、極めて前衛的なコートを羽織っており何とも目立っていました。彼を始めとして、ルーナ伯爵側の登場人物は全員赤色を基調にした衣装に統一されていました。

そして、ルーナ伯爵に対するのはマンリーコという青年(主役)なのですが、彼の率いるジプシーの一団の合唱で第二幕が始まります。「アンヴィル・コーラス」(鍛冶屋の合唱)と呼ばれるこの場面は、ジプシーの一団が金床をカーンカーンと軽快に打ち鳴らしながら歌うという盛り上がるシーンです。私も気に入っている場面なのですが、彼らが剣や何かを鍛えているのならともかく、この演出では彼らも自動小銃を手に持っています。
一体何を代わりに打ち鳴らすのだろうか、と楽しみにしていたのですが、ステージ上では何も打ち鳴らさないというちょっとさびしい演出でした。オーケストラピットでカーンカーンという音を鳴らしてはいるのですが、何か物足りなさを感じます。

その間、ステージ上ではフォークリフトで大きな木箱を運んできて、それを開けて武器を取り出し、兵士たちに配るというシーンが演じられていました。何となくダイハード3のラストのシーンを思わせるようなそんな感じ。彼らが主人公サイドにあたるのですが、どことなくテロリストチックです。というのも、ルーナ伯爵側の赤に対して、彼らは黒を基調とした衣装で統一されており、見るからに悪そうな感じなのです。
面白かったのは、彼らの中にフリッツヘルメットにミリタリックなコートという出で立ちの人物がいたことです。「げぇっ、SS!」と思ったのは私だけではないはず。

第二幕のアンヴィルコーラスに対して、第三幕はルーナ伯爵側の軍勢の合唱で始まります。「この武器を血で染めてやる!」と非常に勇ましく始まるこの合唱ですが、後半部はちょっとコミカルで、まだ戦いが始まってもいないのに戦利品が云々と歌うのです。

アンヴィルコーラスが想像の斜め上でしたので、ここはどんな表現になるのだろうかと期待していたところ、またまた面白い演出でした。

兵士たちが歌っているところへ隊長が大きな麻袋を持って登場し、それをひっくり返すと中から札束がばさばさと落ちてくるのです。その札束と酒瓶を兵士たちに配るという、衛兵というより傭兵色が強い雰囲気。昔の衛兵なんて傭兵だったのでしょうから、これは別に逸脱した設定ではないと思います。現代が舞台だとしたらなおさらしっくりきます。
さらにその後、ルーナ伯爵が現れて大きな木箱からパンツァーファウストのようなごっつい武器を取り出して兵士たちとじゃれ合うというかわいい場面に。果ては、みんなでデジカメで記念撮影をするという、非常におちゃめな演出でした。

それ以降はそれほど変わった演出はなかったような気がしますが、もしかしたら感覚が麻痺していただけかもしれません。それにしても、全く違う作品を見ているようで改めて楽しむことができました。

字幕の話

公演はドイツ語字幕付きでした。ステージ上に横長のスクリーンが吊るされており、そこに字幕が映し出されるという親切設計です。字幕付きというのは今や主流なのでしょうか。日本でオペラを見た際も字幕付きでした。

ちょっと話が逸れますが、ここ半年ほど藤原義江がマイブームです。彼は日本にオペラを布教した第一人者です。(軍歌趣味者には「討匪行の人」と言った方が伝わりやすいかもしれません。)

彼はオペラの内容を全く知らないお客さんでも理解できるようにと日本語で公演をしていたそうです。しかし、それでもやはり原語であるイタリア語やドイツ語でアリアを聞いてほしいと思っていたそうで、時折何の打ち合わせもなくイタリア語でアリアを歌いだして関係者を驚かせることもあったとか。その影響で他の歌手もイタリア語で歌いだしたりしたため、「あなたが誰にでも分かるように日本語上映することを言い出したのに、一体どういうことよ!おかげでこんなことになってるのよ!」と、奥さんと揉めたなんて話もどこかで目にしたことを記憶しています。それでも彼は原語で歌うアリアの美しさを伝えたかったのだとかなんとか。

自伝だったかCDの解説だったか失念しましたが、「原語上映しながら、日本語訳を観客に見せられたらいいのに」というようなことを彼が口にしていたという話が載っていました。彼の頭の中では垂れ幕をめくるようなイメージだったらしいですが、今や日本もドイツも含めて、外国語で聞き母国語で理解するという字幕システムが珍しいものではなくなっているわけです。彼の理想を実現し、オペラも間口が広くなったといえるのかもしれません。

各言語を学んで原語で理解できたらそれが一番いいのかもしれませんが、イタリア語やらドイツ語やらを誰もが簡単に習得できるわけではありませんし(私も現に悩まされていますし)、習得した人しか楽しむことができないのではあまりにも人を選ぶ趣味となってしまいます。字幕はやはりありがたいものです。

今や言語だけでなく、場所も選ばなくなりました。
映像メディアの普及のおかげで、自宅でもオペラを楽しむことができてしまいます。仮に話がよく分からなくても、ネットで検索すればいくらでも情報を補完できます。その結果として、私のような愚かな若者でもオペラに興味を持ち、情報を集め、映像で楽しみ、それをきっかけに劇場まで足を運ぶということができるようになったわけです。本当にありがたいことです。

きっと藤原義江さんもそんな現代の状況を喜んでおられることでしょう。この時代に生まれていれば何の憂いもなく原語で歌えたのに、と思うと物寂しさも覚えますけれども。なんにせよ日本にオペラを広めてくださってありがとうございました。こんなところで感謝しても何にもなりませんが。



と、いうわけで、字幕公演が一般化しているのだということを知ってしみじみしておりました。欧州ならお互いの言語くらい分かるよね?という暗黙の了解のもと字幕など用意されないのではないかと思い込んでいました。
また、ストーリーを知ってさえいれば、ドイツ語字幕でもそこそこ理解できるということがわかりました。時々ちらちら字幕を見ていたのですが、ドイツ語からストーリーを知るのではなく、ストーリーからドイツ語を知るという奇妙な感覚を味わうことができました。知らない単語だらけの部分はどうにもなりませんが、案外脳内で訳せるレベルの分かりやすい表現が多かった気がします。
さすがに全く知らないストーリーだったら脳内で理解するのが間に合わないと思いますし、知らない単語がいくつかでてきたら補完しきれないので詰んでいたと思います。

以上、色々思うところはあったわけですが、とにかく生で見るのは良いです!音が違うというのもありますし、何より場の雰囲気を感じられることが大きいです。演技や音楽と併せて、場の空気に乗せられて興奮したり感動できたりするのは劇場鑑賞の特権ではないでしょうか。
カーテンコールなんかはDVDで見ているとむなしさの極みですが、生だと楽しいイベントです。今回の一番人気はマンリーコの母親のアズチェーナ役の方でした。拍手のボルテージが段違いだったのと、歓声の上がり具合でお察しです。
観客は見たところ老夫婦がメインだった気がするのですが、彼女が現れた際にはあの「ヒューヒュー」というのか、南斗水鳥拳でも繰り出しそうな歓声が挙がっていました。熱気がすごいのです。

それにしても楽しかった。ぜひまた見に来たいと思います。


帰りの電車

また来たいといったそばからこんなのもあんまりですが、帰りがとんでもなくダルかったです。オペラは1930~だったので、終了は2200時過ぎかなぁと予想してはいたのですが、その時間から電車に二時間揺られて帰るのはもう面倒の極み。
ついでに、この時間の電車内は妙に治安が悪く、おばさんの集団が大騒ぎしていたり、パンクな若者がビール瓶片手にハイテンションで騒いでいたり、おじさんが各客席のゴミ箱を漁っていたりとコンテンツに事欠きません。なんとも世紀末な、末法の世界です。オペラで浮かれていた気持ちを現実に引き戻すには十分すぎる破壊力といえます。余韻を楽しみたかったら劇場がある町に一泊すべきですね。

それにしても、見るからに柄が悪そうな人がこうまで一か所にたまっている光景はドイツに来てから初めて見ました。駅に危ない人がたむろするのは何とかなく分かるのですが、電車内がこんなことになっていようとは。

しかし、そんな末法の世界の中にも一筋の希望が。昼間は見かけない「DB Sicherheit」(ドイツ鉄道セキュリティー)の文字が書かれた服を着たおじさんたちがウロウロしているのです。おお、救世主じゃ!とばかりに一気に安心できました。
乗車券確認タイムが待ち遠しかったのは初めてです。

また、夜は駅に警官も配置されているようで、窓から外を見ているとプラットフォームに「POLIZEI」の文字を背中に輝かせたオジサマ方がちらほら見られました。
よっぽどの大事でない限りトラブルは未然に防がれるようになっているのでしょう。

なんて思っていたら、Wuppertalの駅に着いた際にトラブルが起きました。パンクな若者の一人が電車を降りた途端倒れたのです。まさに電車の扉の目の前、下手をしたら隙間から線路に落ちちゃうんじゃないの?というようなところで倒れ込んでいます。お酒の飲み過ぎか、なんなのか分かりませんがびっくりしました。パンク仲間たちも驚いたようで何か叫んでいました。
周りにいたお客さんも遠巻きに「え?」といった具合で眺めています。私は即見て見ぬふりを決め込んで歩み去ることにしました。全く美徳ではありませんが、そういうのは得意なのです。

Wuppertal駅に配置されていた警官は至って冷静で、「おい、どうした!」と走っていくこともなく、「やれやれ、またか」とでもいうようなニヒルな表情でのんびり歩み寄っていきました。これはアレですかね。「ドイツの終電ではよくあることです。」という類の事象なのでしょうか。よく分かりませんし、こういう部分の事情通にはなりたくないものですね。

いつになく長くなりましたが、こんな感じで盛り沢山な一日でした。だんだん授業も始まりますし、楽しみおさめといったところでしょうか。授業モードにスイッチを切り替えるのに苦労しそうです。